【短編小説】後編|あなたの瞳をのぞかせて|僕らの共同作品
こんにちわ。零ぴちゅ。です。
前編はこちらから↓↓
「あなたの瞳をのぞかせて」
後編。どうぞご覧ください。
「実は僕さ、都市伝説マニアなんだ」
「え、えぇっ!?」
「ごめん…。
いや、別に隠すつもりはなかったんだけど…
何か話すタイミングがなくて」
「都市伝説って…UFOとか!?」
「うん、そう。それ」

そのあと零さんに聞かされた話に、
私はびっくりした。
だって、今まで零さんから都市伝説の『と』の字も聞いたことがなかったんだもん。
零さんの話では、
以前から様々な都市伝説を調べるのが好きで、
本や雑誌、ネットで情報を追いかけていたそう。
そんなある日、一人の女性と出会った。
女性の名は『れい子さん』
都市伝説を詳しく知っている人で、
零さんに色々な都市伝説を話してくれた。
都市伝説の事で共感した人と
出会えて嬉しかった零さんは、
彼女と交流を持つことにした。
「れい子さんは、都市伝説を沢山知っていたし、
何より僕の熱い話に共感してくれた。
しばらくそのことばかり考えてて、仕事も手に付かなかった」
あぁ、だからあんなにうわの空だったんだ。
そっかぁ。そうだったのかぁ…
「えっ、それじゃあ、もしかして」
「ん?」
零さんが首をかしげる。
「あの…この間、私ね、零さんを見かけたの。
駅前のカフェで」
「あぁ、あの店で? そうなんだ。
声かけてくれれば良かったのに」
「いや、その……もしかしてその時、
れい子さんと一緒にいた?」
「え…、それ、いつの話?」
「水曜日の夜。雨が降った日」
零さんが、あっけらかんと答える。
「あ、あぁ〜。水曜日ね。れい子さんとバッタリ会ったんで、あのカフェに入ったんだよ。
UFOの話に夢中になっちゃってさ、
ずいぶんと長い時間、話しこんじゃったよ」

「そ、そうだったんだ~」
なんだか、気が抜けた。
まるで、胸の奥から重たい物が、
すぅっ…と消えたような感じがする。
やっぱり考えすぎだったんだ。
安心したら、笑えてきた。
ふふ。と笑っている私を、
零さんが不思議そうに見た。
「ん? どうした?」
「あ、ううん、なんでもない」
慌てて、手を振る。
変な猜疑心で
零さんとれい子さんの関係を疑っていたことは、 胸の中にしまっておこう。
「あ、それから、昨日はほんとにごめん。
映画に行けなくて…」
零さんはすまなそうに言い、
続けて驚くような話をしてくれた。
昨日はれい子さんと、
UFOを見に行っていたというのだ。

「れい子さんがさ、UFOが頻繁に出没する場所を教えてくれて。
すぐに見に行かないと、UFOが見れなくなっちゃうかもって言うから、とりあえず、その場所へ行ったんだ」
「えぇっ?!
そ、それで、UFOを見ることはできたの?」
零さんが、にっこりと笑う。
「うん、少しだけだけどね」
「えぇ~っ!?すごい!!」

今日はほんとに、驚くことばかり。
でも…
「零さん、すごくイキイキしてる!」
「え、ほんとに?」
「うん。イキイキ、キラキラしてて、
とってもステキ!」
「い、いや~。あはは」
零さんは、恥ずかしそうに頭をかいた。
その時、初めて気づいた。
零さんのことをすべて知っている、
と思っていたけど……
でも心の片隅には、
『何かが抜け落ちている』という
欠落感があった。
その欠落感が何だったのか、今わかった。
これだったんだ!
好きなことに夢中になって、
イキイキと輝いている零さん。
今、目の前にいる生命力に溢れて、
楽しそうにしている零さんのことを、
私は今まで知らなかった。
だから、
カフェで熱心に話している零さんの姿を見て、
知らない人みたいに思えてしまったんだ。
あの時に感じた疎外感
それがあまりにも大きかったから、
れい子さんという存在に、
私は過剰反応してしまったんだ。
あの疎外感がなかったら、
れい子さんと一緒にいる零さんを見ただけで、
あんなに悲しくはならなかっただろう。
零さんは、都市伝説の話をしながら、
子供みたいにはしゃいでいる。
よかった…
私はホッとして、零さんにもたれかかった。
零さんはそんな私の肩に手を置き、
そして言ってくれた。

「心配させちゃってごめん。それに、
心配しているレイラさんに気づけなくて。
僕は夢中になると、一つの事しか考えられないようで。
夢中にならなきゃいけなかったのは、
今、この瞬間だったね。」
その言葉で、ハートが熱くなった。
ありがとう、零さん。
大好き……
◇
ここで時間は少し、逆戻りする。
れい子はひとり、草地にたたずんでいた。
美しい夜空を見上げる。
零サン………
都市伝説ガ、大好キナ彼。
UFOヲ見ルコトニ、スッカリ夢中ニナッテ…
私ガ隣ニイルコトナンテ、
忘レテル様ダッタ…
都市伝説ノコトヲ話テイル時ノ零サンハ、
瞳ガキラキラ輝イテ、トテモ嬉シソウ。
ソノ楽シソウナ姿ヲ見テイルト…
ソノ瞳ヲ私ニ向ケテ欲シイ…
コノママコノ時間ガ続ケバイイ…
ソウ、思ッテシマウホド、楽シカッタ。
元々ハ都市伝説ヲ、話スノガ楽シカッタノニ…
デモ今ハ…
零サント話スノガ楽シインダト気ヅイタ。
叶ワナイコトハ、ワカッテル。
零サンニハ、素敵ナ彼女ガイルカラ……

そのとき、スマホが鳴った。
依頼主からの電話だ。
『どうだ? うまくいったか?』
「ハイ」
『次の段取りは?』
「コレカラ。実行シマス」
『よし。頼んだぞ』
『…ハイ』
※作品内の文章・イラストの無断転載、無断使用、AI学習利用はご遠慮ください。
大切に作ったオリジナル作品です。
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