【第5回】住民同士の騒音問題。管理員の私はこう対応した
マンションの管理員と一口に言っても、管理する物件や管理組合の考え方によって、その雰囲気は大きく異なります。
私は管理員になってまだ日が浅いのですが、それでも理事の方々の人柄が
マンション運営に大きく影響していると感じます。
理事は持ち回りで選出されることが多いものの、高齢化により引き受けることが難しい方も増えています。
元気でしっかりされた方もいれば、足や耳、目に不自由を抱えている方もいます。理事の順番が回ってきたとき、引き受けるのか辞退するのか。
その判断も簡単ではありません。
高齢化が進むなか、管理組合の運営をどのように維持していくのかは、多くのマンションで共通の課題ではないでしょうか。
私が勤務するマンションでは、理事の任期は1年です。
これが短いのか長いのか、私にはまだ判断できません。しかし、マンションのルールや取り決めは、居住者の皆さんの意見を聞きながら進めるものであり、独断で決められるものではありません。
そのため、何かを変えようとしても時間がかかります。そう考えると、1年という任期は少し短いのかもしれません。
そんな中で、ある騒音問題が起きました。
ある日、一人の女性居住者が管理事務所へ駆け込んできました。
「上の階の人がうるさくて困っています。何とかしてください」
話を聞くと、モーター音のような音がして、とても気になるとのことでした。
理事長へ連絡し、私はその方の部屋へ向かいました。
確かにリビング付近では、何か機械が動くような音が聞こえます。また、普段から物を動かす音や話し声も気になると話されていました。
その後、理事長と合流し上階を訪ねようとしたところ、大きな浴槽を運ぶ訪問介護サービスの職員の方と出会いました。
事情を聞くと、上階の居住者宅で訪問入浴を行っていたとのことでした。
「厚めのマットを敷いていたのですが、うるさかったですか。申し訳ありません」
そう謝罪されました。
私たちは直接訪問することは見送り、その代わり生活音に関する注意喚起文を作成して投函しました。
ところが1週間後、再び同じ女性が事務所に来られました。
「またうるさいんです」
今度は私が上階の居住者を訪ねました。
インターホンは使われておらず、声を掛けると「開いていますよ」と返事がありました。
部屋に入ると、その方は車椅子で生活されていました。
障害があり、一人では外出が難しいとのことでした。
騒音について尋ねると、
「生活音だから仕方ないでしょう」
という考えでした。
私は「できればお互いに気持ちよく暮らしていただきたい」と伝えましたが、考えは変わりませんでした。
そしてさらに1週間後。
再び下の階の女性が管理事務所へやって来ました。
これで3回目です。
理事長と一緒に話を聞いたのですが、その際、理事長は
「当事者同士で話し合ってください。管理組合では対応できません」
という趣旨の説明をしました。
確かに管理組合には限界があります。
しかし、その女性にとっては突き放されたように感じたのでしょう。
「それはおかしいじゃないですか」
と口論になってしまいました。
その後も女性は何度か管理事務所を訪れ、私に訴えました。
しかし管理員である私にできることは、理事長や会社へ報告することだけです。
直接力になることはできませんでした。
申し訳ない気持ちはありましたが、それが管理員という立場の限界でもあります。
やがて女性が事務所へ来ることはなくなりました。
ですが、おそらく騒音の問題そのものは今も続いていると思います。
あのとき、私は何をすればよかったのでしょうか。
管理員としての正解はあったのでしょうか。
今でも時々考えることがあります。
