第47夜「小学校のピアノ室に響く音」
はじめに
いやぁ……聞いたことありますか?
“誰もいないはずの音楽室からピアノの音がする”っていう話……。
えぇ、まぁ定番と言えば定番なんですけどね……。
でもね、それがね──、
“実際に体験した”って人に会ったとき、ぞわぁ……っとしたんですよ……。
今回のお話はね、
僕が昔、地方でお会いした女性が語ってくれた体験談なんですけどね……。
これがもう、背中がひゅ〜っと冷たくなるような……
そんな話でしてね……えぇ……。
その方はね、仮に「佐藤さん」としておきましょうか。
佐藤さん、小学生の頃からピアノを習っていてね、
放課後、校舎の音楽室で自主練習してたらしいんですよ。
で、その日もね──冬の夕方、もう陽が落ちかけてる頃に、
先生の許可もらって、一人で音楽室に入ったんですって。
ピアノの椅子を引いて、鍵盤に手を置いて、
ベートーヴェンの「エリーゼのために」を弾き始めた。
でも……弾き終えたときにね、ふと“違和感”に気づいたらしいんですよ。
「あれ? 私、今、途中までしか弾いてないのに……」
……って思った直後──、
背後から、
「ドー…ミ…ソ〜〜〜…」
……って、和音が……鳴ったんですって……。
もちろん、誰もいないんですよ。
鍵も閉まってるし、先生たちも職員室。
ましてや、校舎のこの一角なんて、寒くて誰も寄り付かない……。
佐藤さんね、怖くなって、
「今の……風かな……? 気のせいかな……?」って、
自分を落ち着かせようとして、もう一度、鍵盤に指を置いたんですけどね……。
また、背後から──、
「ドー…ミ…ソ〜〜〜……」
もう、弾いてないんですよ? 自分は。
でも鳴るんです……音が……。
そしてね、そのあとですよ……。
ピアノの椅子が、「ギィ……」って、
勝手に……引かれたらしいんですよ……。
もう、佐藤さん、
「うわああああああっ!!」って叫んで、
楽譜も何もかも放り出して、裸足で逃げたそうです……。
でね、翌朝。
忘れた楽譜を取りに行ったんですけど、
音楽室のピアノ、鍵が壊れていて、鍵盤がひとりでに沈んでいたって……
先生に言われたらしいんです。
──でもね、不思議なんですよ。
そのピアノ……その翌週、完全に撤去されたんですって……。
えぇ……理由はね……
「誰もいないのに音が鳴る」って、
他の生徒からも何件も報告があったんだそうです……。
あとがき
いやぁ……ピアノの話って、何かこう……響くんですよねぇ……。
夜の校舎、誰もいない音楽室。
鍵盤が、誰もいないのにポーン……って鳴ったら……ねぇ?
ちなみにね、佐藤さん、
今でも音楽が大好きで、ピアノは弾いてるそうですよ。
でも、“あの日の曲”だけは絶対に弾かないって……。
えぇ……「エリーゼのために」だけは……。
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