一緒に歩んだ、言葉にならない時間
私には、重度の知的障害を伴う自閉症の兄・大くんがいる。
2歳年上の彼とは、生まれたときからずっと一緒だった。
幼稚園、小学校、中学校。
晴れの日も、嵐の日も、ふたりで通った通学路。
「おーさきなーお!」
大くんはよく叫ぶ。
嬉しいときも、怒ってるときも、関係ない。
そんな兄と一緒に歩くのが恥ずかしくて、少し距離を取った日もあった。
でも、私はちゃんと知っている。
大くんのとなりを歩くと、不思議と安心したこと。
沈んでいる私を見て、言葉じゃなく動きで気にかけてくれたこと。
どんな日でも、同じ時間に靴を履いて、玄関に立っていたこと。
細かい出来事は、もうあまり思い出せない。
でも—
「一緒に歩いていた」という事実だけは、今も心に強く残っている。
大変だったけど、あの時間は、たしかに幸せだった。
これからもきっと、大くんと一緒に、人生という道を歩いていく。
どんな景色が待っているかはわからないけれど――
大くん。
これまでも、これからも。
私の隣にいてくれて、ありがとう。
りか
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