アルフレッド・ジャリの戯曲『鎖につながれたユビュ』の読書記録
全五幕。浜辺での読書。カモメかウミネコの多分ファミリーがいる。The Beatlesの『Tomorrow Never Knows』が浮かんだ。しかし、しばらくすると後方で行われているアイドルコンサートにより読書に集中できなくなったので、館内に避難して読書を継続した。移動ついでにちょっと会場を覗いてみたら、二人組アイドルにお客さんが3人、スタッフ5人くらいで計10人くらいの集まりだったが、むちゃくちゃ盛り上がっていて驚いた。学園祭的。屋外ステージで水撒いて歌って踊ってノリまくって、羨むような空間だった。
感想・考察
王を辞めて奴隷を目指す、全編倒錯の物語。自由兵は自由であるためにめちゃくちゃになる。命令に服従しない自由と服従する自由が等価。また、ユビュ親父の、奴隷になるために横柄に努力するさまがこの戯曲の見どころ。
この話のテーマは、絶対の価値観は存在しないということだろう。
理不尽劇『ユビュ王』や、シュール劇『寝取られユビュ』に比べて、その辺りが明確でわかりやすかった。ユビュ夫妻は出鱈目に見えるが、常識がないのではなく、常識を踏まえた上で常識を尊重しない、非常にインテリジェンス度が高く自由の概念にすら縛られない、絶対的とも言える自由を持つ魅力的な夫婦に思われる。異論はあるだろうが。奴隷船の漕ぎ手なのに。
この夫婦は、古典的な理性では愚かに見えるが、量子論的な視点で見れば豊かに見える存在と言える。
全ては解釈次第。我思っても我あるのかないのか、それは我が決めることで、客観的に決まることではないという感覚が浮かぶ。
人生の細部を切り落としていく、こういう話を読むと、解放を感じて爽やかになる。
客が3人でも自らの世界に没頭できるアイドルとお客さんたち、ユビュ夫妻につながる自由がある。
人なんか関係ねえぜ、常識なんて知らねえぜ、客観なんてふざけんじゃねえ、と自らの価値観で可否を決定する潔さが大切。
人生という牢獄からの脱獄。
Be Free。
モンテクリスト伯。
Pretty vacant。
…Sex Pistols。
価値判断は不要。これらは自己欺瞞の極北であり、同時にナンセンスが大切であることは間違いない。意味がないことを意識しつつも、無理矢理意味を持たせることの積み重ねで人生が終わる。茫漠たる宇宙空間が浮かぶ。
