迷いを活かす意思決定⑨|「引き出し」としてのヒューリスティクス
こんにちは、野村里奈です。
これまで見てきたように、意思決定においてはシンプルな判断基準が有効に働く場面があります。
では、その基準は一つあれば十分なのでしょうか。
一つの判断基準では対応できない場面
現実の意思決定は、多様な状況の中で行われます。
時間が限られている場面もあれば、慎重な検討が求められる場面もあります。
関係者の数や、影響の大きさもさまざまです。
そのため、一つの判断基準だけでは対応しきれないこともあります。
「引き出し」としてのヒューリスティクス
意思決定の研究では、状況に応じて複数のヒューリスティクスを使い分けることが重要だとされています。
ヒューリスティクスとは、限られた情報の中で判断するためのシンプルな基準や手がかりのことです。
このような考え方は、「Adaptive toolbox(適応的な道具箱)」と呼ばれます。
つまり、判断基準を一つに固定するのではなく、いくつかの「引き出し」を持ち、状況に応じて選ぶという発想です。
環境との適合という視点
どの判断基準が適切かは、そのときの環境によって変わります。
不確実性が高い場面ではシンプルな基準が有効なこともあれば、情報が十分にある場合にはより詳細な検討が必要になることもあります。
このように、環境との適合を重視する考え方は、エコロジカル・ラショナリティと呼ばれます。
環境に応じて判断基準を選ぶことが、結果として合理的な意思決定につながるとされています。
判断基準を使い分けるという発想
重要なのは、「正しい判断基準を見つけること」ではなく、「状況に応じて使い分けること」です。
どのようなときに、どの判断基準を使うのか。
その柔軟さが、意思決定の質を支える要素の一つとなります。
マインドフルネスが支える選択
マインドフルネスは、いまの状況に気づく力を高めます。
その場の制約や前提に気づくことで、どの判断基準が適しているかを見極めやすくなります。
結果として、基準を無意識に使うのではなく、意識的に選ぶことができるようになります。
あなたは、どんな引き出しを持っていますか
私たちは日々、さまざまな状況で判断をしています。
そのとき、どのような判断基準を選んでいるでしょうか。
もしよろしければ、あなたが使っている判断の工夫や、状況によって変えていることについてもコメントで教えてくださいね。
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参考文献Gigerenzer, G., Todd, P. M., & the ABC Research Group. (1999). Simple heuristics that make us smart. Oxford University Press.
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Gigerenzer, G., Reb, J., & Luan, S. (2022). Smart heuristics for individuals, teams, and organizations. Annual Review of Organizational Psychology and Organizational Behavior, 9, 5.1–5.28. https://doi.org/10.1146/annurev-orgpsych-012420-090506
Karelaia, N., & Reb, J. (2015). Improving decision making through mindfulness. In J. Reb & P. W. B. Atkins (Eds.), Mindfulness in organizations: Foundations, research, and applications (pp. 163–189). Cambridge University Press.
