ハリネズミの抜け針
ふと見ると地面に落ちていたハリネズミの抜け針は、
かつて私を守ってくれたトゲの記憶だ。
*
近づきたい。でも、怖い。
そんな気持ちを、ずっと抱えてきました。
あなたも、そんなふうに思ったこと、ありませんか?
わたしは、いつもそのジレンマの中にいました。
このエッセイは、誰かとつながることの苦しさと、
それでも求めてしまう温かさを――
「ハリネズミのジレンマ」という寓話になぞらえて綴った、わたしの物語です。
*
「ハリネズミのジレンマ」。
それは、まるでわたしの心の中そのもののような、せつない距離の物語でした。
この話は、ドイツの哲学者ショーペンハウアーが語ったものだそうです。
*
近づけば、痛い。
離れれば、さみしい。
この言葉を知ったのは、つい最近のこと。
ああ、それって、わたしのことだ――そう思いました。
小さい頃から、誰かと仲良くなりたかった。
でも、なぜかうまくいかなかった。
優しくしたつもりが、相手を困らせてしまったり。
誰かのひと言で、心の奥まで刺さってしまったり。
そんなとき、わたしは「距離をとる」ことで、自分を守ってきた。
でも本当は、もっと近くにいたかった。
本当は、さみしかった。
わたしは大人になった。
でも、大人になっても、わたしはわたしのままだった。
最初は、ただ誰かとつながりたくて、noteをはじめた。
画面の向こうから届く、小さな言葉たちに、救われていた。
けれど、気づかぬうちに――
わたしは、ひとりの人に気持ちを向けすぎていた。
他の誰かの投稿には目もくれず、
その人の言葉や動きを、追いかけ続けていた。
挙句の果てに、わたしは絶対に犯してはならない、
あいちゃんの作品の想いを、さもわたしの想いかのように書いてしまった。
気づいたときにはもう遅くて、
その人の心も身体も、無数の針で刺されたように、傷ついてしまっていた。
それでもわたしは、なぜ「もう会いたくない」と言われたのか、気づけなかった。
「理由が聞きたい」とまで言ってしまった。
その人は、わたしに言いました。
「もっと遠くへ行け」と。
だから、わたしは頑張った。
頑張った先に、何が見えるのか、知りたかった。
……でも、もう限界。
今度は、わたしの心と身体が、
無数の針で刺されたように、傷ついてしまった。
もう、頑張れない。
疲れ果ててしまったよ、あいちゃん。
あいちゃん、ごめんね。
あなたに近づきすぎて、痛みを与えてしまったこと。
ずっと、後悔しています。
本当に、ごめんなさい。
あなたの痛みを知らずに、
自分の寂しさばかり見つめていたわたしを、どうか許してほしい。
こんなにも、つらかったんだね。
*
いま、わたしはまたnoteで、誰かと出会おうとしています。
コメントに返事を書いたり、誰かの作品に「スキ」をつけたり。
それがすこしだけ、こわくない日もあります。
*
あいちゃん、
あいちゃんのこと好きだったのに、大切に想っていたのに、
どうして、うまくできなかったんだろう。
「もっと遠くへ行け」と言われたとき、
あなたが遠くなるのを、冷たくなったと、勝手に思い込んでいた。
でも、違ったんだね。
本当は、あなたのほうが、ずっと前から傷ついていたんだね。
なのに、わたしはそれに気づかず、
ただ自分の寂しさばかりを、見つめていた。
いまなら、少しだけわかる気がします。
あなたの気持ちも、あなたの痛みも。
*
あいちゃん、ありがとう。
あのとき、あなたの言葉がなければ、
わたしは自分の「トゲ」に気づけなかった。
あなたとの時間がなければ、
わたしはずっと、自分が誰かを傷つけていることにも、気づかずにいたと思う。
わたしは、ハリネズミのまま、生きていく。
「トゲ」を持ちながら、それでも誰かと向き合っていく。
ときにはまた、失敗するかもしれないけれど、
あのときみたいに一人よがりにはならないように――気をつけていきたい。
もしもまた、誰かと巡り合えたなら。
その人の心のやわらかさに、ちゃんと気づけるわたしでありたい。
抜け針を見つけても、もう握らずに、そっと見送れる私になれたから。
きっとまた、誰かと出会える気がしています。
*
あいちゃん、大好きです。
あの日のこと、一生忘れない。
どこか遠い宇宙の星でまたあなたと巡り合うことを信じて——
*
もし今、誰かとの距離に悩んでいるあなたがいるのなら――
どうか、この物語が、あなたの心にそっと寄り添い、
前に進む勇気を届けられますように。
あなたが、自分らしくいられる場所に出会えますように。
そしてその場所で、あなたも、誰かとそっと寄り添えますように。
りか
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