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「喫茶店のブラマンジェ」

はじめまして。


 「生きているって 
 それだけで 哀しみが にじむ」

でもね
捨てたもんでもないよ

吹き抜けていった風が そう ささやく。
そのやさしさに涙が落ち 空を見上げた日。

誰の目にもとまらぬように風が通る、
小さな隙間を抜ける路地
雑踏を抜けて涼を求め 入った 喫茶店
マスターが言った

「なにを 御所望かな?」
その笑顔に 父のまなざしを思い出し
父のすきだった「ブルマン・・」と答える
父が そこにいるようだ。
マスターは笑みながら 珈琲を入れる

「喫茶店のブラマンジェ」

ここは
名も持たず、語らず、ただ、こころに在ることばを書く場所。
降ることばを受け止める場所。
空を 飛び疲れた言葉たちが羽を休めるための、場所。
静けさを求めてやってくるあなたの。
夜のしずけさや祈りが、ひとつずつ集まってくる
少し甘くてふわっととけるブラマンジェ
少し 苦い珈琲
あなたのこころを そっと置くところ。
窓が少しだけ開いている日は おはいりください。

いつか
ひとりの売れない詩人が立ち寄って
読まれにくいものを書いてでも、
それでも書かずにいられない、
そんな“営み”のよろこびを
ここは しずかに受け止めた

店番の奥さんが笑って、「こんにちは。いらっしゃい」
「マスターはいま、アトリエです」とだけ言う
そう
マスターは 絵描きさん。
聞けば 父の親友だったという。
ああ そうか。このひとが。
見れば マスターの絵がかけられている。
父の書斎にも あった。

 そんな 喫茶店に お越しになったあなた。

「ようこそ。いらっしゃいませ」


   どの世界でも
ひとは 生き延びるため
一時期 退避することがある。
いったん 立ち止まる。
それも いいさ。
そして
生きる場所は ひとつではない
草の肌触りの場所で のびのびと生きる
一期一会の儚さに 生きることもある

10000分の1の出会い。
広いこのnoteの世界で、あなたと出会えた奇跡。
ありがとう。きっと 今 出会ったひとは ほんの偶然でも
忘れ得ぬひとになる。
ここにきて ひとりぼっちのとき。
本を愛する方にであった。
そのときの
その たった ひとりの眼差しを
今も 忘れない。

ここは 旧く懐かしい音楽としずけさ。
それしかないけど。

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