見出し画像

リワークで読んだ2冊が、考え方を変えた|届かない人にどう届けるか。


リワーク中に読んだ本は何冊もある。でも「考え方が変わった」と今も言えるのは2冊だけだ。

書評を書くつもりはない。読んで、自分の中に何が起きたかを書く。



1冊目:『うつ病の人の職場復帰を成功させる本』

秋山剛監修、うつ病リワーク研究会編の本だ。リワークに通うことになる利用者全員が最初に読む本だ。

リワークとは何かから始まり、プログラムの内容、復職後のフォローアップまでを一冊で説明している。

この本で最初に刺さった言葉は「まわりを変えられなくても、自分は変われる」というものだった。

休職するまで、ずっと

「職場の問題だ」
「上司の問題だ」
「制度の問題だ」

と思い続けていた。

それは事実の一部だったかもしれないが、その視点だけでいる限り、回復には向かわない。

復職先が変わらないなら、自分が変わるしかない。

論理としては単純なのに、この言葉を読むまで本当に腑に落ちていなかった。

もうひとつ、印象に残っているのは「真の復職は復職から1年の慣らし勤務を経て達成される」という記述だ。

復職=元に戻ること、というイメージをずっと持っていた。

だが本書は、復職はスタート地点に過ぎず、そこから1年かけて新しい働き方を積み上げていくプロセスだと言っている。

急いで「元通り」になろうとすることが、再発のリスクを高める。このタイムラインを知ることで、焦りの基準値が変わった。

本書の中には「リワークに通う仲間との交流」についても書かれていた。

読んだ時期は、ちょうど僕がリワークで同じ空間を共にする人たちと少しずつ話せるようになってきた頃だった。

「孤独に耐えながら療養する」という感覚から、「同じ方向を向いた仲間がいる」という感覚に変わっていった実感と、本の記述がぴったり重なった。

リワークは「プログラムをこなす場所」ではなく、「自己成長の機会として使う場所」だという視点も、この本から得た。

漫然と通所するのではなく、職場の疑似体験を通じて自分の考え方や行動パターンを自覚し、対処を獲得していく。

この本を読んで、リワークへの向き合い方が変わった。


2冊目:『はじめての認知療法』

大野裕監修、講談社現代新書の一冊だ。タイトルの「はじめての」は伊達ではなく、本当に平易に書かれている。

この本で最も重要な概念は「否定的認知の三徴」だ。うつ病の人に共通する3つの思考パターンとして、

自分への否定的な見方(自分に価値はない)、
周囲への否定的な見方(誰も理解してくれない)、
将来への否定的な見方(状況はますます悪くなる)

が挙げられている。

読んで最初に思ったのは「これ、全部あてはまる」だった。

自分の思考が「症状の名前」として整理されたことで、「自分が弱いからこう考えてしまうのだ」という自責が、少し薄れた。

本書で説明される「自動思考→気分→行動」の悪循環は、自分の過去の失敗パターンを説明するのにそのまま使えた。

何か出来事が起きると、瞬間的にネガティブな解釈(自動思考)が浮かぶ。

気分が落ち込む。行動が消極的になる。消極的な行動が、さらにネガティブな自動思考を強化する。

このサイクルが無意識のうちに回り続けていた。

認知療法についての誤解を解くパートも読んでよかった。

「認知療法=ポジティブに考えることを強制される」というイメージを持っていたが、それは違う。

認知療法が目指すのは、

「ネガティブをポジティブに変える」ことではなく、「自動思考と事実を切り分けて、現実に基づいた柔軟な見方を取り戻す」ことだ。

悲観的な考え方は「その人のせいではなく、うつ病という病気がそうさせている」という立場を本書は取っている。

この視点は、自責に陥りやすい人間には特に重要だと思う。

そして感想として本に書いたことだが、

「先読みして諦める」
「極端な認知(白か黒か思考)」
という言葉が、自分に刺さった。

これが今の僕のパターンではなく、幼少期から長く続いていた思考の癖だったと気づいた時、ショックと同時に「だから対処できるはずだ」という感覚があった。

名前がついた問題は、対処できる。


2冊に共通すること

2冊に共通しているのは、どちらも「自分を治す」ための本ではなく、「自分を理解する」ための本だということだ。

うつ病の本は、リワークという仕組みと、そこで自分に何が起きているかを言語化してくれた。

認知療法の本は、自分の思考パターンがどういう構造になっているかを言語化してくれた。

2冊合わせると、「なぜうまくいかないのか」への説明が揃う。

ただ、本を読んだだけでは定着しない。

認知療法の概念は、日常的に繰り返し実践しないと習慣にならない。

本で得た学びを日々のセルフケアに落とし込む場所が必要で、そのためにアプリを使うようになった。


この2冊をすすめる相手へ

急性期には読めない本だ。文字を追う気力がない時期に無理に手を伸ばす必要はない。

回復期に入って、「本を読む気はあるが何を読めばいいかわからない」という段階になった人に届いてほしい。

気力が少し戻ってきた頃だからこそ、読んだ内容が自分の中に入ってくる。タイミングが合えば、2冊とも読んで損はない。

順番としては、うつ病の本から先に読むことをすすめる。

リワークの全体像と「なぜリワークに通うのか」という文脈が先に入っていると、認知療法の本の内容がより腑に落ちやすくなる。

回復期に入れば、2冊で合計4〜5時間あれば読める分量だ。


📌 本で学んだことを、日常で続けるツール

セルフケアAwarefy
AIメンタルケアアプリ(Googleベストアプリ受賞)
認知行動療法をベースにしたセルフケアアプリ。感情の記録、マインドフルネス、AIによる分析機能を搭載。

Awarefyを試してみる →
※ 睡眠の質の可視化にはスマートリング(SOXAI RING等)も活用できます。詳しくは別記事で紹介予定。
※ 上記リンクにはアフィリエイトリンクが含まれます。記事の内容は筆者の実体験に基づいています。


📖 関連記事


いいなと思ったら応援しよう!