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1990年代、新宿ルミネのタワレコまで

体験型note/脳内タンボウさんの、西新宿の記事を読んだ。


それを読んで、私の記憶が蘇った。

1990年代の西新宿の話だ。

私はその頃、西新宿の居酒屋でバイトをしていた。

バイトが始まる前、
東口側のルミネにあったタワーレコードに寄って、

聴きたいCDやチェックしていたものを試聴しに行っていた。

その頃よく聴いていたのは、
ORIGINAL LOVE、ACO、Cloudberry Jam、United Future Organization、Jamiroquai 


そういう音楽を大音量で聴きながら、私は東と西の新宿を行ったり来たりしていた。

ある日、
タワーレコードへ向かう
ルミネの長いエスカレーターを
上っている途中、
後ろにいたおじさんに声をかけられた。

「何聴くの?」

「あ、何買うの?」

「買ってあげるよ」

正直、キモッ、何?と思った。

でも、そのおじさんはエスカレーターを後ろからずっとついてくる。

当時は女子高生ブームの真っ只中だった。

ブルセラとか、若い女の子そのものに商品価値があるみたいな、そういう空気があった。

私たちの世代は、
少しずれていた。

自分が中学生、高校生の頃は
女子大生ブームで、

自分が大学生になったら、
今度は女子高生ブームになっていた。

なんとなく、
時代と少しずつ噛み合わない世代だった。

それでも、ミニスカートを履いてエスカレーターを上っていると、声をかけてくるおじさんはいた。

「ねえねえ、何が欲しいの?」

「買ってあげるから」

私はそのまま無視をした。

エスカレーターを上るにつれて、NO MUSIC, NO LIFE. のポスターがだんだん増えていく。

黄色と赤の看板が見えてくる。

そして私がタワーレコードの中に入ると、その人はもうついてこなかった。

CDを買ってくれるわけでもない。

私がどんな音楽を聴いているかにも興味がない。

きっと、私がCDを選ぶ間、待ってくれるわけでもない。

なのに、なんで私の世界を買えると思っているんだろう。

そう思いながら、私は試聴機のおすすめCDの番号を押した。

ヘッドホンを耳にかける。

ふぅ、と息を吐く。

音が流れる。

私の1990年代の新宿の記憶は、そんなふうに始まる。

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