三島由紀夫、処女作『酸模』(1938)
三島由紀夫、13歳の時の処女作、短編『酸模』を読んだ。
この頃から、理性と感情の相克に関心を持っていたよう。
両者の優劣ではなく、それぞれの美徳と限界に。
真っ直ぐに空に伸び、朱色の花を咲かせる丘の上の酸模を象徴的モチーフとして、子どもの無垢なるものへの信頼と、大人の無慈悲が対比的に描かれる。
丘の上の刑務所の脱獄犯と少年の触れ合いが物語の軸となる。
同じ単行本に収録される『手長姫』(1951/26歳作)の主人公・鞠子は、15年間、精神病院で過ごすが、これを「服役」と呼び、場を「灰色の刑務所」と表す。
カポーティーは『冷血』(1965)で刑務所の死刑囚を取材し、小説にした。
社会から異質と見做される者の居場所を「刑務所」と呼び、その世界への強い関心という点で両者は共通するものがある気もする。
思えば、カポーティーも三島も同性愛者であった。こんなことは、もうすでにどこかの誰かが指摘しているのだろうか。
2人は、対面したことがあり、わり合い気が合ったというようなことをどこかで読んだことがある。
酸模が咲き乱れる丘に無性に行きたくなった。
ちょうど今が花咲く季節。

