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〜第48夜〜 深夜の病院

◆ はじめに


あぁ……嫌ですねぇ……
病院ってのはね、昼間は人がたくさんいて賑やかなんですが、深夜になると……ガラリと雰囲気が変わるんですよ、えぇ……。
無音に近い静けさのなか、どこからか聞こえる機械音と、消毒液の匂いがね……逆に不安を煽るんです。

今回のお話はね、私の知人が体験した──いや、もしかしたら“体験させられた”……
そんな夜の病院でのお話なんですよ……。





これはね、ある大学病院の話なんです。
深夜、急患対応で運び込まれた患者さんがいたそうでね。
その看護師さん、Aさんという女性なんですけど、当直でナースステーションにいたんです。えぇ。

時間は夜中の……そうですね、2時を少し回ったころでしょうか。
廊下の非常灯だけがぼんやり光ってて、ナースステーションの向こうには、長い廊下がずーっと続いていたそうなんです。
その先には……今は使われていない旧病棟への渡り廊下があって、鍵もかかってて入れないはずなんですがね。

ところが──ふと視線を上げたとき、その渡り廊下の向こうで……“誰か”が歩いているのが見えたらしいんです。

しかも、その“誰か”が着てるのは、
もう今じゃ使われていない、昭和時代の病院の患者服……縞模様の、少し古びたやつ……えぇ。

「おかしいな……誰か入り込んだのかな?」

Aさん、不安に思ってモニターで確認しようとしたんですが、ちょうどその時間、廊下のカメラが一時的に“映らなくなって”いたらしいんです。
──偶然ですかねぇ……えぇ……嫌ですねぇ。

念のため、見回りがてら確認に行ったそうなんですよ。
だけど……旧病棟へつながるドアは、やっぱり施錠されたままだったそうで。

「見間違いだったのかな……」

そう思ってナースステーションへ戻る途中──

背後から、「……みつけてくれて、ありがとう」って、女の声がしたんですって。

驚いて振り返ったけど、誰もいない。
でも、目の端に……誰かが廊下の角を曲がっていくのが見えたんです。
──その足元、びしょびしょに濡れていたそうです……えぇ……。

後日談なんですがね。
病院の片隅にある倉庫スペースを整理したとき、Aさんがたまたま見つけたんだそうです。
古い患者の記録ノート──水害で搬送された女性のカルテ。
旧病棟の4階で治療中に、浸水事故で亡くなったと記されていたとか……。

その記録には、こう書いてあったそうです。
「今も、だれか来てくれるのを待っているような気がする」

──えぇ……いやですねぇ、本当に……。


◆ あとがき


病院という場所は、生と死が隣り合わせに存在している分、いろんな“気配”が残る場所なのかもしれません。
ただの通路でも、そこを通った“誰か”の想いが、今もまだ漂っていることがあるんですよ……えぇ……。

皆さんも、夜の病院ではあまりキョロキョロしないほうがいいかもしれません。
視線を合わせたら……戻れなくなるかもしれませんからねぇ……ふふふ……。


◆ 裏夜話のご案内


💡裏夜話では、この病院で実際に“語り継がれている噂”をさらに深掘りしています。
階段の踊り場で立ち尽くす影、スタッフステーションに突然現れるナースの幻影──
表では語れなかった“もう一つの夜”を、あなたにも。

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さぁ……もう一歩、夜の向こう側へ。

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◆ 裏夜話:


〜視線の先にいたのは、誰?〜

Aさんが体験した出来事のあと、病院内では小さな噂が広まっていたんです。
「旧病棟の廊下、誰もいないのにナースコールが鳴る」
「深夜のカメラが定期的に落ちる時間がある」
「渡り廊下の向こうに……昔の制服を着た看護師が立っている」

実はAさん、その後も何度か“同じ時間帯”に呼ばれることが増えたそうで──
何かに“呼ばれている”ような気がしたそうなんです。

極めつけは、ある日の明け方──
出勤したスタッフが、ナースステーションに一枚のメモを見つけたんです。
そこには、こう書かれていたそうです。

「たすけてくれて、ありがとう。
ここから、出られそうです。」

手書きの文字は、ふるえていて……でも、どこか“安堵”がにじんでいたそうです。

えぇ……本当に成仏できたのかもしれませんねぇ……。
でもね、ひとつだけ、不思議なことがあるんですよ。

その日以降──カメラの映像が、決まった時間だけ砂嵐になる現象は、いまだに続いているらしいんです……。


◆ 裏あとがき


あぁ……怖いですねぇ……。
見えたから怖いんじゃないんです。
見えなかったものが、そこに“いた”とわかった瞬間……それが、いちばん怖いんですよ。

あなたの背後──いま、誰もいませんよね……?

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