徳島県民による阿波弁講座
現代の阿波弁の基礎は関西弁です。8〜9割が関西弁と同じだと言っても過言ではありません。
しかし、中には徳島独自の言葉、高齢の方を中心に昔の阿波弁も残っています。今日はそうした「阿波に根強く残るお国言葉」を解説していこうと思います。
(以下に紹介する語法は、家族からの伝承や個人的な体験に基づくことを念頭に読んでいただけたら幸いです。)
1.「〜られん(れん)」「〜れん(ん)」
いずれも動詞の後につく助動詞で、それぞれ2種類の表現があります。
徳島ではら抜き言葉が歴としたお国言葉で、
「電話掛けれん(掛けられない)」や「こっから先は行けん(いけない)」のように不可能を表す時に使います。
一方、らを抜かない「〜られん」は
「せられん(してはいけない)」「行かれん(行ってはいけない)」のように禁止を表す時に使います。
二種類の表現は、動詞の種類によって使い分けます。
たとえば、関西弁で行か「へん」のように、「〜へん」がつくのは、「〜ん、れん」のグループに属します。
一方、掛か「れへん」のように「〜れへん」を付けるのは「〜れん、られん」のグループに属します。
2.「うちんく」
蘊蓄ではありませんよ、うちんくです
これは「僕の家」と言う意味。
「うち」は「自分」、
「く」は「家」、
「ん」は「の」が訛ったものです。
この中で阿波弁固有のことばは「く」で、
かつては「わんく(自分の家)」とも言いましたが今では「く」の「家」として用法は廃れ、
「うちんく」だけが固有語として残った形となっています。
3.「がい」
これは「無理やり」と言う意味で、讃岐弁でも使われることばです。
漢字に変換すると「我意」であり、自分のきもちのままに強引に、という意味から派生していると思われます。
4.「〜え?」
「〜の?」「〜なの?」と言う意味です。
疑問の意思を明確にし、わずかに強める効果があります。主に中年以上の方が用いる表現です。
5.「せこい」
これは「息が上がる」「つらい」の意味で、決して否定的なニュアンスはありません。
「えらい長う走って、ごっつせこい(とても長い距離走って、非常にきつい)」のように日常的に使います。
6.その他
「どちらいか」→どういたしまして
「あばばい」→まぶしい
「しょー」→とても
「しわしわいきないよ」→ゆっくりしてください
のように、阿波弁固有の表現はあまたありますが、いずれも死語に近いものとなっています。
こんにち、若い人(特に女性)を中心に標準語化が進み、阿波弁は昔の言葉になりつつあります。
阿波人として、方言が廃れるのはアイデンティティが失われるようなもので、どこか寂しい思いがします。
みなさんは方言は使っているでしょうか?
方言は地元愛をはぐくみ、地域の人との交流を円滑にしてくれます。地域の伝統、文化も方言のコンテクストの中で育まれたものです。まさしく、方言は自分の生まれ育った環境を深く見つめ、コミュニケーションをとる中で自分自身を見つめ直すツールなのです。
方言を通すことで見えてくる世界。それはあなたの人生に深みを与えてくれるはずです。あなたの国のお国言葉も、旅先の方言も、ぜひ興味を持って学んでみてはいかがでしょうか?
