なぜサッカー選手は疲れると膝に手をつくのか?理学療法士が解説
サッカーを見ていると、
選手が膝に手をついて呼吸を整える場面をよく見ませんか?

多くの人は
「疲れているから」
と思っているはずです。
もちろんそれも正解です。
でも実はこの姿勢、ただ楽をしているわけではありません。
身体の仕組み的に、回復を早める合理的な姿勢なんです。
私は理学療法士として働いていますが、
この姿勢にはちゃんとした意味があります。
今回は、
サッカー観戦が少し面白くなる身体の話をしていきます。
2026北中米W杯も観戦しにいくので、
こちらの記事もぜひ読んでみてください!
疲れると身体の中で何が起きているのか
サッカーはダッシュとストップを繰り返すスポーツです。
短時間で高強度の運動をすると、身体の中では次のような変化が起こります。
心拍数が上がる
呼吸数が増える
筋肉が疲労する
酸素が不足しやすくなる
つまり身体は
「早く酸素を取り込みたい状態」
になっています。
ここで重要になるのが「呼吸」です。
なぜ膝に手をつくと呼吸が楽になるのか
膝に手をつく姿勢は、専門的には
前屈位(ぜんくつい)
と呼ばれます。
この姿勢になることで起こるメリットは主に3つあります。
① 呼吸に使う筋肉を使いやすくなる
呼吸は横隔膜だけでなく、
胸鎖乳突筋
斜角筋
肋間筋
など多くの筋肉が関わっています。
前屈姿勢になると、これらの筋肉が働きやすくなり
呼吸効率が上がります。
Michaelsonら(2019)の研究では、大学レベルのサッカー選手におけるハンドオンヘッド(HH)回復と膝当て(HK)を比較し、インターバルランニング後のHKグループで心拍数回復が改善したことがわかりました。
② 横隔膜が動きやすくなる
体幹を少し丸めることで
横隔膜が動きやすくなり、
より深く呼吸ができる状態になります。
③ 回復を早める姿勢になる
呼吸がしやすくなることで、
酸素摂取量が増える
心拍回復が早まる
疲労回復が促進される
つまり選手は無意識に
一番回復しやすい姿勢
をとっているのです。
さらに酸素を効率よく取り込むだけでなく、
老廃物の排出を促す可能性もあると指摘されています。
参考文献:Michaelson, J.V.,Brilla, L.R.,Suprak, D.N., McLaughlin, W.L. &Dahlquist, D.T. (2019) Effects of two different recovery postures during high intensity interval training,Translational Journal of the ACSM,23-27.
つまり、サッカー選手は無意識に
「一番回復しやすい姿勢」を選んでいたということです。
レアルソシエダの日本代表MF久保建英選手も
試合中に腰に手を当てる姿を目にします。

久保選手の場合は膝ではなく腰ですが、
上半身を安定させ、呼吸筋を使いやすくする。
という点では同様の効果があるように思います。
久保選手が腰に手を当てる回数が多いと、
「疲れてるのかな」「コンディション悪いのかな」と
心配になってしまいます笑
これはプロだけの話ではありません
思い返してみると、この姿勢は
一般の人でも自然にやっています。
例えば、
全力で走ったあと
階段を急いで登ったあと
激しい運動をしたあと
気づくと膝に手をついていませんか?
それは身体が本能的に
回復しやすい姿勢を選んでいるからです。
プロ選手の動作には意味がある
サッカー選手が何気なくやっている動作でも、
身体の仕組みとして考えると
とても合理的なものが多いです。
試合中に選手が膝に手をついていたら、
「回復を早めているんだな」
と思い出してみてください。

少し違った視点で試合が見えるようになると思います。
今後は、サッカーを身体の視点から解説する発信もしていくので、
興味がある方はフォローしてもらえると嬉しいです。
