空間装飾とは何か
空間を装うこと、そして空間価値を作ること
RETHECITY JOURNALでは、空間装飾・空間ディスプレイ・空間デコレーションの領域を、実務と思想の両面から考えていきます。
第1回は、まず「空間装飾とは何か」について整理します。
1. 空間装飾という言葉は、まだ整理されていない
空間装飾とは何だろう。
花を飾ることだろうか。
グリーンを置くことだろうか。
季節ごとにディスプレイを変えることだろうか。
あるいは、ホテルのロビーや商業施設に大きな造作物を設置することだろうか。
私はこれまで、花や植物、造形、アーティフィシャルフラワー、フェイクグリーンなどを用いて、さまざまな空間装飾に関わってきた。
その中で感じているのは、空間装飾という言葉は、まだ十分に整理されていないということだ。
ある人は、生花を使った装花を空間装飾と呼ぶ。
ある人は、造花やフェイクグリーンを使ったディスプレイを空間装飾と呼ぶ。
ある人は、ホテルロビーの季節演出を空間装飾と呼ぶ。
ある人は、フォトスタジオの背景セットを空間装飾と呼ぶ。
どれも間違いではない。
ただ、それらをすべて同じ言葉で語ってしまうと、空間装飾という仕事の輪郭は見えにくくなる。
だから私は、まずこの言葉を整理するところから始めたい。
2. 空間装飾とは、空間を装う行為である
空間装飾とは、空間を装う行為である。
人が服を着るように、空間にも装いがある。
何もない空間にも価値はある。
しかし、そこに花が加わることで印象が変わる。
植物が加わることで空気が変わる。
照明が変わることで感情が変わる。
造形が加わることで記憶に残る空間になる。
空間装飾とは、ただ何かを足すことではない。
空間の印象や体験を整え、その場所の見え方を変えていく行為である。
3. 広義の空間装飾と狭義の空間装飾
ここで大切なのは、空間装飾には広義と狭義があるということだ。
広い意味での空間装飾には、空間を装うすべての要素が含まれる。
内装。
インテリア。
照明。
植物。
花。
造形。
サイン。
ディスプレイ。
これらはすべて、空間の印象や体験を形づくる。
だから広義には、これらすべてを空間装飾の一部として捉えることができる。
一方で、実務上の空間装飾は、もう少し狭い意味で使われることが多い。
建築がある。
内装がある。
インテリアがある。
その上に、空間の体験価値やブランド価値を高めるために加えられる装飾的表現。
それが狭義の空間装飾である。
たとえば、ホテルロビーの季節装飾。
商業施設のフォトスポット。
フォトスタジオの撮影背景。
ブランドイベントの造作ディスプレイ。
壁面グリーンや吊り装飾。
これらは建築そのものではない。
内装そのものでもない。
しかし、その空間の印象を大きく変え、そこに訪れる人の記憶をつくる。
私たちリザシティジャパンが現在主戦場としているのは、この狭義の空間装飾である。
花。
植物。
造形。
フェイクグリーン。
アーティフィシャルフラワー。
大型装飾。
季節演出。
空間ディスプレイ。
これらを用いて、空間の印象や体験を変えていく。
4. 空間装飾と空間価値
ただし、ここで誤解してはいけないことがある。
空間装飾をしたからといって、必ず空間価値が高まるわけではない。
ただ飾るだけでは、空間価値にはならない。
重要なのは、その空間にとって、どのような価値を生み出すべきかを先に考えることである。
誰が訪れるのか。
何を感じてほしいのか。
どんなブランドイメージを伝えたいのか。
その空間は、何のために存在しているのか。
そうした問いから空間価値を設計し、その価値を空間装飾によって形にする。
その空間に必要な価値と、装飾による表現が結びついたとき、初めて空間装飾は価値あるものになる。
つまり、空間装飾は目的ではない。
空間価値を表現し、体験として届けるための手段である。
5. フォトスタジオ装飾から考える空間価値
フォトスタジオであれば、装飾は背景でありながら、商品そのものにもなる。
私はこれまで、キッズフォトを中心に、七五三、マタニティ、ニューボーンフォトなどを撮影するフォトスタジオの空間装飾に、数多く関わってきた。
そうしたスタジオが求めているのは、単に空間を華やかにすることだけではない。
他店との差別化。
撮影単価の向上。
リピートで来てくれるお客様に飽きられない空間づくり。
そうした課題がある。
全国のフォトスタジオを見ていると、壁面に固定された装飾や、天井から大掛かりに吊るされた装飾が多く見られる。
もちろん、それはそれで魅力がある。
しかし、限られた空間で運営するフォトスタジオの場合、大掛かりな装飾を一つ作り込んでしまうと、撮影できるシーンが限られてしまう。
さらに、一度大きく施工した装飾は、簡単には変えられない。
変えるたびに大きな費用がかかるからだ。
そこで私は、固定された大掛かりな装飾ではなく、移動式の装飾を提案することがある。
季節ごとに入れ替えられること。
撮影シーンに合わせて動かせること。
四季に合わせて空間の印象を変えられること。
そうすることで、装飾は単なる背景ではなく、撮影コンテンツそのものになる。
お客様が「またこのスタジオで撮りたい」と思える理由をつくる。
そのための空間装飾である。
この経験から、私は改めて感じている。
空間装飾は、ただ空間を飾るものではない。
その場所が提供している価値を理解し、その価値がより伝わる形に整えるものなのだ。
たとえばホテルであれば、空間装飾は単なる飾りではない。
そのホテルがどのようなお客様を迎えたいのか。
どのような時間を過ごしてほしいのか。
どのような記憶を残してほしいのか。
その考えを、目に見える形で伝える手段になり得る。
商業施設であれば、装飾は訪れる理由を増やす。
季節を感じる。
写真を撮る。
誰かに共有したくなる。
そうした小さな体験が、その場所の印象をつくっていく。
だから、空間装飾は単に華やかにするためのものではない。
空間の目的を理解し、そこに必要な価値を考え、装飾という表現によって体験へと変えていくものだ。
6. RETHECITY JOURNALで考えていきたいこと
私は、空間装飾という仕事をもっと広く、もっと深く捉えたいと思っている。
空間装飾は、花を飾ることだけではない。
グリーンを置くことだけでもない。
写真映えする場所をつくることだけでもない。
空間を装うこと。
空間の印象を整えること。
空間の体験をつくること。
そして、その空間に価値をもたらすこと。
それが、私の考える空間装飾である。
リザシティジャパンは現在、狭義の空間装飾を主戦場としている。
しかし将来的には、内装・インテリア・照明・プロダクトまで含めた、広義の空間装飾を扱う会社を目指している。
このジャーナルでは、まず空間装飾という言葉を整理するところから始めたい。
空間装飾とは何か。
なぜ人は空間を装うのか。
空間価値はどのようにつくられるのか。
その問いを、これから一つずつ考えていきたい。
次回は、空間装飾と混同されやすい「装花」という言葉について考えていきます。
RETHECITY JOURNAL
RETHECITY JOURNALは、空間装飾・空間ディスプレイ・空間デコレーションの領域から、空間価値について考えるジャーナルです。
リザシティジャパン株式会社では、花・植物・造形・アーティフィシャルフラワー・フェイクグリーンなどを用いた空間装飾を手がけています。
