元外資OLは夜だけ素になれる。その理由を書きます
朝、エレベーターに乗る瞬間、私は別の生き物になる。
ビルの35階。窓の外には東京の空が広がっていて、その下には数えきれないほどの人々が蠢いている。私はその景色を背に、Excelの数字と向き合う。クライアントの資産残高、為替レート、運用利回り。冷たい数字だけが正しい世界。そこでは感情も、体温も、まして「湿度」なんてものは、存在してはいけない。
28歳。IT企業で働いている。
「玲奈さんは、いつも冷静だね」
上司にそう言われるたび、私は曖昧に微笑む。そう、昼間の私は冷静で、正確で、隙がない。ヒールの音を響かせながら会議室に入り、大きな数字を淡々と扱う。誰も私のことを「女」としては見ていない。見せない。見せてはいけない。
それがルールだと、いつの間にか自分に課していた。
でも、夜になると、私の中で何かが溶け出す。
帰宅して、スーツを脱いで、シャワーを浴びる。鎖骨に流れる水を指でなぞったとき、ふと思うのだ。今日、誰かに触れられただろうか。今日、誰かの体温を感じただろうか。
答えは、いつもノー。
一人暮らしのマンション。広すぎるベッドの上で、私は膝を抱えながら、自分の体の輪郭を確かめる。昼間は存在しないことにしていた「女」としての私が、夜になると急に呼吸を始める。
喉が渇くように、肌が誰かを求めている。
そんな夜が、何度もあった。
だから、私は書くことにした。
誰にも見せない日記を、ずっとつけていた。仕事のことではなく、夜のこと。誰かと過ごした夜のこと。一人で過ごした夜のこと。その全部を、私だけの言葉で綴っていた。
あるとき気づいた。これは、私にしか書けない。
企業で働く女が、夜に何を考え、何を感じ、どんな熱を抱えているか。そんなこと、誰も知らない。知る術がない。だって、昼間の私たちは、そんな話はしないから。
でも、本当は、女はみんな夜を持っている。
昼間は笑顔で、夜は泣いている。昼間は冷静で、夜は誰かの腕の中で溶けている。その両方が、同じ一人の女の中に存在している。私は、そのことを書きたいと思った。
「数字では測れないもの」を、言葉にしたかった。
このnoteでは、私の夜のことを書く。
誰と、どこで、何があったのか。そのとき私が何を感じ、何を求め、何を得たのか。ときには官能的な描写もある。でも、それは「エロい話」を書きたいわけではない。
人と人が触れ合うこと。肌が重なること。息が混じり合うこと。その瞬間にだけ現れる、言葉にならない感情のこと。それを、丁寧に、正直に、書きたい。
男性が読んだら、きっと「こんなふうに感じているのか」と思うだろう。女性が読んだら、「私だけじゃないんだ」と思うかもしれない。
どちらでもいい。
ただ、ここでしか読めない私がいる。それだけは、約束できる。
有料記事では、もう少し深く、もう少し赤裸々に、私の夜を綴っていく。メンバーシップに参加してくれた方には、月に数本、私の「日記」をお届けする予定だ。
読んでくれるあなたと、どこかで呼吸が重なればいいなと思う。
私の夜に、ようこそ。
