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【エッセイ】 1/255

私の趣味は映画鑑賞である。

住んでいる地域は、日本でも屈指の田舎だが、幸いなことに映画館だけは意外と多い。車で30分も走れば、シネコンが二つあり、ミニシアターもある。

先日、そのうちの一つであるシネコンに映画を観に行った。

慌ててチケットを買う必要がないのも、田舎住みのメリットである。

しかし、券売機で購入していると「おや?」と思った。というのも、座席が一つも埋まっていなかったのだ。

実際に劇場へ足を踏み入れると、225席ある座席には、やはり誰もいなかった。
上映開始時間が近づいてきても、人がやってくる気配はない。

今日は貸切かもしれない。

結局、そのまま誰もやってくることなく、場内が暗くなったが、急にソワソワしてきた。

本当に貸切なのか。本当に誰もいないのか。

そんなモヤモヤしたものを抱えながら、映画を見始める。

やがてエンドロールが終わり、再び場内が明るくなる。そこで誰もいないことを確認して、ようやくやっぱり貸切だったのかと感じる。

だから、上映開始から「貸切である」という実感は、実のところほとんどない。

一つ付け加えておくと、貸切はこれまでに何度か経験しているが、惜しくも貸切にならず、全く知らない見ず知らずの誰かと二人きりで映画を堪能することもある。

国宝が日本実写映画の歴代興行収入を塗り替え、名探偵コナン、チェンソーマン、鬼滅の刃などのアニメ映画の好調もあり、映画の売り上げ自体は過去最高を記録したそうだ。

ただ、映画好きとしては、シネコンのスクリーンで上映される作品に、全く人が入らないというのは、やはり残念でならない。

単に田舎に人がいないだけなのか、映画がつまらないだけなのか、それとも両方を孕んでいるのか、その原因はわからない。

とはいえ私個人としては、225席のスクリーンが貸切だったという事実だけは、満足感が大きいから複雑である。

ちなみに、観た映画が面白かったかどうかは別の話であり、ここに感想が書かれていないことからも、いろいろと察してもらいたい。

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