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娘が歌うひょうたん島で、20代の私を思い出した

娘の合唱祭があった。

仕事の途中で少し抜けて、聴きに行った。

娘が歌う「ひょっこりひょうたん島」で、20代の頃を思い出した。

合唱祭は、コンクールとは少し違う。

美しいハーモニーはそのままに、振り付けがあったり、ポピュラーな曲を歌ったり、少しノリがあったりする。

楽しい。

娘は「ひょっこりひょうたん島」を歌った。

とびきりの笑顔で。

振り付けつきで。

この歌を、娘が歌うのは何回か聴いていた。

でも、ふと思い出した。

あ、これ。

昔、私の脳内でしょっちゅうかかっていた曲だ。

20代前半の頃。

仕事がつらくて、必死に残業して、自転車で河原を帰る時。

私はよく、この歌を大声で歌っていた。

自分を鼓舞するためだった。

何回も聴いていたのに、すっかり忘れていた。

薄暗い河川敷。

湿った空気。

ざーっと揺れる柳の葉。

一日が終わって、ギシギシいう自転車を、なんとか漕いで帰る。

くじけないで、泣かないで、笑って進もうとする歌。

あの頃の私には、かなり必要な歌だったのだと思う。

その歌を、今、娘が歌っている。

娘のほっぺは、まん丸でフクフクしている。

振り付けで伸ばした指先が、すっと高く上がる。

その先に、光があるみたいだった。

同じ歌なのに、なんだかとてもキラキラしている。

自分を無理やり鼓舞する歌ではなくて、希望の歌に聞こえた。

先生のピアノも、音が跳ねている。

歌い終わって、会場に手を振りながら帰る娘たち。

思わず私も手を振った。

自分を励ますために、ひとりで歌っていた脳内のテーマ曲。

それが、娘のまん丸いフクフクのほっぺたと、美しく伸びた指先に変わった。


キラキラ。

指先に、光。



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