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2018年に修士論文を書いた私が、今の英語ツールを本気で評価してみた



by シツカン(University of Leicester 博物館学修士・Merit)


正直に言う。

私がイギリスで修士論文を書いていた2018年、使えるツールはほぼGoogle翻訳だけだった。

DeepLはまだ日本語対応が弱く、ChatGPTは存在すらしない。Grammarlyは知っていたが、まわりの留学生で使っている人はほとんどいなかった。

英語が母語でない状態で8万字の修士論文を書くというのは、そういう時代の話だ。

それから7年。今の留学生が使えるツールを改めて調べたとき、正直うらやましいと思った。

同時に、「どれが本当に使えるのか」をちゃんと評価できる立場にいるとも思った。

今回は、英語論文を書く留学生に向けて、4つのツールをフラットに比較する。


そもそも英語論文で何が困るのか

非ネイティブが英語論文を書くとき、詰まるのは大きく3つの場面だ。

①文法・スペルのミス。 単純なtypoや三単現のsの抜け。これは見落としやすいうえに、採点者の印象を確実に下げる。

②アカデミックな語調。 日常英語とアカデミック英語は別物だ。「I think」ではなく「It can be argued that」。このトーンを自力で制御するのは非ネイティブには難しい。

③論理の流れと接続。 センテンスはあっているのに、段落間のつながりがおかしい。読み手に「何が言いたいのか」が伝わらない。

ツールによって得意・不得意がはっきり分かれる。


4つのツールを比較する

1. Grammarly

得意 :文法・スペルチェックの精度が高い。無料版でも十分使える。ブラウザ拡張でどこでも動く。
苦手 :アカデミックな文体への対応は有料版(Premium)が必要。無料版だと表面的な修正にとどまる。
使いどころ :タイピング中のリアルタイムチェック。提出前の最終確認。

2. LanguageTool

得意 :無料版でも多機能。文体チェック(言葉の繰り返し、受動態の多用など)が充実。プライバシーを気にする人にも向いている。
苦手 :UIがGrammarlyより地味。日本語ユーザーへの認知度が低い。
使いどころ :Grammarlyに課金したくない場合の本命。LibreOfficeやGoogle Docs、WordのアドインとしてもOK。

3. DeepL Write

得意 :文章全体のリライトが得意。日本語で書いたものを英語に翻訳した後、DeepL Writeで整えると流れがよくなる。
苦手 :文法チェックというより「文体の改善」ツール。細かい文法エラーの指摘はGrammarlyやLanguageToolのほうが向いている。
使いどころ :日本語で構成を考えてから英語にするワークフロー。英語で書いた下書きを整えたいとき。

4. ChatGPT(英語ライティング補助として)

得意 :フィードバックが詳しい。「この段落を学術的に書き直して」「このセンテンスの何がおかしいか説明して」という使い方ができる。
苦手 :ハルシネーション(存在しない参考文献を生成する)のリスクがある。論文の内容を貼り付けることへの情報漏洩リスクを考える必要がある。
使いどころ :文法チェックではなく「英語表現の相談相手」として使う。ただし、ChatGPTに論文を「書かせる」のと「直させる」のは別の話だ。AI使用に関する規定は大学・プログラムによって異なるので、使う前に確認すること。


組み合わせて使うのが現実解

正直なところ、「これ1本で全部解決」というツールはない。2018年に私が欲しかったのは以下の組み合わせだ。

  • タイピング中のリアルタイムチェック → Grammarly(無料版)またはLanguageTool

  • 日本語→英語の翻訳・整文 → DeepL

  • 英語表現の相談・段落の改善 → ChatGPT(内容を貼りすぎない範囲で)

全部無料で使えるので、まずこの3本を入れてみるのがおすすめだ。

さらに提出前の最終稿には、人間による英文添削を通すと安心感が違う。

機械チェックでは拾えない文脈上の不自然さやアカデミックなトーンの微調整は、やはり人の目が必要だ。

アイディーはポイント制・定額制が選べるので、論文の分量に合わせて使い分けられる。

章単位でまとめてAI校正をかけたいなら、Languiseでファイルごと処理する方法もある。

LanguageToolで文法→Languiseで章のAI校正→アイディーで最終稿の人間添削、という三段構えが一番確実だ。

ツールの管理も含めて、修士論文の全体を一元管理する方法は「修士論文をNotionで管理する方法——文献・構成・進捗を一元化する」に書いた。


2018年の自分へ

ツールはあくまで補助だ。論文の構成を考え、議論を組み立て、自分の言葉で書く部分は、どのツールも代わりにやってくれない。

それを知っているのは、7年前にツールなしでやり切った経験があるからかもしれない。


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この記事を書いた人
シツカン。University of Leicester・School of Museum Studies 博物館学修士(Merit)。2018〜2019年に英語で修士論文を執筆。

📘 英語論文の「盗用」に関する疑問があれば:Kindle書籍『脱・パクリ英語論文』(¥980)
✏️ 提出前の英文添削には:アイディー(人間による添削。ポイント制/定額制あり)
📄 章ごとのAI校正には:Languise(ファイル丸ごと翻訳・校正・要約)


次のステップ

「ツールの前に原典を読む/聴く習慣」
Audible


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