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『完成版〈子ども〉のための哲学』永井均。を読んでまた考えた

哲学はよく知らない。かつては哲学科に在籍していたけれど、第一志望の芸大(油絵科)に落ちたから通っていただけ。私立の美大はカネがかかると言われて受験すらしなかった。で、高校の時の倫社の授業にグッとくるものがあったから、滑り止めとして哲学科を受けた。そして芸大は落ちた。そういう情けない事情。
近年は本も(漫画本すらも)めったに読まないテイタラク。でも特にそれが悪いことだとも思ってない。
だけど、どうでもいいことをぐだぐだと考えてしまう癖だけはいまだに治らないんですねー、これが。

先日、知り合い(スナックのお客さん)に訊ねられた。
「哲学って? 学んできて何か行動変わった? 実践してることあるの?」と聞かれて「えっ…あー…私の学校は仏教系だったから坊さんも多数いて。座禅組んでる人もいたし仏教学の学徒もいたし寺の駐車場経営が好きな人もいたよー」と仏教系学校のあるある話で笑ってごまかしたけど、なんだか刃を突きつけられた気分になりました。学ぶことと実践することの違いはなんだろう、という問いは見て見ぬふりをしてきたもんで。

で今更。もう一度哲学とは何か、を考え直してみようと思って『完成版〈子ども〉のための哲学』を読み始めました。
だってタイトルに「〈子ども〉のため」とか付いてて、シロートでもわかりやすいかも? と思ったから。
あと私もよくわからないなりに、著者の専門分野であるウィトゲンシュタインが好きだったから。
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そして感想文&自分語り。

私にとってはとても興味深いエッセイでした。エッセイ、というのは失礼かもしれません。私小説? 内省的自伝? それも失礼か。
悪い意味で言っているのではありません。なぜならば一般的な哲学入門書が思想の内容を解説することに重点を置くのに対して、この本はきちんと著者の心の動きが正直に書かれてると思ったからです。失礼な読み方だとは承知の上で、感想を語ります。

共感したかと問われれば、75%くらいかな。独我論に関しては自分もずっと考えてるところがあるので「そうですよねえ!」と感じる部分も多かったのですが、細かい部分がちょっと違う。この「ちょっと違う」部分が-25%かなあ(計算合ってるよね?)。
うーん。自分で思ってたほど私は独我論にこだわってはいなかったのかな。

今まで一番、影響を受けた哲学者は大森荘蔵。もちろん直接の弟子でも何でもないけど、その著作から受けた衝撃はずーっとついて回っています。大森先生も分析哲学の人で独我論についてもよく書いておられました。そして一番感銘を受けたのは「立ち現れ一元論」。子供の頃からずっとモヤモヤと心の中でくすぶっていたあれこれを、こんなに的確に言い表してくれて説明してくれるとは! と。

でも近年ちょっと気になってるのは、大森哲学では倫理や実践の問題に関しては消極的な発言しかできないんじゃないかということ。今やネット社会です。ネット上の激しいバトルの前では、なんの力も持たないように見える。声の大きい感情的な主張が勝ちます。無力感つのりまくり。
大森哲学とは直接関係はありませんが「倫理や道徳なんて時代によって変わるエチケットのようなもの」というありふれた私の意見は、なんの力も持ちません。

ところで。
この「倫理的なことを何かちょっとくらい言ってみたい」という感情は、正義感を盾にしてストレス発散したいだけかもしれないし、老害ムーブの第一歩かもしれないし。そして『〈子ども〉のための哲学 』の著者の永井先生が近年SNSで語っていらっしゃる政治的?発言には同意しかねることも時々あります。あー、ごたごた考えるのしんどい。しんどいんです。

そんな時の私の救いはパルメニデス。知ってる人は少ないかもしれないけど「真に”有るもの”は、唯一・不生不滅・不変不動の充実した完全なものとして球体とされ、一切の変化を仮象とみなした」(wikiの抜粋)という初期ギリシャ哲学者の彼。これが心に刺さった。今日書いてきた学者さん達と直接的な思想繋がりはないと思うけど(よく知らん)、私にとっては意味が分からないけど聖典。
なんでやねん、と言われてもこれはゆずれない。倫理とかならカント読めやと言われても壊滅的に相性が悪いんです。スミマセン。
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はい。ゴタゴタ自分語りをしてしまったけど、それほどポテンシャルがある御本だということです。そしてこの『完成版〈子ども〉のための哲学 』の冒頭にも大森荘蔵が出てきて驚きました。
もしここらへんの問題に興味がある人がいたら、読んでみたらきっと面白いかと。
またお互い明日からも楽しんだり苦しんだり考えたり、仮象の毎日を過ごしていきましょう。

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