潮を待つ
引けば すべてが露わになる
濡れた石の冷たさも
取り残された貝の口も
触れればすぐに 閉じてしまう
音は遠い
海はまだ 戻らない
潮は ただそこにある
言い分も 顔も 持たない
来て 引いて
また 来る
石も 貝も 砂も
逆らわない
人だけが
理由をつける
遅い 早い
良い 悪い
だが
満ちれば同じ水に入る
それだけのことだ
小さく決めたことは
小さく崩れる
大きいものの前では
静かになるしかない
だから 待つ
支配できないものを
支配しようとしないで
来るものの前で
余計な手を出さず
ただ 立つ
潮が来るとき
わたしも満ちる
月とともに
