バースデーはエジプト料理
家を出て一人で暮らす娘と夫の誕生日は近く、2人一緒にお祝いのディナーに3人で行くことになった。
お店は、娘のリクエストで以前から気になっていた、神戸三宮のエジプト料理店に決まって、一番喜んでいるのは、私。
娘のリクエストでなければ、夫は反対したに違いない。冒険心のない夫のリクエストとなれば、決まって焼肉で、それも、どこにでもあるチェーン店に決まっている。その夫は、娘のリクエストとなれば、絶対にNOとは、言わない。
娘は、私の影響かDNAの仕業か、食べることも仕事も何もかもがチャレンジャーだ。そして、好奇心旺盛である。
その娘が1人でよく行くケバブの店があり、そこのエジプト人オーナーに教えて貰ったというその店は、異人館の近くのビルの2階にあった。
ドアを開けると素敵なエジプト人オーナーシェフの女性が出迎えてくれて、その日は贅沢に私たちだけの貸切りだった。
店内は、カウンターのみで三つ星レストランでキャリアを積んだというシェフが1人で切り盛りしていた。席に着いてドリンクの説明からはじまり、夫は、エジプトビール、私と娘はエジプトの杏のジュースで乾杯した。
エジプトビールを選んだ夫は、以前なら間違いなく生ビールを選んだはずだが、私と娘の手前、チャレンジャーに変身していた。
そこからは、シェフのお任せコースとなり、前菜からデザートまで、全てが美味しいというより、素晴らしかった。
盛り付けが女性ならではの繊細さがあり、味付けは、全てあっさりしていて、かなりのボリュームだが、いくらでもお腹に入って胃がもたれない。エジプト料理は、基本、スパイスは使わず塩コショウのみで作ることが多いらしく、その分、素材の良さが引き出され、素材そのものの味が舌にしっかり伝わってくる。
そして、シェフの会話もとても豊かで楽しいものだった。エジプト料理の話からはじまり、クレオパトラやジュリアス・シーザーの話に近隣の国や歴史について詳しく教えてくれた。
これが世界各国料理の醍醐味なのだ。
その国の味と一緒に文化を学べる、多少、奮発しても満足できる。ただ食べて終わりの店なら、ちょっと損をした気分になる。
料理が出される度にレシピを教えてもらい、特にババガヌーシュ(焼き野菜と胡麻のペースト)がとても気になり、細かくメモを取り、シェフ自家製の練りごまとエイシ(パン)をいただいたので、近々、自宅で再現するつもりだ。
料理は、これでもかというくらい次々と続き、店を出る頃には3時間は過ぎていた。 メインはエジプトの伝統料理のカラスミや挽肉をパンに挟んで焼いた「ハワウシ」など、どれも絶品だった。
余談だが、話の流れでシェフと私は以前に勤めていた職場が偶然、同じだった。
働いていた時期は、重なっていなかったがシェフはキッチンスタジオ担当、私はキッチンステージ担当、お互い、会社の合併に泣かされ、共通の知人もいて、大いに盛り上がった。
話の続きに今度は、こっそり私1人で食べに行くのもいいかもしれない。
軍資金のために、また明日から仕事をがんばろう。


なすがメインで右端に自家製カラスミ

なす、ピーマン、赤ピーマン、万願寺とうがらしなどの
夏野菜を網で焼いて、にんにく、練りごまとブレンダーで合わせたエジプトの伝統的なディップでフムスに近い

ババガヌーシュととても合う


エイシに挽肉を挟んで焼き上げしたもの
ピロシキに近い味がした

お米とスパイスを腸詰めにしたもの
噛めば噛むほど腸皮から旨味が出てくる

容器はエジプトの伝統的な鍋


ほろほろと崩れて、とてもやわかくジューシー


アレキサンドリア風
ムール貝は、驚くくらいの大きさ

麦とココナッツのエジプトの伝統菓子


