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100円ノートと付箋だけでつくる「ことばノート」【基本編】

ことばを集めるノートをはじめてつくったのは、14歳のころでした。当時から文章を書いていたのです。

けれども、たとえば人の描写をしたくても、「かわいい」や「かっこいい」以外の表現が出てこない。伝えたいことを伝えきるための、具体的な言葉を持たなかったのです。

ボキャブラリーを増やす。そのためにつくったのが「ことばノート」でした。
なかなかうまくいかなくて、最近までの長年の試行錯誤で生まれた「ことばノート」のつくりかたを紹介します。

10分でここまで書けました!
手軽さも大事なポイントです。



ごあいさつ

三條凛花です。
ノート術に関する本を国内外で6冊出版しています。代表作は『時間が貯まる 魔法の家事ノート』(扶桑社/9刷)。
手帳やカレンダーのプロデュースも手がけてきました。

継続するのが苦手な子どもでした。面倒くさがりなのに妙に完ぺき主義なところがあり、実家の子ども部屋を片づけていたら、最初の数ページしか書かれていないノートが大量に出てきたんです。

そんな自分を変えたくて、ノートの使い方を研究するようになりました。
いまは多数のノートを使っていますが、うまく使い分けられるように。

続けるための工夫

まず、全体的なお話をします。

ノートや手帳を書くうえで、多くの方がぶつかる悩みのひとつが『続かないこと』。わたし自身も続けるのが苦手です。

だからこのノートには、こんな工夫をしてみました。

1.日にちを書かない

日にちがあると、そこが埋まらないのが気になりますせんか。
もちろん、日記やスケジュール管理が目的なら日にちは必須ですが、このノートは違います。
見つけた言葉を集めるためのノートです。
だから、思いついたときに、思いついた言葉を書くだけでいい。

2.しっかりルールを決める

「どんなふうに書くんだっけ?」

こんな疑問が頭に浮かぶと、ノートは続けにくくなります。とにかく大切なことは、いきなりスタートできることなんです。

ノートを書くために必要なものを取りに行ったり、
書き方がわからなくてほかのページを参照したり……。

これが「続ける」を妨害してしまう。

だからルールをしっかり決める。覚えやすい、シンプルなルールにする。これが大切です。


3."続ける"に頻度を決めない

せっかく始めてみたけれど、2ページほど書いて飽きてしまった……。大丈夫です。まだ、継続できています。

上にも書いたように、このノートの目的は「連続して書き続けること」ではありません。自分の語彙を増やすことです。

だから、前のページを書いてから1年経っていても、また新しいページを書き綴っていればクリアです。

わたしはこの考え方でさまざまなノートを続けています。

ことばノートの材料

今回紹介する「ことばノート」は3つの材料でつくれます。
文具店や100円ショップで買えるA5サイズのノート、ふせん、そして蛍光ペンです。

A5サイズのノート

さまざまなノートを使ってきましたが、わたしのイチオシは「A5」サイズ。よくあるプリントの半分くらいの大きさのノートです。

これは、ある程度の情報量を書き込みたいときに向きます。A4やB5サイズと違って、小さめのバッグでも持ち運べたりするのもうれしい。

機動性を大事にするなら、もっと小さな、てのひらサイズのノートがいいのですが、今回はたくさん書き込むためのノートだからA5サイズがぴったり。
A4サイズは大きすぎて、余白が多くなるのが人によっては気になるかもしれません。

こちらのノートはセリアで購入したものです。

機能やデザイン以外の選び方を挙げるとしたら「統一感」をおすすめします。2冊目以降もまったく同じノートを使うこと。形と厚み、色が同じだと、すごく管理しやすくなります。

ふせん

どんな大きさでも形でも大丈夫。
使いかけの、家にあるものでいいですよ。

蛍光ペン

記入はボールペンや鉛筆を使いますが、ぜひ蛍光ペンも用意してください。2色がベスト。1色だと色分けできず視認性が下がります。多色だと塗り分けるのが面倒になります。

1.インデックス

まずは、ノートのいちばん最後にインデックスをつくりましょう。

綴じノートにこんなページをつくると、どの順番で書いても”検索”できるようになるんです。学生時代にビジネス書で知ったテクニックを、自分なりにアレンジしています。

ここには言葉のカテゴリを書いていきます。

細かくしすぎないのがポイント。
たとえば「人にまつわる言葉」「自然にまつわる言葉」などなど。思いつかない方は、こちらを参考にしてください。

カテゴリリスト
・人にまつわる言葉
・自然にまつわる言葉
・五感にまつわる言葉
・日常にまつわる言葉
・抽象的な言葉
・言い換えメモ
・食べものにまつわる言葉
・色にまつわる言葉

▼インデックスのつくりかたをさらに詳しく知りたい場合、こちらで解説しています。わたしは「セーブポイントノート」と呼んでいます。

これはわたしの読書ノート
多色にしたのは失敗ポイントです
見た目はかわいいのですが…


2.お題1つにつき、見開き1ページ

お題は、上で挙げたカテゴリをもうすこし細かく切り分けたものです。

たとえば「人にまつわる言葉」といっても「表情」「顔立ち」「体つき」などいろいろありますよね。こうした切り分けた言葉を見開き1ページに書いていきます。

それからインデックスのカテゴリに合わせた色をつければ、あとから探しやすくなるんです。

それでは、さっそくこれから作っていきます!
ノート作りにあたって、時間があまりない方や、逆に夢中になりすぎる方は「制限時間をつくる」のがおすすめです。
わたしは10分にしました。

・左上にお題を書く

まずは、左上にお題を書きましょう。

今回は「青」にまつわる言葉を集めます。

お題例:
■ 人にまつわる言葉
(感情/顔立ち/体つき/しぐさ/話し方/関係性/服装)
■ 自然にまつわる言葉
(空/雲/風/雨/光/草木/水辺/土/虫/鳥)
■ 五感にまつわる言葉
(音/におい/味/手ざわり/温度感)
■ 日常にまつわる言葉
(朝の習慣/台所/リビング/浴室/トイレ/玄関/街)
■ 抽象的な言葉
(時間/余白/孤独/幸福/選択/願い/豊かさ/静けさ/自由/希望)
■ 言い換えメモ
(ことばの言い換え/方言/世代語/スラング)
■ 食べものにまつわる言葉
(味/食感/香り/見た目/料理名・献立/食べ方/飲食店の雰囲気)
■ 色にまつわる言葉
(色名/色の比喩/その色を持つモノ)

・左ページは採集欄

集めた言葉は、左ページに書いていきます。

どんどん書きます。
青いものをどんどん採集
1行ずつ改行していますが、
グループごとにまとめても。


・右ページはフリー欄

ことばを採集しながら思いついた言葉や考えを自由に書きましょう。"ことばあそび”をするつもりで自由に。

ここでは2つの記号を使って書いてみました。

たくさん書く派の人は
一番上をすこし空けましょう。
A5サイズのルーズリーフや
A4コピー用紙を半分に折ったものに
追加分を書いて貼りつけます。

*1……左ページの同じ記号がついた言葉から派生して調べたことや考えたこと
💡……思いついたことや気づき

うえでも触れたように、本を読んで見つけた言葉や表現を、抜き書きしていくのもおすすめです。ここには「📕」マークをつけました。

本を読む時間がない場合、「青空文庫」の全文検索を活用するのも一案。

noteで見つけた表現なら「n」と記号を書くのもいいですね。

必ず"元ネタ"がどこなのかもメモしておきます。使っていくうちにオリジナルの表現が見つかりますが、最初はどうしても元ネタに引きずられるからです。


3.ToDoはふせんに

ToDo(考える・調べる・買う)を思いついたら、ふせんに書いて、裏表紙などに貼りつけておきます。


このとき、ふたつのアイディアがあります。

ひとつは、達成したら表表紙の裏にべたべたと貼り、たくさん溜まったら剥がしてまとめて捨てること。がんばりが目に見えるので達成感があります。

もうひとつは、行動したことも書き留めること。ToDoのままだと残す意味はあまりありませんが、気づきを書き加えるとアイディアメモに変身します。

そのままでもいいですが、「宝石箱手帖」のやり方を参考にすると、Todoもかわいくなります。

四隅をカットして宝石みたいなかたちにするだけ。ふせんの数だけ「できたこと」が溜まり、目に見えるようになるので、達成感があります。

▼さらに詳しくつくりかたを知りたい方はこちらの記事へ。

▼灯火さんが実際に試してくれました!

実例を紹介します!


書いたページの一部を紹介します。今は「色」にまつわる言葉を採集しているところ。集める言葉によって、書き方や雰囲気は変わりそうです。

こちらは「オレンジ」のものの名前を集めたページです。

書いていくうちに法則性を見つけたので、グループ分けしながら書いてみました。

言葉を思いつくとき、連想ゲームみたいな感じがあって、ひとつのひらめきから枝葉を伸ばすようにほかの言葉が見つかることがあります。これは創作にもつながると思います。

じつは、創作大賞の〆切直前に2日で3万字の小説を書きました。50作近く応募していたのですっかり頭のなかがからっぽだったんです。どうしようか迷って、この「ことばノート」をぱらぱらめくっていたら、ひらめきました。

ひとつひとつの言葉が”星”だとすると、その星と星を結んで星座をつくるようなイメージで、思考がまとまっていくのを感じました。

言葉は、文章を書くために必要なだけじゃなく、ひらめきの礎にもなるのかもしれません。


オレンジの言葉を集めたページの全体像です。

シンプルなんだけど見たときにわくわくするものを目指して書いています。

ひらめきを右側に記入しています。オレンジはたまごに多い色だとご存知でしたか。魚卵や虫の卵、火を通す前の卵黄など……。
オレンジは命の色だ。書いてみて思いました。

こうした気づきが、色ごとにあって書いてみて面白いんです。

道路にあるものもオレンジが多いんですよ。


このコーナーは、自分の勉強にもなりました。

オレンジのものを見つけたのはいいけれど、名称がわからない。ネットで調べます。すると関連してどんどん知識が。個人的におもしろかったのは、カーブミラーが楽天で16万円で販売されていること。

当たり前のように風景に馴染んでいるけれど、よく考えたらだれかがお金を出して設置してくれているんですよね。

世界の解像度が上がる


今のところ完成しているのは「色」にまつわる言葉のページだけです。

でも、「これを調べよう」と思うと、世界の見え方が変わりました。さまざまな色が目につくようになったんです。これは、創作を進めていくうえでも、とても大事なことだと思いました。

ぼんやりしていた背景の一つひとつが、くっきりと浮かび上がったんです。解像度が上がるという感じだと思います。


すこし話が逸れますが、わたしは2年ほど前にデジタルイラストの講座を受講しました。飽きっぽい性格なので、1年間の受講期間のうち、2ヵ月だけ全身全霊でがんばって、216講座も受けることができたんです。

あのときも「世界の解像度が上がった」と思いました。

どういうことかというと、創作をするうえでとても大切なこと──五感をしっかり働かせて、リアルな描写のための種探しをすること──が、以前よりぐっとやりやすくなったのです。

「ことばノート」を作ってみて感じたのも、まったく同じ感覚でした。


物語やエッセイは、文章のあつまりです。

でも文章は、一つひとつの言葉でできています。そう考えてみると、ていねいに描写をしていくための第一歩は、言葉を知っていることなのだと思います。

毎日できなくてもいい。飽きたら1年くらい飽いちゃってもいい。それでも、自分の目で見て、耳で聞いて、そして調べて集めてきた言葉を記録していくことは、創作をするうえできっと、大きな意味がある。
わたしはそう考えています。




今回ご紹介したつくりかたは基本編です。
もっと使いやすく楽しくする3つのポイントは、後日メンバーシップ記事で書きます。

🌿ことのは採集室
3ヵ月限定で、みんなでボキャブラリーを増やし、書くちからを磨くメンバーシップをやってみます。
7月はおためし期間なので無料。
・ことば採集ワーク2つ
・任意宿題の1,000字日記お題
・ワークブック2種類20ページ近く
がついています。

▼7月のワークブックはこんな感じ。

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三條 凛花 最後までお読みいただき、ありがとうございます♡

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