売り上げより必要とされることをやる
4月中旬に瀬戸内海を一人旅した際に、淡路島で万能調味料やパスタソースの加工業をされている角田大和さんにお会いしてきた。
普段、東京にいるので距離があるのですが、今回瀬戸内海を旅することにあたり、会えるじゃん!と思って、すぐさまご連絡をしてお会いする約束をした。
そして、当日。
前日に愛媛の道後温泉にいたため、鳴門海峡を通って大和さんのお店へ。
お店は海岸線から離れた静かな場所にあり、古民家を改装したもので、古き良き商店の外観で存在感があった。店の中にいると、時折スピードを落として様子を伺う車が結構いた。
中に入ると実物の大和さんがいらっしゃった。
落ち着いている方で、なんだか自分は緊張した。
ご挨拶後にお店の中を説明いただき、調味料やソース、そして缶詰だけでなく、日本酒やワインも置いてあり、ちょっと秘密基地感があってワクワクした。
大学を辞めて、食材の世界へ
そして大和さん自身の話へ。
お会いした瞬間、緊張してしまって取り止めもない話をしてしまったが、途中から大和さんのお話を伺った。
ゆったりとした話し方から出てくる言葉から、並々ならぬ行動力と大事にしている価値観が伝わり、最後は話に夢中になって聞いていた。
大和さんは広島出身の方で大学時代に経営学を学んでおり、食材とは無縁の世界で過ごされていた。
しかし、転機は卒論のテーマが農業だったこと。
書くにあたり「現場を知らないと書けないよな」という思いで、築地市場で働き始めた。そして働いていくうちに食材に関する仕事をしたいと決意され、食材の世界へ。
けれど、そこでまず驚いたのは論文をきっかけに、大学自体を辞めてしまったこと。
大和さん曰く、「やること決まったなら、大学いても仕方がないし、その時間を仕事に当てたほうが良い」とご両親や周囲の反対もありながらも、ご自身の気持ちに従い、論文提出後に辞められた。
農業の論文を書く流れで、大学を辞める流れには、中々ならない。
同時に、自分が決めたことを曲げずに突き通す姿勢が大学生の時点であることに、驚きでしかならなかった。
いや、さすがに自分が同じ歳だとしてもその決断はできないし、そもそも明確にこれがやりたいことがないから、その決断すら至れない。
大学生の人で果たして、全体のどれくらいいるのだろうかと思った時に、まずいないだろうと感じた。
実際、多くの人は就活というイベントで就職していき、社会人の中でやりたいことを見つけるか、見つけられずにライフステージのイベントをこなしていく。
そもそも、人生を通してやりたいことは見つかるのだろうかと疑問。
大和さんは、若い頃から自分の個が確立されている方なんだと感じた。
絶好調のお店を突然閉めた理由
その後、兵庫県の丹波篠山でオーナーとして料理を振る舞う仕事へ。
詳細は下記をご覧になってほしいが、農家さんや猟師さんと会話しながら、食材を集め料理を考えて振る舞うスタイルで、とても斬新だと素直に思った。
また同時に野菜の卸売も始められており、順調に進んで行ったとのこと。
お店自体は、ある日を境に急速に伸びていき、関西圏で遠方からくる方も増え、コース料理も予約で埋まっていった。
だが、同時に大和さんは、野菜の卸売をしていく中で、生産者目線で起きている様々な課題を目の当たりにするようになった。
せっかく作った野菜が出来すぎて余ってしまう、形が悪く品質がいいのに出荷できないから捨ててしまう場面を目の当たりにされた。
その場面を見ていく中で、大和さんは生産者の方の抱える課題について深く考えるようになり、当時の想いを教えていただいた。
「料理で喜んでいただけるお客様は嬉しい。ある時からある程度見通しは立つようになっていた。しかし、自分だけ売り上げが上がるのは違う。
生産者あっての飲食店であり、実際に見て感じた生産者の課題があった。
特に作物が豊作になったり、品質はいいけど形が良くないもの。
こういったものが捨てられていく現実が嫌で、なんとかしたい気持ちがあった。」
大和さんは、生産者の課題である食材について、どうしたら価値を下げずにできることは何か考え続けた結果、新たなチャレンジをした。
加工食品への道だった。
思い立ったら吉日。
絶好調であったお店を大和さんは閉めることにして、加工食品の道へ歩み始めた。
奥さんにも伝えて驚かれたとのことだったが、特に反対はされなかったとのこと。奥さんの肝がとても座っている。
「なんとかなる」で続けられた理由
しかし、誰もやったことがない余った食材を加工する生業。
大和さんはまず参考例を探してたが、誰も出てこない。
全くの未知の領域だったのだ。
なので、自らが先駆者として、試行錯誤しながら一つひとつ失敗を重ねながら進み続けられた。
最初は赤字だらけで、とてもご苦労を重ねていたとのことでしたが、5年目で黒字化されたとのこと。
その話を聞いて、想像もつかない辛さやしんどい状況にあったのではと思いつつ思わずこう聞いた。
「お金がゼロにならないか心配じゃなかったんですか?」
でも、すぐさまこんな言葉が返ってきた。
「なんとかなると思っていたからね」
もう少し話を伺うと、貯金数千円しかない時代もあり、過去の経験で家賃を払うために、お金のためにバイトしながらなんとかやってきた経験があるとのことだった。
僕からしたらドン底だし、おかしくなっている自覚がある。
やはり、一度とてつもない状況に陥った人はとても強いし、落ち着きがあるなと確信した。
でも同時に、「どんなにお金になることでも、お金のために働くことは嫌いなんだよね」と二度としたくないと、おっしゃっていて少し驚いた。
なぜなら自分も同じように思っていたので、同じように思ってる人が、圧倒的な行動力と努力で進められるのはなぜだろうと思った。
求められることから、やりたいことを見つける
私自身、いろいろチャレンジや人の話を聞いていく中で、お金のためではなく、やりたいと思うことをやりたいという想いは強い。
とはいえ、大和さんと違い、やりたいことが見つけられておらず、これまで悩んでいた。
しかし、大和さんはやりたいことをやり、仕事して生活ができるのだろうかと話していくうちに、ようやく気づいた。
「誰かにとって必要なことをやっている」
求められていることがあって、その中に大和さんのやりたいという気持ちがある。だからこそ成り立っているんだと。
私から大和さんに「必要だからやっているんですか」と聞いてみたが、「あんまりわかんないけど、そうなのかもね」と意識されている感じではなかった。
でも、このことは、僕の中でとても大きく衝撃だった。
「求められていることから、自分のやりたいことを探せばいいんだ」という気づきは、これまで上手くいっていない大きな原因の一つだった。
「やりたいことの中から、求められていることを無理やり当てはめようとしていた」自分から変えていかねばならない。
これからは大和さんと同じように、「求められることから、やりたいことを見つける」
今現時点でやりたいことはない。だから行動が必要。
行動自体は、もちろん心のままに動くことも必要だけど、求められることから探す視点はもっと大事だし、それが今回お会いして一番学んだこと。
様々な経験や会話を通じて、求められることが何か、そして自分が好きなものかやってみて、心が躍るかで判断していく。
これから、いろいろ失敗もするだろうが、その失敗も必ず上手くいくために必要なことだと信じて、人に頼りながら見つけていこうと強く感じた。
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