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【散文】鏡は人の世界をうつす鏡、影は地球をうつす影、人のつくる影は人の夢をうつす夢の影/影の夢

 鏡は人の世界をうつす鏡。有数の鏡には枠がある。影は地球をうつす影。無数の影には枠がない。

 人のつくる影は人の夢をうつす影/夢。人のつくる影には枠がある。人に合わせた枠がある。

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 鏡は鏡をうつす。影は影をうつす。人のつくる影は人の枠しかうつさない。人のつくる影は意味で汚れている。

 鏡は鏡を引用する。影は影を引用する。人のつくる影は人のつくる影を引用する。人のつくる影は鏡と影をつねに引用しそこなう。

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 鏡は世界と同期する鏡。影は地球と同期する影。人のつくる夢の影/影の夢は人とともにふれるうつろな影の夢/夢の影。

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 人の世界は鏡のようなもので満ちている。鏡のようなものをつくることが此岸にいる人の悲願。彼岸へと移ろうとする飛雁のような悲願。

 飛雁は人の放つ飛丸によって落ちることもある。人は無傷で彼岸へと移ることを夢見る。だから、移る代わりに写す/映すことを考えだした。

 面上に影を写す/映すことはできても事物を移すことは容易にはできない。不可能なことも多々ある。自分が移ることも容易ではない。

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 だから、人は事物での移/遷の代わりにもっぱら影での写/映を選ぶ。だから、人の世界は鏡のようなもので満ちている。

 鏡のようなものの面上で人は人のつくる影に見入る。人は人のつくる影に見入り見入られる/魅入られる。そこにはないものに見入り見入られ魅入られる。

 そこにあるものに取り付きながら、そこにはないものに取り付かれる/取り憑かれる。付かれ憑かれ疲れて、尽きる。

 尽きず疲れないものに心を奪われて果てる。

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 鏡は世界と同期する鏡。鏡は鏡を引用する。鏡は鏡をうつす。鏡は鏡しかうつさない。鏡は鏡にうつる。

 影は地球と同期する影。無数の影が地球の至るところで同期する。影は影を引用する。影は影をうつす。影は影しかうつさない。影は影にうつる。

 うつるはうつる。どんどんうつっていく。人の世界も地球もうつるとうつすでできている。

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 人のつくる夢の影/影の夢は、人とともにふれるうつろな影の夢/夢の影。うつつのうつし/写し/映しにうつつを抜かす。

 うつろいは、人とともに、ふれる/振れる/偏れる/震れる/狂れる、影と夢。

 人の思い描く夢と影は尽きず疲れない。小さく短命な存在である人だけが、うつつで影と夢を相手に尽きて疲れて果てていく。

 そうやって、夢と影からようやく移っていくのだろう。

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【散文】では、ふだんの「です・ます」調ではない文体で書いてあります。話し掛けるようには書いていないので、私にとっては文語体なのです。書きなれない文体だからか、書いたあとにはぐったりしますが(妙な言い方ですけど外国語で書いている感じがするのです、さらに言うと人格が変わるような気もします)、ときどき無性にこの書き方をしたくなります。この文体でなくては書けないことを書きたいときが多いです。あと、書いているうちに思いがけない展開になることがあって、なかなか魅力的な文体でもあります。しばらくこの文体で書いてみようと思っています。

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