わたし、本日から“積読司書”として独立します。
突然ですが、本日をもちまして、わたしは“積読司書”(つんどくししょ)として独立することにしました。
これまで図書館の現場で、本と人とのあいだをつなぐ仕事をしてきました。けれど、長く現場にいるうちに、ある切実な声がひたひたと押し寄せてくるようになったのです。
「読みたい気持ちはあるんです」
「買ったときは、あんなにワクワクしていたのに」
「でも、なんだか本が増えていくばかりで……」
そう。
積読です。
本棚のすみに、机の上に、ベッドの横に。
「いつか読むつもり」の本が、暮らしのあちこちに静かに積み上がっていく現象。
あれは怠けでも、意志の弱さでもありません。
むしろ、本を愛している人ほど陥りやすい、とても文化的で、希望に満ちた症状だと、わたしは思っています。
そこで、このたび始めることにしました。
その名も、積読司書。
積読司書とは、
「読みたいのに読めない」
「でも手放したくもない」
そんな本たちと、その持ち主のあいだに立つ、新しい本の伴走者です。
📖 積読司書のしごと
積読司書とは、「読みたいのに読めない」「でも手放したくない」という本たちと、その持ち主のあいだに立つ、新しい本の伴走者です。
たとえば、こんなサービスをご用意しています。
1. 積読カウンセリング
なぜその本を買ったのか。なぜ、いま手が伸びないのか。 本そのものではなく、「その本を買った日のあなたの気持ち」まで丁寧に聞き取ります。
2. 積読の棚おろし
部屋に散らばった本たちを、3つのテリトリーに分類します。
「すぐ読む棚」
「いつか読む棚」
「持っているだけで満たされる棚」 なお、最後の棚がいちばん多くても問題ありません。それが自然な姿ですから。
3. 積読のことばがけ
「早く読まなきゃ」と自分を責めてしまう方のために、やさしい処方箋(ことば)をお渡しします。
「その本は、読まれる日を急いでいません」
「あなたが手に取った時点で、すでに出会いは始まっています」
「積読は、未来の自分への予約です」
4. 積読選書
あなたの積読のなかから、“今日なら読めそうな1冊”を直感とロジックで選びます。 厚さ、文字の密度、余白の呼吸、そして今日のあなたの疲労度。それらを総合的に判断する、きわめて繊細な仕事です。
💡 わたしの理念
積読司書として独立するにあたり、ひとつだけ掲げている信念があります。
それは、「読んでいない本にも、意味がある」ということ。
本は、読み終えたときだけ価値を持つわけではありません。 手に入れたとき。本棚に並べたとき。背表紙を眺めながら「今じゃないな」と思ったとき。そのどれもが、大切な本との対話です。
ページを開く元気がなかった夜にも、本はそこで静かに待ってくれている。 そう思うと、積読は「未完了のタスク」ではなく、まだ名前のついていない希望のように見えてきませんか?
📢 サービス詳細(初回キャンペーン)
本日4月1日より受付を開始します。
料金: 30分 3,000円
延長: 1冊ごとに 500円
共感加算: 本棚の前で「わかります……」と3回以上言った場合に発生。
【初回限定特典】: 「積読が増えても大丈夫です」というお守りカードを無料進呈。
ご興味のある方は、どうぞお気軽に——
……と言いたいところですが。
ここまで読んでくださったやさしいあなたなら、もうお気づきでしょうか。
そうです。 これは、エイプリルフールの(ささやかな)嘘です。
「積読司書」という職業は、今のところ存在しません。 料金設定も適当ですし、共感加算も発生しません。
でも、積読を前にして少し肩身が狭くなる気持ちや、読めない自分を責めてしまう気持ちは、たしかに存在するもの。
だから今日くらいは、本棚の前でそっと自分に言ってあげてもいいのかもしれません。 「読めていない本がある」ということは、「これから出会える言葉が、まだ残っている」ということ。
独立はしませんが、これからも本と人とのあいだで、ときどき勝手に、やさしいことばを選んでいこうと思います。
あなたの積読にも、どうか、いい春が来ますように。
喜木 拝
追伸:面白いネタがなかなか、思いつかず、苦肉の策になりました。お読みいただき、ありがとうございます💖
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