「名もなき者」を観た(配信:2026/03/06)
ボブ・ディランの伝記映画。といってもフォークの旗手として頭角を表すところからニューポート・フォーク・フェスティバルでエレキギター持って登場までだからごく初期の話。
ディランオンリーというよりは当時の彼を取り巻くミュージック・シーンの人々の群像劇的なのがよかった。
ディラン役のシャラメがギターも歌も自分でやっているのがすごい。歌い方も真似ではなく寄せてきているところがいい。
それより驚いたのがジョーン・バエズ役の人の歌。私の実家にはなぜかジョーン・バエズのアルバムがあり、私が初めて聴いた洋楽はたぶんジョーン・バエズ。あの透き通るような(陳腐な表現だなぁ)歌声の「ドナドナ」「花はどこへ行った」「勝利を我らに」は今でも耳に残っている。それがそのまま画面から聴こえてきた。これには本当に驚いた。
全編にわたってディランの曲と当時の主にフォーク・ミュージックのヒット曲が流れ、私生活ではかなりだらしないけど何かを創り出さずにはいられないディランがフォーク・ミュージック界のスターの枠にとどまりきれず、ロック・ミュージックに「転向」していく姿を描いている。
フォーク界の人々がロック・ミュージックを蛇蝎の如く嫌う様子が現在の感覚からするとなんでそんなに?だけど、思い起こせば自分の中学時代の英語教師は「カーペンターズはいいけど、ビートルズ(を含むロック)はダメ」な人だった。理由は「使う言葉が汚いから」で、心の中では結構反発したものだった。
ジャンルの枠におさまらないディランの音楽がどうやって創られてきたかがなんとなく伝わってくる作品だった。
