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2024年11月に読んだ本の一言感想

 11月は割と良いペースで本が読めた。来月は仕事が繁忙期に入るけど、文学フリマもあるし、引き続き同じくらいのペースでいろいろ読んでいきたいです。


1.「お口に合いませんでした」/著:オルタナ旧市街

2.「ハジケテマザレ」/著:金原ひとみ

バイト仲間のYouTuber彼氏を襲撃、先輩に誘われて初めてのクラブで爆踊り、激辛フェスで後輩のプロポーズをプロデュース……

「普通は尊いし、普通は貴重だし、普通はむしろ普通じゃありません」

コロナで派遣切りにあった「私」は食い繋ぐためにイタリアンレストラン「フェスティヴィタ」に辿りつく。ベテランのマナルイコンビ、超コミュニカティブでパーリ―ピーポーのヤクモ、大概の欠点ならチャラになるくらいかわいいメイちゃん、カレーとDJに目覚めたフランス人のブリュノ、ちょっとうさんくさい岡本くん……バイト仲間との愉快で切実な日々を描いた作品集。
「ウルトラノーマル」なわたしが「ハジケテマザル」、最高のバイト小説!

出版社HPより引用

 イタリアンレストランでバイトする「私」を主人公に、同じバイト先での人間模様のあれこれを短編にした連絡短編集。登場人物みんな明るいので、読んでたら前向きになれる。コロナ禍をテーマに書かれていることから、綿矢りさの「パッキパキ北京」とノリが似ている印象。

3.「万引き家族」/著:是枝裕和 

第41回日本アカデミー賞にて、最優秀作品賞をはじめ6冠を獲得した、 『三度目の殺人』の是枝裕和監督が最新作『万引き家族』を自ら小説化。 是枝監督が小説で描き出す、「家族の絆」とは―――。

とある住宅街。柴田治と息子の祥太は、スーパーや駄菓子店で日々万引きをして生計をたてていた。 ある日、治はゆりという少女が家から閉め出されているのを見かねて連れて帰ってくる。 驚く妻の信代だったが、少女の家庭事情を案じ、 一緒に「家族」として暮らすことに。 年金で細々と生きる祖母の初枝、JK見学店で働く信代の妹・亜紀。 6人家族として幸せに暮らしていたが、ある出来事を境に、彼らの抱える 「秘密」が明らかになっていく―――。

出版社HPより引用

 映画未視聴ですが、気になっていた「万引き家族」。いろいろな理由で本当の「家族」に選ばれなかった人たちが仮の家族を形成して集団生活を営む物語。生活環境も経済的にも決して恵まれていないけど、それでも楽しい瞬間もあって、お互いの絆もあって、それはそれで外見からは分からない価値というか意味があって、愛おしい関係性がうかがえる。映画も見てみたい。

4.「名探偵の有害性」/著:桜庭一樹

かつて、名探偵の時代があった。ひとたび難事件が発生すれば、どこからともなく現れて、警察やマスコミの影響を受けることなく、論理的に謎を解いて去っていく正義の人、名探偵。そんな彼らは脚光を浴び、黄金時代を築き上げるに至ったが、平成中期以降は急速に忘れられていった。
……それから20年あまりの時が過ぎ、令和の世になった今、YouTubeの人気チャンネルで突如、名探偵の弾劾が始まった。その槍玉に挙げられたのは、名探偵四天王の一人、五狐焚風だ。「名探偵に人生を奪われた。私は五狐焚風を絶対に許さない」と語る謎の告発者とは? 名探偵の助手だった鳴宮夕暮――わたしは、かつての名探偵――風とともに、過去の推理を検証する旅に出る。

出版社HPより引用

 タイトルに惹かれて購入。あらすじにあるとおり平成中期くらいまでの名探偵像を対象にして、それが今の時代から見てどのように映るのか、「有害性」があるのかないのかを検証していくというお話。新本格ブームのころにミステリ小説は探偵ものが多く出されていたし、その中でシリーズ化された名探偵も多く登場したけど、その中で名探偵が神格化されていったととらえることもできるのかなあとちょっと思いました。本書は、むしろそうした名探偵の意義を(名探偵に対する愛を持って)再検証したものとして面白かった。

5.「みんなを嫌いマン」/献鹿狸太朗

ある日突然80億人を救うスーパーパワーを手に入れた上原至は、”みんなを守るマン”として今日も人類の平和を脅かす地球外生命体と闘う。致命傷と思える攻撃を受けても完治し、どんな敵をも薙ぎ倒し、どこにでもワープできる彼は生きる伝説となっている。闘うことを強要され、弱音を吐くことを禁じられ、助けられなかった命に想いを馳せる全人類の奉仕者は、全人類の奴隷であった。彼はいつまで皆を救えばよいのか。彼に救いはあるのかーー。

出版社HPより引用

 献鹿作品初読です。自分がとりわけすごく仕事ができるというわけではないけど、仕事面で業務集中していた時にあらすじをみて、共感できそうと思って購入。本作は設定だけでもう好きな本確定というくらい自分には合っていて、やっぱり価値観が固定されているものを角度を変えてみる作品が読んでいて楽しい。
 ただ、本作を読む前は「みんなを嫌いマン」というくらいだから、主人公がヒーローを応援する人たちに対して悪態をつく話かと思っていたけど、決してそうではなくて、その正体を知ろうとする人たちやそういう人間まで守らないといけないこと、それを完遂はできないことに対する他者と自己への怒りがないまぜになった、もっと奥行きのある話だった。

6.「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」/著:大前粟生

僕もみんなみたいに恋愛を楽しめたらいいのに。大学二年生の七森は“男らしさ”“女らしさ”のノリが苦手。こわがらせず、侵害せず、誰かと繋がれるのかな? ポップで繊細な感性光る小説4篇。

恋愛を楽しめないの、僕だけ?
"男らしさ""女らしさ"のノリが苦手な大学二年生の七森。こわがらせず、侵害せず、誰かと繋がりたいのに。
ジェンダー文学の新星!
鋭敏な感性光る小説4篇を収録。

出版社HPより引用

 「ハイパーたいくつ」(松田いりの)を読もうとして「文藝2024冬号」を購入したところ、大前粟生さんの「物語じゃないただの傷」が掲載されていたのだけど、それが最近の自分の関心にかなり合致するものだったことから著者に興味を持ちました。
 特に、男性性を男性視点から見つめなおそうとするところに非常に共感を持っていて、これからいろいろ作品を読んでいきたい作家さんです。

7.「きみだからさびしい」/著:大前粟生

全身が、きみで溢れた――令和最強の恋愛小説!
町枝圭吾、24歳。京都市内の観光ホテルで働いている。

圭吾は、恋愛をすることが怖い。自分の男性性が、相手を傷つけてしまうのではないかと思うから。
けれど、ある日突然出会ってしまった。あやめさんという、大好きな人に――。
圭吾は、あやめさんが所属する「お片付けサークル」に入ることに。他人の家を訪れ、思い出の品をせっせと片付ける。意味はわからないけれど、彼女が楽しそうだから、それでいい。

意を決した圭吾の告白に、あやめさんはこう言った。
「わたし、ポリアモリーなんだけど、それでもいい?」
ポリアモリーとは、双方公認で複数のパートナーと関係を持つライフスタイルのこと。

あやめさんにはもう一人恋愛相手がいるらしい。“性の多様性”は大事なのはわかるし、あやめさんのことは丸ごと受け入れたい……けれど、このどうしようもない嫉妬の感情は、どうしたらよいのだろう?
勤務先はコロナ禍の影響で倒産。お片付けサークルも、“ソーシャルディスタンス”の名のもと解散になった。
圭吾はゴミが溢れかえる部屋の中で、一日中、あやめさんに溺れる日々を始めるのだった――。

出版社HPより引用

 自分にとって既刊の大前作品二作目。「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」よりも本作の方が好みだった。
 相手の思考を尊重したいと悩みながらも、自分の価値観を押し付けるときにはらんでしまうかもしれない攻撃性や、相手の考えを受け入れるときにどうしても傷ついてしまうこと、双方の相容れなさというか、本当の意味で自己と他者は分かり合えないかもしれないというある種の危機感や諦めみたいなものを提示して、その間で思い悩む主人公圭吾の葛藤が鮮明に描かれているのが良かった。

8.「方舟」/著:夕木春央

「週刊文春ミステリーベスト10」&「MRC大賞2022」堂々ダブル受賞!

9人のうち、死んでもいいのは、ーー死ぬべきなのは誰か?

大学時代の友達と従兄と一緒に山奥の地下建築を訪れた柊一は、偶然出会った三人家族とともに地下建築の中で夜を越すことになった。
翌日の明け方、地震が発生し、扉が岩でふさがれた。さらに地盤に異変が起き、水が流入しはじめた。いずれ地下建築は水没する。
そんな矢先に殺人が起こった。
だれか一人を犠牲にすれば脱出できる。生贄には、その犯人がなるべきだ。ーー犯人以外の全員が、そう思った。

タイムリミットまでおよそ1週間。それまでに、僕らは殺人犯を見つけなければならない。

出版社HPより引用

 ミステリ界隈でかなり話題になった本作。特殊設定モノの部分で食指が伸びず読んでいなかったけど、実際読んでみたら、確かにすごかった(というよりは、ミステリ好きが好きそうな仕掛けがあったと言った方が正確だけど。)。ほかの作品も読んでみたい。

9.「箱庭クロニクル」/著:坂崎かおる

『嘘つき姫』で鮮烈デビュー、2作目『海岸通り』で芥川賞候補。
ファンタジックな世界観と異国情緒ただよう文体で読者を魅了する、2024年最大の新人が、文芸界に風穴を開ける。
次世代の「本物」を探すみなさま、この「才能」を、見つけてください。

出版社HPより引用

 「海岸通り」が前回の芥川賞候補になった著者の短編集。候補後第一作ということで購入してみました。1編目の「ベルを鳴らして」は、日本推理作家協会賞短編部門受賞作ということもあって、よくできたミステリもので、米澤穂信の短編集「満願」に近いほろ苦い読後感のある作品で好きでした。その他、3編目の「名前をつけてやる」も、社内のドタバタがリアルなのが良かった。

10.「雷と走る」/著:千早茜

幼い頃海外で暮らしていたまどかは、番犬用の仔犬としてローデシアン・リッジバックの「虎」と出会った。唯一無二の相棒だったが、一家は帰国にあたり、犬を連れて行かない決断をして――。

出版社HPより引用

 カバーイラストに惹かれて購入。自分は自宅で犬を飼っているので、犬小説として楽しめました。

11.「カクテル、ラブ、ゾンビ」/著:チョ・イェウン、訳:カン・バンファ

長い間、見過ごしてきた心のなかの深く暗いところにある感情を丁寧に掬い取った、圧巻の4篇を収録。
表題作からドラマ化されたデビュー作まで、韓国の新鋭No.1ホラー作家がいざなう没入感120%短篇集。

この本には初期の短篇小説が四篇収められています。飾られていない生のままの欲望、一途に物語を追う不器用な愛情が凝縮されています。わたしの書いた物語がより多くの方たちに、垣根なく届いてくれたら、そうして見知らぬ世界に、活字と想像力だけで夢中になれる経験をプレゼントできたらと思います。言語の壁を超えて、ここにこめられた未熟ながらも真摯な心が、日本の読者のみなさまに伝わることを願っています。(「日本語版への序文」より)

出版社HPより引用

 本屋 B&Bさんのイベントを配信で視聴して購入。
 表題作の「カクテル、ラブ、ゾンビ」はホラー小説としてジャンルものっぽい感じに終始せずに、家父長制における父と母・娘の人間関係までテーマが及んでいるのが面白い。

 12月は仕事の繁忙期に入るようだけど、読書ペースを維持したい。文フリにも行くので楽しみ。

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