スピリチュアルX「勝ったものだけが、勝利者だ。」――「思考停止システム」を売る会社
今年からスタートしたこのnoteも早いもので、11,000ビューを超えていた。
そこで、今回、何で私がスピリチュアル詐欺や自己啓発的なものに対して
関心を持つ様になったのかについて記したいと思う。
今ではすっかり黒歴史というか怪談だが――
2001年ころ、実は“詐欺の営業会社”で研修を受けた事がある。
当時、10年と少し勤めた大企業を退職して、
失業保険を貰いながら、当時流行っていたホームヘルパーの資格を取りに通いながら
就職活動をしていた。
当時、就職氷河期と言われた時代で、職安には求職者で溢れていた。
今なら、若者が簡単に起業だの
副業だのいう時代だが、当時はそんな空気はまだ無かった。
そんな中、職安から紹介された「アイディアル」という会社の面接を受けた。
中区の桜通りに面した雑居ビルの1フロアの半分を占めたその会社は
パンプレットもしっかりとしており、各主要
都市に営業拠点を持っていると記されていた。
対応した、おそらく同世代と思われる社員は「“天才的な営業センスを持つカリスマ社長”がワンルームマンションの一室で始めた、まだ新しく、若い会社だ。」と説明した。
(またブランドイメージ強化のために、渋谷道玄坂にサプリメントショップの路面店を展開中だと言う。)
普通なら、支店長とか人事担当が面接をするモノなのだが
(例えば、その前に面接を受けた「ウッドワン」という建材会社では、圧迫面接で、
「貴方達はウチの会社にどんなメリットをもたらすんだ。」と
やたらと、偉そうな態度の人事担当者が何様なのか、世界的な建築家である安藤忠雄について、
「あいつが日本の建築をつまらなくしている張本人だ!」などとディズっていた。
それは好きな建築家について聞かれ、
安藤忠雄、アルヴァ・アアルトあたりを挙げたためだが、
まあ、ウッドワンの面接官が安藤忠雄を語るなよ、とは思ったが
どうやらそれが伝わった為か二時面接で落ちた。笑)
当時、初めての転職という事もあり、そういうリクルーターを使うスタイルなんだと思い、
その時には不自然と思わなかった。
営業は主に電話帳を見ながら電話を掛け、彼もアポイント成績を上げた事で
先月、ハワイへの研修旅行に出掛けたとの事だった。
体育会系の会社ですが、とりあえず、研修を受けて見ませんかとの事だった。
何ごとも経験と研修に参加したのだが、初日から不思議だったのは
“上席者が出社すると、その度に、皆競って席まで走って挨拶をしに行くのだ。”
そして役職が上がる程、遅く出社しても構わないようだ。
自分達では“体育会系“のノリと称していたが。
そして朝九時から、毎日、大声で朝礼を行っているようだが
今の時代には、まだWEB会議は無いので、全国の営業拠点をスピーカー電話で繋ぐ形で
拠点ごと順番に成果報告をしていた。
驚くべきは成績優秀であれば入社半年で係長になる人もいる様だ。
(そういうシステムは当時、訪問販売系営業会社や暴走族→少年院帰りの役員のいる地元の
不動産ビルダーでも、見受けられた。)
仕事内容は電話帳を渡され、このページからこのページまで電話してアポイントに繋げて
くれというモノだった。
扱い商品は分電盤に装着する節電グッズ(電気コード状)金額が40万円。
商品知識の無い私から見ると、せいぜい
原価4000円程度に見える。
並行して研修用のビデオを見せられたが、
「勝ったものだけが、勝利者だ。」という、よくわからない自己啓発的なビデオだった。
所長は小柄で小太りの“グッチのローファー”を履いた風采の上がらない男で、
となりの席には総務経理のドライな女性がおり、
他は全て営業マンと言うかテレフォンアポインターで、アポイントが取れたら
クロージング担当の上司とペアでクロージングに向かうと言うシステムだった。
まあ、その際にも、「行ってきます!」と大声で言う、いわゆる訪問販売会社のノリだ。笑
昼どきは、近所のコンビニまで社員同士で弁当を買いに行くのだが、不思議と外では食べず、また飲み会などもないようだった。
初日、コンビニに同行した、前月入社の社員曰く
「以前、訪販にいたのだけど、電話営業のノウハウってすごい魅力ありますよね、モノにしたい。」
と真面目な顔で語っていたが、
私から見れば、同じビル内の他社との交流も当然だがなく、
“自社を閉鎖的な環境にして、敢えて外部からの情報を遮断したいかの様に感じた。”
またもう一つの違和感として、
私を面接した“松本”と言う社員は、押し殺した声で「調子こいてるんじゃねえ!」と
所長からアルミの灰皿を投げつけられたりしていたが、
誰も止めようとしないし、更に別の部署の課長からも
ボールペンを投げつけられ、「研修ビデオを見てこい」と“自習室の様な
場所”で、“自己啓発ビデオ”のシリーズを延々と何本も見せられていた。
そんな感じで3日間が過ぎ、「入社手続き書類」を渡され、記入して翌日
持ってくる様に言われたが、翌日は出社しなかった。
人間関係もおかしかったが、
何より違和感があったのは、
商品そのものについて、誰も説明しないし、質問もしない事だった。
本当に効果がある「製品」ならその性能について
普通はまず研修時に説明する筈である。
そのくらい、ブラック企業でもやるだろう。
今なら、“臨床心理学者目線”で思うのだが、笑。
あの会社が売っていたのは商品ではなく、“空気”そのものだった。
それも――「思考停止システム」という名の。
因みにローコスト系の住宅メーカーなどには、“さほど大したことのないもの”を、
いかにも優れた商品であるかの様に、大袈裟にお客に説明するのに長けた人が多く居るのだが、笑
そこではそれもない。
だが、
会社が求めていたのは商品理解ではなく、
ひたすら電話を掛け続ける事だった。
また風采の上がらない“チンピラ”みたいな所長が、”何処で習ったのか“、恨みがこもったかの如く、低く押し殺したしゃがれ声を絞り出して社員を恫喝していたが、マジで怖い。
殆どホラーだ。
普通のヤンキーであれば、まず“ああいう話し方“をしない。もっとストレートだ。
私には彼の前職が”サラ金の取り立て屋“か、もしくは小沢仁志のVシネマを観ながら毎日練習しているのかと思えた。
だがその所長も、
本部から電話が掛かってくると、
急に猫撫で声になり、
受話器に向かって何度も頭を下げていた。
そして部下にはアルミ灰皿を投げつける。
周囲の上席社員たちも、
「松本、調子こいてんじゃねぇ!」
と同調する。
元生保レディだという、オシャレスーツを着た30歳位の
ポッチャリした女性の主任に至っては消しゴムを投げつけていた。
また電話先の相手に、「全く人の会社をなんだと思っているんだ!」などと“北野武のアウトレイジ“よろしく怒鳴りつけ、受話器をガチャンと叩き置くような、苦味走ったダンディな上席者もいる。
今思えば、一種のパフォーマンスなのだろうが、
先方からしたら、「そちらが勝手に電話したんでしょ!、二度と掛けるな!」となる訳だが。
あのルックスと声ならキャバクラではかなりモテるだろう。笑。
(因みに私も声だけは「深夜FMジェットストリーム」の初代ナビゲーターの城達也ばりの美声らしく、前の会社で地方の工場などに出張した際、向こうの
女の子達をガッカリさせた事も残念ながら1度や2度はある、笑。)
まあ今思い出しても何とも異様な空気だったし、
どう考えても“まともな会社”では無い。
一度入社書類を出したら、簡単には抜けられなくなるような雰囲気さえもある。
“そういう会社に限って、半年以内に辞めると違約金を請求してきたりするんだから、めんどくさい。”
後日、「光通信」の元営業マン、今は風俗店をしている人に話を聞くと、懐かしむ様に「そんなノリでしたね。」と笑った。
結局4日目は黙って行かなかったのだが、昼頃、その松本と言う社員から、
電話が掛かって来たので、「もうそちらに行く事は無い。」と伝えたらスピーカーで繋がっているらしい
電話の向こうでは、その松本氏に対して罵声が飛び交っていた。
こういう悪徳企業に限って、社員が辞めた時、上の者はショックというか、喪失感を感じるらしい。笑
今、思えばあの異様な同調圧力の“場の空気”に飲まれなかったのも、
このチンピラ所長程度では問題にもならない連中に囲まれて3年間過ごした
あの工業高校時代の経験も役に立っていたのかも知れない。
(※別noteスピリチュアルX「モテる男 ― 日本のジェームズ・ボンド ―」参照)
もっとも、普通高校出身なら飲まれていたかも知れないし、逆に上位進学校出身なら、そもそもそんな会社に行く事もなかっただろうが。
例外というか、このnoteを書きつつ、
上位進学校出身ながら、“悪徳金融”を経て、建築業界に来たかつての部下を思い出した。
その1週間後、その会社の近くに用事があった私は再び
その会社のビルの前を通ったが電気が消えており、人影もない。
“以前は気にしていなかったが、北向きの暗いビルだった。”
もしやと思い、エレベーターで上がって覗いてみると、事務所の入口には、
張り紙が貼られており、誰も居なかった。
その夜、社長が賭博及び詐欺の容疑で逮捕されたとTVのニュースが流れていた。
後年、
私は自宅兼風水
事務所を設計する際、
アルヴァ・アアルト的なディテールを随所に取り入れた。
光。
木。
音の抜け方。
圧迫感の少ない動線。
今思えば、
あの閉鎖的な営業会社とは、
正反対の「舞台装置」を、
無意識に求めていたのかも知れない。

その会社の様な場所にいた連中のうち
一定数が後にマルチ商法や、
自己啓発系のセミナーへ流れていったと聞く。
今思えば、
構造はよく似ていた。
閉鎖空間。
成功者への絶対服従。
繰り返される言葉。
そして、
「勝った者だけが正しい」
という空気。
今思えば、お客だけでなく、社員を同時に騙す事が目的だった様に思う。
本来、人間は、
* フォーカス4(空気・共同体)
* フォーカス5(俯瞰・自己位置認識)
* フォーカス6(統合・静けさ)
を行き来しながら、
バランスを取っている。
でも、
あの会社は、
「勝ったものだけが勝利者だ」
という言葉通り、
人間を“フォーカス3だけ”に閉じ込める
「思考停止システム」として
設計されていた。
フォーカス3は、
* 数字
* 金
* 成果
* 契約
* キャッシュ
* 勝敗
* 即物性
の層。
現代風水では、梅にはウグイス、菜の花には蝶、ゴミにはゴキブリと
それぞれの環境に合ったモノが集まると説明しているが、
そういった類の会社には「今だけ、金だけ、自分だけ」ないわゆる“暗黒フォース面に堕ちた”
リテラシーの低い者が集まり易いのかも知れないし、
これまでに多くの“スピリチュアルや占いのコミュニティ”に接してきて思うのだが
程度の差こそあれ、
“似た様な囲い込み”,つまり「出口管理」をしている様に思える。
別の詐欺師と対峙した時も、そういう構造で、手先となる者をマインドコントロールしていた。
また私の場合、
至る所で“深田萌絵推し”を公言しており、
「貴方の人生の目標は?」
と聞かれると、
「深田萌絵とYouTubeナオキマンショーで共演する事です。」
などと言っているせいか、
熟女好きの変な奴と思われ、
幸いにも胡散臭いスピ系やマルチからは距離を置かれている。
もっとも、怪しい営業電話や投資の勧誘には、
「用はありません。」
と即座に断る事にしている。笑
だが無料の異業種交流会などに来る人々を観察すると分かるが、“あの手のDNA”を受け継ぐ者たちは今でも、手を変え品を変え、貴方の近くに居るかも知れない。
「俺んとここないか?」
「行かねえよ、笑。」
氣志團「ワンナイトカーニバル」を聴きながら。
現代家相研究所 レリガレー
この記事を書いている人間が何者なのか気になった方は、こちらをご覧ください。笑
http://religaray.com
