〜ジャッキー・チェンのハリウッド初主演作〜『バトルクリーク・ブロー』
『バトルクリーク・ブロー』

あらすじ
1930年代シカゴ。ここではマフィア同士の抗争も、銃だけじゃ飽き足らず「じゃあ殴り合いで決めようぜ」という謎にスポーツマンシップあふれる賭け試合で決着がつく世界。
だがドミニチ親分、これがとにかく弱い。
というか、相手のモーガンが送り込む“最強ファイター”キッスにボコボコにされ続け、面子はボロ雑巾状態。

そんな中、チャイナタウンで平和に暮らしていた青年ジェリーが、ひょんなことからドミニチの目に留まる。
理由はシンプル、「めちゃくちゃ強いから」。
父の店を荒らすチンピラを軽やかに返り討ちにしたその姿は、まさに“歩く保険”。

だがスカウト方法がマフィア式なので、「出場してくれたら人質返すね」という実質脅迫オファーが飛んでくる。
こうしてジェリーは、テキサス州バトルクリークで開かれる怪しさ満点の格闘大会へ強制エントリー。
そこでは拳だけでなく、ルールも倫理も吹っ飛んだ“何でもあり”の戦いが待っていた。

牛よりタフな男たち、見世物小屋みたいな対戦カード、そして例のキッス。
ジェリーは持ち前のスピードと機転、そして「だいたいその辺にある物を武器にする」お家芸で、観客も悪党もまとめて巻き込む大暴れを見せるのだった。

キャスト
ジェリー・クワン ⋯ジャッキー・チェン

ドミニチ ⋯ホセ・フェラー

ナンシー ⋯クリスティーヌ・デ・ベル

ハーバート・クワン⋯ マコ

ビリー・キッス ⋯ハードボイルド・ハガティ

スタッフ
監督⋯ロバート・クローズ
脚本⋯ロバート・クローズ
製作総指揮⋯レイモンド・チョウ
音楽⋯ラロ・シフリン

解説
本作は、ロバート・クローズ監督による香港×アメリカ合作映画であり、ジャッキー・チェンのハリウッド初主演作。
つまり「世界進出の第一歩」なのだが⋯正直に言うと、この時点ではまだ“いつものジャッキー”ではない。
というのも⋯
●コメディ控えめ(え、そこ抑えちゃう?)
●危険スタントも控えめ(ジャッキーが大人しいだと…?)
●アメリカ流の演出にやや戸惑い気味
と、まるで「借りてきた猫」ならぬ「借りてきたドラゴン」状態。

しかし!それでも光るのがジャッキーの身体能力とアクションセンス。
椅子だろうが樽だろうが、手に持てば全部カンフー道具に変えてしまうあの発想力は、この時点ですでに健在だ。
また、地下格闘大会のカオスっぷりも見どころ。
ルール?そんなものは飾りですと言わんばかりの無法地帯で、観客も含めて全員テンションがおかしい(出場選手達は開会式のセレモニー、調子っぱずれな国歌斉唱の場でも、それを無視して大乱闘をおっ始めます)
もはや格闘技というより「大乱闘祭り」である。

まとめ
『バトルクリーク・ブロー』は、完成されたジャッキー映画ではない。だが、だからこそ面白い。
後に『ポリス・ストーリー』や『プロジェクトA』で爆発する“ジャッキー節”の前夜⋯。
いわば「助走中のジャッキー」を楽しめる、ちょっと不器用で妙に味のある一本なのだ。

そして何より、「アメリカでもとりあえず殴って解決する」という普遍の真理を教えてくれる映画でもある。
いや本当にそれでいいのかはさておき。

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