マインドフルネスはなぜ分かりづらいのか?⑰|「私だけ?」と感じる孤独の日に―自他不二がくれる安心
■ はじめに
こんにちは、野村りなです。
仕事でうまく話せなかった日
SNSで人の活躍を見た夜
誰かといても、なぜかひとりぼっちな気がした瞬間
ふと胸の奥で、小さくつぶやきが生まれることがあります。
「どうして私だけ?」
孤独感は、人間がもっとも繊細に反応してしまう感情のひとつです。そして、多くの人が「弱さ」や「メンタルの問題」と結びつけてしまいがちですが、仏教の視点はすこし違います。
今日は、そんな孤独にそっと灯りをともすような視点、自他不二についてお話ししたいと思います。
■ 理由その17:「自分」と「他者」は、本来ひと続きで生きている
仏教には「自他不二(じたふに)」という言葉があります。
これは直訳すれば自分と他者は本来わかれていないという考え方。
私たちは、自分の力だけで生きているように感じます。
でも実際には、
呼吸は空気に支えられ
食事は誰かの手で育てられ
今日話した言葉も過去の誰かに教わったもので
「私は私だけで成立しているわけではない」という現実の上に立っています。
孤独を感じるときほど、この当たり前は見えにくくなります。
でも ほんの少し視点をひらくと、人とのつながり、支え合い、同じ不安を抱える存在としての「私たち」が見えてきます。
■ マインドフルネスは「共に生きている感覚」をみずから思い出す練習
マインドフルネスは、孤独を消す魔法ではありません。
ただし、
呼吸
身体の感覚
胸の強さや弱さ
いまの気持ち
これらにそっと注意を向けると、「私という存在が、この世界といま関わっている」という感覚が少しずつ戻ってきます。
そして気づくのです。
私だけが悩んでいるのではなく、同じように揺れながら生きる人が、世界のどこかに必ずいるということ。
孤独がほどける瞬間とは、つながりを「知る」のではなく、「思い出す」ときです。
■ 今日のワーク:1分「つながりリスト」
眠る前でも、通勤中でも大丈夫です。紙でも、スマホでも、心の中でもOK。
1分だけ、次のものを書き出してみてください。
今、支えられていると感じるもの
今日ありがとうと思えた誰か
手元に届いた食事の向こう側にいる人
名前の浮かぶ大切な存在たち
思い浮かんだ数は重要ではありません。
思い出そうとする行為そのものが、つながりを温めます。
■ おわりに
「私だけ」と感じる日は、世界がいつもより少し狭く感じられます。
でも、孤独はあなたの欠陥ではなく、誰にでも訪れる心の天気です。
そのときに思い出せる問いはひとつ。
私はひとりで生きているだろうか?それとも…つながりの中で生きているだろうか?
次回 vol.18では、「正しさに疲れた日 ― 中道と心理的柔軟性」をテーマに、
もう一歩やさしい視点を一緒に見ていきます。
今日も、どうかあたたかく過ごせますように。
■マガジンのご紹介
よく聞くのに、なぜかつかみにくいマインドフルネス。
心理・脳科学・ビジネス・仏教の視点をつなぎながら、日常のモヤモヤに効く「気づき」をやさしく解説するシリーズです。
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参考文献
Weng, H. Y., Lapate, R. C., Stodola, D. E., Rogers, G. M., & Davidson, R. J. (2018). Neural and behavioral changes associated with compassion meditation: Implications for interpersonal connection.
Journal of Personality and Social Psychology, 114(1), 110–134.
