『鬱病という深い闇を生きる』第2話
第2話
“頑張って”が刺さる日、
“頑張らなくていい”が突き刺さる夜
「頑張って」──その言葉を、
私は何百回、何千回と聞いてきた。
もしかしたら、言ってくれた人は、優しさだったのかもしれない。
励ましだったのかもしれない。
でも、あの頃の私にとって、その言葉はまるで──
刃物だった。
“何をこれ以上頑張ればいいの?”
“もうとっくに限界なんだよ”
そう叫びたいのに、声にならなかった。
「頑張らなくていいよ」って言葉もあった。
最初は救われた気がした。でも──その夜、私はベッドの中で泣いた。
“じゃあ、私はもう……いらないってこと?”
“役に立たないなら、もう何も期待されてないってこと?”
そうやって、どの言葉も「毒」に変わっていった。
誰かの優しさでさえ、
私の中の“自分責め”が歪めてしまう。
本当に欲しかったのは、“言葉”じゃなかった。
“安心”だったのかもしれない。
「ここにいていいよ」って、
何も言わず、ただ隣にいてくれる誰か。
何もしてない日でも、
何もできなかった日でも、
「あなたはそのままで大丈夫」と、
心から信じてくれる“存在”。
だけど、現実には──
「今日は何かした?」
「早く元気になって」
「前向きに考えていこうよ」
……そんな“正しさ”が飛んでくる。
誰かの「正しさ」が、
私をどんどん追い詰めていった。
私は、“正しい言葉”に疲れていた。
“正しい生き方”に潰されていた。
「間違っていても、何もできなくても、それでも“人”として見てほしい」
そんなことを、心のどこかでずっと願っていたのかもしれない。
回復への道は、“励まし”から始まらなかった。
始まりは、“そのままの自分を否定されなかった”ことだった。
涙を流したとき、「泣いていいよ」と言ってくれた人。
何も返せなかった日、「話せなくても大丈夫」と言ってくれた人。
──その言葉は、刺さらなかった。
むしろ、染み込んだ。
言葉って、ほんとうは「刺す」ものじゃなくて、
“寄り添う”ものだったんだ。
🔻第3話に続く
本当に欲しかった言葉は、言葉じゃなかったかもしれない
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