古川禎久が消費減税に負けてでも守ったもの
物価高にあえぐ有権者に、食料品の消費税を8%から1%に下げると約束した政党がある。普通に考えれば、これは政治家にとって拒否する理由のない話だ。減税は票になり、増税は票を失う。この単純な方程式に従うなら、自民党の中に反対する人間などいないはずだった。
ところが2026年8月3日、自民党の税制調査会と社会保障制度調査会の合同会議で、この減税案は事実上了承された。75人が発言し、賛成65人、反対9人、中立1人。数字だけ見れば圧勝である。だが同じ8月3日、自民党の古川禎久幹事長代理は、税制調査会長の小野寺五典氏に対して、この減税に反対する意見書を提出している。
意見書の中身はこうだ。「(消費税を)いったん下げると元に戻すことは政治的に難しく、社会保障の財政基盤を揺るがすことに直結する」「財源の見通しも立たないまま決定すれば、市場からの信認を失う」——共同通信が伝えている。

反対したのは古川氏だけではない
党内の異論は、この一件だけではなかった。
河野太郎(元外相):「財源のめどが立っていない。さらなる円安につながる」と反対を明言
小渕優子(元選対委員長):党税調インナーのメンバーを辞任。「財源なき減税は無責任」と主張
大岡敏孝(元環境副大臣):熊本地震対応の多額費用を理由に「立ち止まって考えるべき」と提言
村上誠一郎(前総務相):「減税すれば円安になり、物価高対策に逆行する」と強調
9対65。この意見書には、政策を止めるだけの数がない。古川氏自身、それは提出する前からわかっていたはずだ。党執行部は、8月5日の総務会での承認と閣議決定を、すでに視野に入れている。つまりこの意見書は、負けるとわかっている試合に、わざわざ書面で殴りに行った行為だ。
普通に考えれば、これは無意味な行為である。だが政治家は、無意味な行為に時間を使わない生き物だ。負けるとわかっている意見書を、それでも出す。この矛盾の中に、解体すべき構造がある。
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