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人物2 井上成美

井上成美
また海軍。決して海軍オシではないのだが、前回の米内光政のところで触れたので、その流れで。

大好きだった祖父の家を解体する際に拝借してきた「宮野 澄著 最後の海軍大将井上成美」を
いま読み終えたところ、というタイミングもある。また陸軍疲れもあるかもしれない。この時代、何の気なく取っ掛かると、気づけば陸軍で溢れるそうになる。

海軍の良識派で、米内、山本と合わせ海軍三羽烏ともいわれている。米内と共に日独伊三国同盟反対と終戦に尽力。

海軍三羽烏の本といえば、まず阿川弘之の海軍三部作だが、阿川の井上成美は長編。そこへ行くと宮野の著は300頁あまりで読みやすい。阿川版も遠い昔読んだはずだが、通説どおりの人物像をつかんだ以外の記憶は、もう無い。

さて宮野版。命を賭してと言ってもいい日独伊三国同盟と対米戦の阻止。それによる左遷の繰り返し。対米戦時下の兵学校における英語教育の促進。妻亡き後、娘の願いで1人を貫き、やがて娘も先立つ家族模様。かつて刻まれた井上が、蘇ってきた。ただ南雲忠一との軍務局と海上での一幕は、完全に忘れたのだろう、初めて聞いたようで新鮮だった。

長くない紙面のうち、終戦後に多く費やしているのは、終戦後の姿こそ、著者が魅せられていた証なのだろう。

三浦半島の西側先端に迫る長井の地で、聖書を支えとしつつ生き続ける事で、開戦の責任を一身に背負い、海軍兵学校長時代と、長井で自然と子供達が集まって出来た英語塾の教え子たちが、また自然に井上のもとに集まってくる。そんな海軍の行者に、自分も魅せられた1人となった。


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