テーホヘテホヘの花祭 栄光なきクリエイターたち #003
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noteを見ていると不思議に思う。あるクリエイターには多くのフォロワーがついているのに、ほとんどフォローもされずに淡々と投稿を続けるクリエイターがいる。フォロワーが少ないクリエイターが書く記事はつまらないのか?
断じて否。
彼らにとっては、他人からどう思われるかなんてどうでもいいのである。読み手を意識していないから、ややもすると素っ気なかったり、癖が強すぎたりもする。しかし、彼らが書く記事には、ブレない強さや真似ができない自由さがある。
そんな栄光なきクリエイターたちをそっと追ってみよう。わたくし御丹珍の独断によって選ぶ。原則として1記事につき1クリエイターのみを採り上げる。事前に記事で紹介する承諾を得るべきか迷った。そもそもフォロワーがいてもいなくても気にしない方々なので、私も思うままに紹介させてもらう。当該クリエイターの方には、この場にてお礼を申し上げます。(文中敬称略)
今回のクリエイターは、決してフォロワーが少ないわけではないが、お読みの皆さんにぜひ応援をお願いしたくなる人物である。
右腕
おそらく誰かを補佐したい思いから、このクリエイター名をつけたのだろう。右腕は、愛知県の奥三河地方にある北設楽郡東栄町にルーツを持つ大学生で、今年二十歳になった。
天下の奇祭 花祭
奥三河と聞いてピンと来た方は、なかなか勘が鋭い。日本で最初に重要無形民俗文化財に指定された「花祭」が伝わる集落に、右腕の一族がある。花祭とは霜月神楽の一種で、愛知県北設楽郡周辺に伝わる湯立神楽(釜でお湯を沸かし、釜を囲むように舞う神事)である。悪霊を払い除け、神人和合、五穀豊穣、無病息災を祈る目的で、約700年も前から子々孫々に伝承されてきた。ちなみに、「花祭り」は仏教の灌仏会のことであり、奥三河の花祭とは無関係なので、注意が必要である。この花祭は、日本の民俗を読み解く鍵とされ、多くの民俗学者を魅了してきたが、そのルーツは詳しくわかっていない。
意味深な飾り付けがされた狭い会場(昔は当番の家、現在では公民館など)では、多種多様な舞を、年代が違う者が代わる代わる夜通し舞い続ける。テーホヘテホヘの掛け声とともに一同は陶酔の境地に入る。
そんな古式ゆかしい花祭の中でも、右腕が生まれ育った古戸で行われるものは、最も伝統に忠実と言われている。
花祭を文字で説明するのは難しいので、動画を見てみよう。
古戸の花祭は、毎年1月2日から翌日に開催される民俗芸能のお祭りで、開催時間は午前9時から翌日の17時頃です。
古戸の花祭は、愛知県北設楽郡東栄町大字振草字古戸寺脇17にある古戸会館で開催されます。入場は無料ですが、奉納金(花見舞い)を納めると地域独特のお返しがいただけます。
古戸の花祭は、700年以上続く歴史があり、国の重要無形民俗文化財に指定されています。保存会は歴史と伝統を重視しており、昔の姿を忠実に再現しようと努めています。
広島大学に在学する右腕は、年末年始の帰郷をほぼ花祭の準備や片付けに費やすことになる。
担い手不足の民俗芸能を後世に伝えるために
花祭に取り憑かれた右腕は、単にこれを楽しむだけでなく、過疎に悩む地域社会の発展と民俗芸能の存続のために、自分にできることを模索し続けている。
花祭をさらに詳しく知りたい方は、早川孝太郎『花祭』を読むといいだろう。おそらくお住いの地域の図書館にも、花祭について詳しく解説された文献が所蔵されているはずだ。
乙女の青春
右腕のnoteには青春時代特有の悩みも多く綴られる。おじさんはいたいけな少女の苦悩に弱い。右腕の記事を読む度に、おじさんの心のやらかい場所を締め付けられるのだ。
そんな右腕の故郷である奥三河北設楽郡で盛んに栽培されているのが天狗ナスだ。丸々とした特大のナスで皮が柔らかいのが特徴だ。なぜ天狗ナスという名前かというと、鼻のような突起ができる個体が珍しくないからである。
この天狗ナスを焼くとトロトロになり、赤味噌を付けてナス田楽にすると実に美味い。愛知県民の私は、産直市場で天狗ナスを買い求めることができるため、天狗ナスの田楽を作ると、右腕にコメントして里ごころを誘ったものだ。右腕も今ごろは帰省してこの田楽に舌鼓を打っていることだろう。
帰省といえば、こんな曲を見つけた。ちなみに、花祭は晩秋以降に日程が組まれ、盆には行われない。
『盆帰り』中村雅俊 ↓※ 歌詞付き
とらでぃっしゅ
そんな右腕は花祭以外にも、日本各地の民俗芸能を守ろうと立ち上がった。とらでぃっしゅなる団体を立ち上げたのだ。
大学生のこの取り組みは中国新聞にも取材された。東広島市にキャンパスが所在するために、当市内で行われる三津祇園祭の担い手不足まで解決しようというのだ。
片桐萌絵とは、そのまま恋愛ドラマのヒロインの役名でもいけそうだ。日本全国の女子垂涎のフルネームだろう。萌絵ちゃんは大名行列のメンバーを募集してしまった。
学業に、フィールドワークに、バイトに、野球部のマネージャーに、短期留学にと、とにかく忙しそうな萌絵ちゃんだが、民俗芸能の火を絶やさないという決意は揺るがないはずである。近頃は忙しいらしく、とらでぃっしゅのnote記事の更新は途絶えているが、Instagramでは活動報告していた。
無理するんじゃないぞ。御丹珍おじさんはハラハラしながら、君が青春を過ごす姿を眺めているのだよ。新聞やテレビが取材していたらチャンスだ。自分から記者に声をかけようぜ。おじさんは民俗芸能を見に行って取材に来ていた記者と雑談したら、記事にされちまったことがあるんだ。
2025年1月27日追記
右腕がnoteで報告していなかったこともあり、リサーチできていなかったことをお詫びしたい。
2024年12月に第8回中国地域女性ビジネスプランコンテストにおいて、右腕こと片桐萌絵が企画した「とらでぃっしゅ」は、なんと「大賞」を受賞していた 。しかも、学生による大賞の受賞は初めてのことという。
おめでとう、本当におめでとう!
でも、こんな快挙をnoteの記事にしないなんて水くさいぞ。
なお、右腕は2025年2月25日に行われた、キャンパスベンチャーグランプリ第21回全国大会において、グランプリを受賞した。
貴重な民俗芸能を守ろうと立ち上がった右腕に、皆さんの厚いご支援をお願いしたい。また、興味がある方は年が明けたら花祭へGOだ。
それでは皆様、良いお年を。
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