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【派遣の本音】今日も始まる、電話口の攻防

部署にかかってきた電話は、たいてい私が取り
ます。

内容を聞いて、担当者につなぐ。

電話口の相手はさまざまですが、1番多いのは
営業電話です。

うちの部署は、決まった業者しか使わないので、
ほとんどの営業電話は私のところで断ることに
なります。

でも、そこは営業。

一度断っても、またかかってきます。

「申し訳ありません。現在は決まったところと
お取引しております。」


そう伝えると、今度は

以前、担当の方とお話したことがありまして』

と言います。

担当者の名前はお分かりになりますか?」

○○さんだったかな……』

聞いたことのない名前。

近くの社員さんに確認する。

『ああ、4年前に辞めてるよ。』

おお…。

”以前”とは、4年も前の話だったのですね…

「その者は4年前に退職しております。」

『そうでしたか。では、後任の方につないで
いただけますか?』

「申し訳ありません、現在は決まったところと
お取引しておりますので、お断りさせていただい
ております。」

また初めに戻る…。

申し訳ないけれど
つながないように言われているので
私はつながないのです。

あまりにもしつこい時は

「今、担当者が席を外しておりますので、内容を
伝えまして、こちらから掛け直します。」


すると

いえ、お電話いただくのは申し訳ないので、
またこちらから掛け直します。何時頃お席に戻ら
れますか?』

そうですか…。

たぶん、「こちらから掛け直します」と言われ
たまま、担当者に繋がらずに終わるのを1番避け
たいのかな、と思います。

・ 自分から掛ける権利は手放さない。
・ つながるまで掛ける。

その意気込みを感じます。

もうここは、お互いの思惑がわかった上での

攻防戦です。


でも、結局つながないのです。

電話を取る私の時間が削られるだけです。

「お電話をいただいても、席を外していることが
多いので、おつなぎできないと思います。」


それでも、

ではタイミングを見て、またこちらからお電話
いたします。』


と言って切る人もいれば、

では、折り返しお願いします。』

と言う人もいます。

「はい。では担当者に伝えます。ただ、折り返し
をするかどうかは、担当者の判断になりますので
ご了承ください。」

電話口の相手が、一瞬黙ります。

気持ちは分かります。

「結局、つながらないじゃん。」


そう、聞こえてきそうです。

私は、ちゃんと担当者に伝えます。

でも、担当者が掛け直しているところを見たこと
はありません。

そう、結局つながらないのです。


でも

いくつかの偶然が重なり、たまたま、その難関を
くぐり抜けた者にだけ、営業をかけるチャンスが
巡ってきます。

そのとき、初めてスタート地点に立てるのです。

私も以前、電話営業を経験したことがあります。

運よくお客さんがつかまり、なかなかいい額を
稼いだ時期もありました。

それでも、またやりたいとは思いません。
できる気もしません。

電話を切られても、断られても、また掛ける。

相手の反応を引きずらず、次へ行く。

強い精神力と、忍耐力。

「今日、なんか行けそう」を逃さない直感力。

つながった先には、商品の魅力を伝える熱量と
この人にならお金を払ってもいいと思える信頼が
必要になります。

恐ろしくタフな仕事です。

そう思うと、
この忙しい中、何度も電話を掛けてくるような
相手にも、腹を立てずに、少しだけ優しく
なれるのです。



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