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異星人アリサと閻魔さまのトリセツ【小説】第1話「三途の川を駆け抜けるアリサ」

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冥界の秘密?暴いたわよ。閻魔さまの正体も、人類のはじまりもね”
                          
―― by アリサ

はじめに

2024年10月――この物語は、ここから始まりました。
異星人から聞いた話は、疫病の時代を生き抜いた命への祈りでもあります。そして、愛犬リッチーが教えてくれた優しさを胸に、新地球の夜明けを願いながら私はこの物語を紡ぎました。
物語の約7割はノンフィクションです。冥界を訪れ、無事に帰還した人々の証言を織り交ぜながら、異世界ファンタジーとして再構築しました。
この物語を、すべての魂に捧げます。


主な登場人物とプロフィール

アリサ・ハルトマン・フェイ 
宇宙人と地球人の混血女性。秘境ツアーコンダクターとして働くアリサ・ハルトマン・フェイは、祖父がアトランティスから転生した日本人、祖母がドイツ人に扮したアルクトゥルス星人とレムリア人の血を引くハーフという、壮絶な家系の末裔。父は地球系のシンガポール人。母に一目惚れし、運命に導かれるように結ばれた。兄弟姉妹の中で、宇宙的要素はすべて彼女に集中。ある出来事をきっかけに、異次元を自在に移動できる特異体質へと変貌を遂げる。冥界と地上界を行き来しながら、地球の運命に深く関わっていく。年齢不詳。

閻魔大王(えんまだいおう)
ニヒルな冥界の神。死者の裁判で「嘘をつくと舌を抜かれる」と畏れられているが、実際はーー。閻魔大帳に人類起源からの事象をすべて記録している。冥界に来るすべての霊魂と会話する役割を担う。尚、年齢及び性別不詳。

犬好 真由美(イヌヨシ マユミ)
お酒と犬が好きな日本人女性。大学講師、美容と占い関連のWEBライターを経て陰謀論系ライターへと転身。スピリチュアルカウンセラーとしても長いキャリアを持つ。前世も現世も地球人だったりする。ふとした縁で異星人・ドクター・ミネルバと出会い、彼女から聞いた話を楽天ブログやnoteで『異星人から聞いた話』シリーズとして発表。電子書籍も刊行している。
その独特な視点と、異星人しか知りえないエピソードや知識が読者の興味を引く。異星人アリサとはブログを通じて出会い、物語に深く関わっていく。年齢不詳。

奪衣婆(だつえば)
三途の川岸に駐在する女神。死者の衣服を剥ぎ取って罪を測量するスペシャリスト。厳格かつ独創的な性格で、冷徹とも評される。特に弱者に対してひどい仕打ちをした人間に厳しいハカリゴトをする。尚、閻魔大王の妹と信じられており、兄よりも怖くて厄介な存在。年齢不詳。

異星人 ドクター・ミネルバ
アルクトゥルス星から“ワーキングホリデー”で地球にやって来た、知的で冷静な女性。日本の医師免許を取得し、某大学病院で外科医として勤務する傍ら、犬好真由美や地球の友人たちに宇宙や地球の不思議な現象についてレクチャーを行っている。日本食をこよなく愛し、現在は日本人への帰化を真剣に検討中。西洋占星術や東洋易などの伝統文化にも深い関心を持ち、その造詣は異星人とは思えぬほど豊か。アリサとも交流があり、物語の鍵を握る存在のひとり。年齢不詳。


三途の川を駆け抜けるアリサ

三途の川の水面を、水上バイクで爆走するアリサの姿があった。彼女の背後には、怒り狂った三人の女神たちが追いかけて来る。女神たちの怒号が稲妻のように冥界の空気を切り裂き、アリサの背中に重くのしかかった。

「逃がさないわよ、アリサ!」 
リーダーの女神が叫んだ。
 
しかし、アリサは振り返ることなく、全速力で閻魔さまのいる宮殿に向かった。間もなく、川のほとりに金色の塔が真っ白な空にそびえ立っているのが見えた。

アリサは水上バイクから降りると、一目散に宮殿へ駆けていった。宮殿の前は静まり返り、人の気配は感じられなかった。
 
ふと何かを察して見上げると、高い門柱の頂上には恐ろしい鬼の彫刻が睨みを利かせていた。門は固く施錠されていたが、アリサは迷うことなく門をよじ登り、宮殿の中へと入った。

そこに広がっていたのは、意外にも美しい庭園だった。蓮やバラをはじめとする花々が咲き乱れていたのだ。その芳しい香りがアリサを包み込み、一瞬の安らぎをもたらした。

「何なの、この世界!まるでパラダイスじゃない!」
 
花々のアロマがアリサの脳天を突き抜けた。これまで感じたことのない、力強くも優しい癒しだ。あまりの心地よさに気を失いそうになったが、両手で頬を軽く叩いて意識を集中させた。ここで立ち止まっている暇はない。名残惜しい思いを振り払うようにして、アリサは庭園を駆け抜けた。
 
宮殿の玄関にたどり着くと、そこにはガードの鬼たちが立ちはだかっていた。しかし、アリサは彼らを難なく押しのけ、扉のノブを掴んで中へと入った。
 
その頃、宮殿の前では、必死にアリサを追いかけてきた三人の女神たちが歯ぎしりしながら嘆いていた。 
「逃げられた!」 
 
その怒号は宮殿の中に入ったアリサの耳にも届いていた。
 
彼女は勝利の笑みを浮かべ、力強くガッツポーズを決めた。そして、そのまま悠然と宮殿の奥へと足を進めた。

すると、先ほど押しのけた鬼たちがアリサを追いかけてきた。
「こ、ここを通ることは……」
最も大きな鬼が弱々しく言葉を絞り出した。その声は震え、まるで風の音のようにか細かった。

「私は答えを探しに来たの。邪魔をしないで!」
アリサは、はっきりと言い放った。

彼女には、何としてでも自分の宿命の真相を突き止める必要があったのだ。

アリサの鋭い眼差しに、鬼たちは思わずひるんだ。彼らの心には、ある確信が芽生えていた。

<あの目は、この冥界で何かを成し遂げる者の目だ!> 

リーダー格の鬼が、遠慮がちに言葉を発した。
「……わ、わかった……通るがいい」
たくましい体つきの鬼が他に4、5人いたが、誰一人としてアリサを止める勇気を持たなかった。

鬼たちに一瞥もくれることなく、アリサはその場を後にし、さらに奥へと進んでいった。

冥界の法則

やがて広間へたどり着くと、荘厳な空気が辺りを包み込んでいた。どこからともなく、低く響く声が聞こえてくる。アリサは高鳴る胸の鼓動を抑えながら、その声の主へ向かって一歩一歩、慎重に近づいていった。その声の持ち主が語る答えが、彼女の未来を決するものであることを、アリサは確信していた。

――この冥界には、奇妙な法則がある。

強く思い描いたことは、形となって現れる。

アリサはかつて、圧倒的なカリスマ性で暴走族の頂点に立った人物だった。その経験が彼女に絶対的な自信を与えていたのだ。そして、水上バイクで三途の川を越え、女神たちを振り切る大胆な行動も、この自信に支えられていたのである。 何度も繰り返したイメージトレーニングが功を奏し、ついにアリサは閻魔さまの宮殿に忍び込むという偉業を成し遂げたのだった。

閻魔さまの広間

広間には、多くの死者が長い列をなしていた。列に並ぶ者たちは、不安げな表情で順番を待つばかりで、他人に対する興味は微塵も見られなかった。

しかし、その場には他に興味深い存在がいた。 それは、ふかふかの毛並みを持つ馬と牛であった。

彼らの毛に触れることで心が癒されるのだろうか。広間は、不安と緊張に包まれた魂たちにとって、最後の安息の場のように感じられた。

アリサは馬と牛を手で触った。
「何という感触!!」
異次元の柔らかさに圧倒されたアリサは、馬と牛の毛に顔を埋め、このままずっとここに留まりたいと願った。

しかし、しばらくして彼女は我に返る。こんなところで時間を浪費するわけにはいかない。

後ろ髪を引かれる思いを抱えつつ、その場を後にしたアリサは、死者たちが作る長い列をかき分けながら前へ進んで行った。

閻魔さまの傍に門番とは別の鬼たちが数人立っているのが見えた。彼らの眼光は鋭く、その存在感だけで震えが止まらない死者もいた。

そんな中で誰かの審判が終わったようだ。そして、次の者が呼ばれ、アリサは静かにその様子を伺うことにした。

第2話「閻魔さまと波羅辰男(ハラタツオ)の対話(前編)」へ続く

アリサ語録

#冥界の秘密 ?暴いたわよ。閻魔さまの正体も、人類のはじまりもね



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