【第4話】異端になれなかった私が、“普通”にも負けた話。
古久保汐佳(ふるくぼしおか)、当時15歳。
芸能界での活動を終えて、
私は“普通”の道に戻った。
子役でもない。PR隊でもない。アーティストでもない。
ただの中学生、ただの受験生になった。
勉強はそこそこ好きだった。
「次こそはうまくやれる」
そう思っていた。
だから本気で勉強した。
毎日机にかじりついて、
睡眠時間を削って、
合格通知を夢見ていた。
勉学に真剣に向き合った。
けれど、結果は
不合格。
第一志望の高校には届かなかった。
人生で初めて、“何をしても叶わない”という
現実を突きつけられた。
芸能界では「運やタイミング」のせいにできた。
でも、受験は違った。
努力の量が、テストの点数としてそのまま出る。
だからこそ、言い訳ができなかった。
「ああ、私って努力しても報われないんだ」
そんな絶望感だけが、心に居座った。
私は何者にもなれない。どこにも居場所がない。
芸能の世界で芽が出なかったことも、
勉強で結果が出なかったことも、
どちらも「私は何の才能もない」と思い込ませるには、十分すぎた。
私は、夢を見るのをやめた。
誰かと比べて落ち込むのも疲れた。
口にするたび、自分の現実と向き合うことになる“夢”という言葉が、嫌いになった。
こうして、中学生までの私は
“何者にもなれない自分”
を受け入れようとしていた。
まだ始まってもいない人生なのに――
もう終わったみたいな顔で。
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