反魂旦 美都家 富山県高岡市 和菓子なスクチャイ199 2025.12.13
和菓子なスクチャイ199 富山県 > 高岡市
※くまの身長は7.5cm。大きさの参考に。
反魂旦 美都家 富山県高岡市







1.ホクホクした富山の薬売りのひと口饅頭
富山駅で税込1,080円で買ったお菓子だ。
金色の包みを剥いてさっそく食べるとホクホクしてうまいのだった。
最初は栗のようにも見えて喜びかけたが、原材料名にもかかれていない栗が入っているわけはない。
箱は以下にも詳しく書くが、富山の薬売りの行李(当時の鞄)をイメージしてのデザインらしい。
つまりこのお菓子は富山の伝統薬と薬売りを表現しているのだ。
2.食べる


お菓子は薬をイメージしている反面、外側の生地がホロッと崩れるひと口饅頭で、味は濃厚で香ばしいチョコレート味だった。
中はホクホクした白あんだ。
見た感じの地味な和風とは裏腹に、味はどちらかと言うと洋菓子かもしれない。
オマケに紙風船が入っていることもニクイ演出だ。

手で開いて穴に空気を吹き込むと簡単に膨らんだ。ちなみに穴に直接口を付ける必要はない。
3.菓匠美都家
富山県高岡市の老舗、菓匠美都家(みつや)(または反魂旦本舗美都屋)が製造販売する銘菓「反魂旦(はんこんたん)」は「薬都」として知られる富山の文化をそのままお菓子にしたような非常にユニークで愛らしい逸品なのだ。
3.1.菓匠美都家の歴史
創業は昭和24年(1949年)で、富山県高岡市の大坪町に店を構えた。
富山といえば江戸時代から続く「富山の薬売り」が有名だが、初代の密儀作氏はその薬売りたちが全国に広めた精神や文化をお菓子で表現したいと考え創業した。
昭和39年(1964年)には内閣総理大臣賞を受賞し、高岡のみならず富山を代表する銘菓としてその地位を確立した。
4.銘菓「反魂旦」の由来と特徴
名前の響きから気づく人もいるかもしれないが、富山の有名な万能薬「反魂丹(はんこんたん、または、はんごんたん)」にあやかって名付けられた。
反魂丹は江戸時代に富山で誕生した富山を代表する和漢胃腸薬で、生薬(動植物由来の薬草)を配合し、胃もたれ、飲み過ぎ、食べ過ぎ、消化不良、腹痛などに効果を発揮し、弱った胃腸の働きを助ける薬だ。
吾輩は服用したことはなく味も効果も知らないが、今もある薬なのだ。
名前の「反魂」は「死者の魂を呼び戻す」という意味で、中国の霊薬に由来し、富山売薬(配置販売)のきっかけとなった歴史的な薬なのだ。
薬は「丹」と書くが、お菓子は「夜明け」や「はじまり」を意味する「元旦」の「旦」の字が当てられている。
これには「食べた人の心が明るく元気に開けるように」という願いが込められている。
金色の包み紙を開けると直径3cmほどのコロコロとした茶色の丸いお饅頭が現れる。
これは薬の丸薬(薬玉)を模した形なのだ。
小麦粉にココアやチョコ、バター、蜂蜜を練り込んだ香ばしい洋風の生地となっている。
中に、上品な甘さの白手亡豆(しろてぼうまめ)のこしあんが詰まっている。
口に入れると、ココアのほろ苦さと白あんの優しい甘さが溶け合い、どこか懐かしくもしっとりとした味わいが楽しめる。
5.「おまけ」の紙風船
反魂旦の箱を開けると、中には小さな紙風船が同封されている。
これは大阪の吾輩も経験があるのだが、かつて富山の薬売りのおっちゃんが配置薬を届けた家庭の子供たちにお土産として配っていた小さいおもちゃの名残りなのだそうだ。
吾輩が富山の薬売りから実際にもらったのはゴム風船が主だったが、もっと過去には紙風船という時代もあったのだろう。
美都家はその伝統を大切にし、今もお菓子と一緒に「当時のワクワク感」を届けているのだ。
お菓子の箱は、薬売りが背負っていた「柳行李(やなぎこうり)」をモチーフにしたデザインになっており、細部まで富山の歴史への愛が詰まっている。
最近では、3代目の発案で白あんにバナナを練り込んだ「バナナ味」など、新しいフレーバーも登場し、若い世代からも注目を集めているらしい。
高岡の歴史ある街並みの中で100年前の薬売りたちの姿に思いを馳せながらいただく「反魂旦」は、まさに心に効くお菓子だ。
(おわり)
