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《この花、なんの花?》 ハキダメギク

とある花を特定した私は、しかるべき機関に連絡をした。

「あの、どうしてこの花に気づいたんですか」
担当の人が尋ねる。私は言い淀んだ。「花の特定が趣味なんです」とはとても言えなかった。

「子どもが花好きで、知らない花があったら調べるんです」
「なるほど」と納得したように言われ、私はちょっとだけ気まずかった。もちろんうそは言っていない。「子ども花が好きなだけ」である。

そんな私は「野の花組」としての活動を再開することにした。
道端の花で、名前のわからないものはほとんどない。でも、水路に咲く黄色い花の名前がわからなくて、毎年やきもきしていた。

きょうは、私の「野の花組」としての諜報活動の結果を紹介する。


道端でごくたまに見かける、この花。白い小さな花びらが、王冠みたいに3つ連なって咲いている。特徴的な花びらである。

この花の名は、

ハキダメギク。


掃き溜め菊……。ちょっと哀れみを覚えるこのネーミング。名づけ親は植物学者として有名な牧野富太郎さん。ゴミ捨て場のような掃き溜め。そこに咲いていたから名づけられたという。



植物の名前には、こういう、ちょっと残念なものがある。



この間、息子と、近所の子と3人で通学路を歩いていた。息子が民家の庭を指して「ママ、あれってすみれ?」と尋ねた。

「ツルニチニチソウ」

私はすかさず答えた。

「つるにちにちそう」

息子は驚いたようにくり返したあと、吹き出した。

「なんだそれ、おもしろ」

笑い続ける息子は「ねーねーママ、あの花なんだっけ」と言う。いっしょに歩いている友だちをちらちら見ながら笑っている。

「何の話?」

「ほら、あれだよあれ。ヤバい名前のやつ」

ふっと脳裏に浮かんだ私は、ふるふると首を振って、「何の話かなあ」と気づかないふりをした。
その花の名は、オオイヌノフグリである。



野の花組の諜報活動をするにあたって、私は、図書室の秘密のブックボックスにおさめたノートを取り出した。アンティークな雰囲気のこのノートは、以前、著書の担当編集さんが贈ってくれたもの。
大事に使いたくって、使い道にさんざん悩んだ末に「植物図鑑」にした。


▼一例

ぱらぱらとハキダメギクのページを探すが、見当たらない。

この植物図鑑、じつは、かなりいろんな資料を見て描いている。花や葉といったようにパーツごとに分けて写真を撮る。特定したあとは、自宅にある図鑑や、図書館の古い本なども使って、少しでも情報がないかと調べていく。

「メジャーな雑草」以外の情報は意外とない。
似ているようで別ものの花もたくさんあるのだ。今ならAIを使うと特定はよりかんたんになるかもしれないけれど、この探し当てる過程にもまた楽しみがある。

そして、花の名がわかると、いつもの道がまるで別の世界のように見える。楽しくなる。春と秋がとくに楽しい野の花組。あなたも参加しませんか。


▼野の花探偵は常時ゆる募集。参加方法はこちら


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三條 凛花 最後までお読みいただき、ありがとうございます♡