見出し画像

-赤信号の中で、エンジンを切る

赤い光に包まれた部屋。
アクセルも、ブレーキも、もう踏まなくていい場所。
外は夜で、
ガラスの向こうに植木が見える。
世界はまだ動いているけど、
ここだけ時間がアイドリングしている。
ソファは柔らかく、テーブルは重い。
軽さを求めない設計。
速さよりも、止まる覚悟が必要な場所だ。
人はいない。
でも、走ってきた人間の気配は残っている。
会話の残響、グラスの温度、
決断しなかった言葉たち。
席は番号で呼ばれる。
名前も肩書きもいらない。
ゼッケンすら外した状態。
SPEED JAMMING。
それは渋滞じゃない。
意図的に速度を落とす行為だ。
走り続けるために、
一度、完全に止まる。
エンジンを切り、
自分の呼吸音だけを聞く。
この赤い部屋は、
再始動のためのピットだ。

いいなと思ったら応援しよう!