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魚を愛する二つの国。ポルトガルと日本の食文化の共通点を考える

はじめに

現在、日本に一時帰国しています。地元のスーパーに足を運ぶと、鮮魚コーナーには新鮮なアジやサンマが並んでおり、1尾100円から200円ほどの手頃なお値段で手に入ります。

自分で簡単に下処理をし、オーブントースターで塩焼きにして夕食に食べるのが最近の楽しみです。仕上げに醤油を少し垂らすだけで、香ばしい皮と柔らかな身の旨味が引き立ち、とても豊かな気持ちになります。

普段フランスの地方都市で生活している私にとって、このような生の青魚の塩焼きは、なかなか味わうことができない贅沢な料理です。


フランスでの魚事情とサバの干物

フランス、特にパリ以外の地方都市では、新鮮な丸ごとの魚を手に入れるのが難しくなります。フランスの魚料理は切り身(フィレ)をムニエルやソテーにし、ソースと一緒に味わうスタイルが一般的で、日本の「魚を丸ごと塩で焼く」という調理法とは異なります。

そのため、普段はスーパーで購入できるサバ(Maquereau)の干物をフライパンで焼き、日本の塩鯖のような感覚で白いご飯と合わせて食べています。これはこれで重宝しているのですが、やはり焼き立ての生のアジやサンマの香ばしさとは少し異なります。


2023年冬、リスボンでの出会い

そんななか、2023年1月に訪れたポルトガルのリスボンで印象的な出来事がありました。大学の前期試験が終わり、試験休みの旅先で入った現地の食堂でのことです。

運ばれてきた料理は、開いた状態で香ばしく焼き上げられた「アジの塩焼き」でした。さらに印象的だったのは、「蒸した白いご飯」が添えられていたことです。

ヨーロッパで魚の付け合わせといえば茹でたジャガイモが定番ですが、ここではご飯が提供されていました。メインの塩焼きに白いご飯、そして小鉢に入った蛸のサラダという構成は、まるで日本の「焼き魚定食」のようでした。

食べてみると、ふっくらとした身の旨味と香ばしさが印象的で、ヨーロッパにいることを忘れてしまいそうな懐かしさを感じました。

また、この滞在中にはポルトガル名物の「タコの油揚げ料理(Polvo Frito)」も味わいました。外は香ばしく、中はとても柔らかく調理されており、ポルトガルの魚介料理の幅広さを感じることができました。


ポルトガルと日本の食文化の共通点

ヨーロッパの西端にあるポルトガルと、アジアの東端にある日本。遠く離れた両国で、なぜこれほど似た魚食文化が存在するのでしょうか。そこには「地理」と「歴史」にまつわる理由があるようです。

  1. 地理と「鮮度」の共通点:両国とも大洋に面した南北に長い沿岸国で、暖流と寒流が交差する豊かな漁場を持っています。海岸線と街が近いため、冷蔵技術がない時代から新鮮な魚が手に入りやすく、「シンプルな塩焼きや揚げ物が一番美味しい」という素材重視の調理法が定着しました。

  2. 「足し算」のフランス、「引き算」のポルトガルと日本:内陸都市が多いフランスでは、かつて沿岸部から魚を運ぶ際に時間がかかり、魚の鮮度が落ちてしまう問題がありました。そのため、生臭さを補い旨味を乗せる手段として、バターやワインを使った濃厚なソース文化(足し算の調理)が発達しました。 一方、常に新鮮な魚が手に入ったポルトガルや日本は、ソースで覆い隠す必要がなく、「塩と火だけで素材の味を引き出す(引き算の調理)」という共通の食文化へ行き着いたと考えられます。

  3. 歴史的な繋がり:16世紀の南蛮貿易を通じて、ポルトガルのフリッター文化が日本の「天ぷら」へ、揚げ魚の酢漬け(エスカベッシュ)が「アジの南蛮漬け」へと変化していったと言われています。このように、両国の魚料理には歴史的な繋がりも存在します。


おわりに

直火で塩焼きにする手法自体は、両国でそれぞれ独自に生まれたものとされていますが、「海の恵みをそのままいただく」という姿勢が共通していたからこそ、古くからの文化交流もスムーズに行われたのかもしれません。

2023年冬のリスボンで食べたアジの塩焼きの味を思い出しながら、今こうして日本の実家でアジやサンマを焼いています。

新学期でフランスに戻るまでの間、残り1か月を切りましたが、日本の旬の魚を十分に味わいたいと思います。

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