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「ひつじの雲ホテル」


みかんさんよろしくお願いします٩(

天空の雲の間にぽっかり浮かんだ雲ホテル

ふわふわの看板には、「ひつじの雲ホテル」と

書かれています。

ここは、疲れた心が軽くなる場所。

風にのってやってきたお客様だけが

たどり着ける秘密のホテルです。

ドアを開けるとー

もこもこのひつじの支配人が、にっこりおじぎをしました。

「ようこそ、今日は、どんな夢をおやすみになりますか?」

ロビーには、空の色をしたソファ。

ふむたびに優しくしずむ雲のじゅうたん。

遠くでは、星たちが鈴の音のようにきらきら

笑っています。

悲しい気持ちで来た人には、

あたたかい思い出の香りがするお部屋を

がんばりすぎた人には、何も考えなくてもいい

静かな空のお部屋を

そしてー

小さな女の子が、ひとりやってきました。

女の子は、ぎゅっと小さなかばんを抱えています。

少しだけさみしそうな目をしています。

「いらっしゃいませ。」
ひつじの支配人が、やさしく声をかけます。

「ここは、どんな夢も休める場所ですよ。」

女の子は、小さくうなずきました。

案内されたお部屋は、夕焼けに染まった、
あたたかい雲のお部屋。

ベッドは、ふわふわで、まるで空に抱きしめられているようでした。

「おやすみなさい。」

ひつじの支配人の声を聞きながら
女の子は、ゆっくり目をとじます。

するとー

遠い記憶の中で、
誰かに抱きしめられていたぬくもりが、ふわっと戻ってきました。

「だいじょぶだよ。」

女の子の頬を、ひとすじの涙がつたいます。

でも、それは、少しだけ
あたたかい涙でした。

やがて静かな寝息が広がり
やさしいねむりにつつまれます。

やがて夜が明ける頃

空が、うっすらと青くなりはじめた時。

ひつじの支配人は、そっと窓の外をみました。

「そろそろ、お別れの時間ですね。」

雲ホテルは、朝になると消えてしまうのです。

音もなくゆっくりと、
まるで最初から無かったように‥

朝日がのぼると同時に、
女の子は、自分のベッドの上で目をさましました。
見慣れた天井。
見慣れた部屋。

でも‥胸の中は、とってもあたたかい気持ちです。

手のひらの中に小さなふわふわがひとつ。

それは、ひつじの雲のかけらでした。

女の子は、そっとそれを握りしめて
「また、行けるかな?」

女の子は、つらい気持ちの時やひとりになりたい気持ちの時

風に呼ばれるように

女の子は、ひつじの雲ホテルを訪れるのでした。


おしまい



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#創作童話
#オールカテゴリ部門








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