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百﨑選手、一軍初昇格 ― 失敗を恐れず、本来の力を発揮するために


百﨑選手、一軍初昇格おめでとうございます。


2026年6月3日。

百﨑蒼生選手がプロ入り後、初めて一軍登録されました。

まずは心から、おめでとうございます。

ここまでの道のりは決して平坦ではなかったと思います。

怪我。

リハビリ。

焦り。

不安。

競争。

様々な経験を乗り越えながら掴んだ一軍の舞台です。

しかし、本当の勝負はここから始まります。

若い選手が一軍に上がったとき、最も注意しなければならないことがあります。

それは、

「失敗したくない」

という気持ちです。





過剰ポテンシャルが本来の力を奪う


人は、

・結果を出したい

・期待に応えたい

・一軍に残りたい

・二軍に落ちたくない

という気持ちが強くなりすぎると、本来の力を発揮できなくなります。

力む。

焦る。

考えすぎる。

視野が狭くなる。

そして、本来持っている能力を発揮できなくなる。

私はこれを「過剰ポテンシャル」と考えています。

良い結果を求める気持ちが強すぎることで、逆に結果から遠ざかってしまう状態です。

一軍初昇格という特別な状況だからこそ、この状態には注意しなければなりません。

だから百﨑選手に必要なのは、

「もっと頑張ること」

ではなく、

「余分な力を抜くこと」

です。





一軍で学ぶべきこと


一軍にいる時間は貴重です。

試合に出ている時間だけが学びではありません。

ベンチにいる時間も学びです。

先輩選手の準備。

投手と打者の駆け引き。

試合の流れ。

ベンチの空気。

試合前の過ごし方。

一軍の選手たちがどのように準備しているのか。

それら全てが財産になります。

そして常に準備を続けること。

もし次の回に守備につくなら。

もし次の打席で代打を告げられたら。

もし今日スタメンだったら。

頭の中で何度もシミュレーションする。

一軍の試合を「見ている人」ではなく、「参加している人」として過ごすことが大切です。





野球の本質を忘れない


野球は「メンタルのスポーツ」と言われます。

なぜそう言われるのでしょうか。

私はその理由の一つが、

「野球は最初から打者が不利なスポーツだから」

だと思っています。

ボールは4つで四球。

ストライクは3つで三振。

つまり打者は打席に立った瞬間から、投手より一球分不利な状況で勝負を始めています。

ここを理解しているかどうかは非常に大きい。

投手は最初から有利な立場です。

だからさらに有利になろうとします。

ボール球を振らせる。

ファールを打たせる。

狙い球を外す。

裏をかく。

際どいコースでストライクを取る。

何とかしてストライクを先行させようとします。

なぜなら0-1になれば、投手はさらに有利になるからです。

逆に打者は、不利な状況からスタートする以上、初球で流れを変えなければなりません。

だから初球が重要なのです。

ボール球を見極める。

甘い球を逃さない。

失投を仕留める。

そのためには打席に入る前から準備が必要になります。

しかし若い選手ほど、

「結果を出したい」

「失敗したくない」

「二軍に落ちたくない」

という感情に飲み込まれやすい。

するとどうなるか。

初球から迷いが生まれます。

打つべきか。

待つべきか。

振るべきか。

見送るべきか。

その一瞬の迷いが、本来打てたはずの球を見逃す原因になります。

野球では一瞬の迷いが結果を変えます。

だからこそ必要なのがニュートラルです。

平常心です。

失敗を恐れない。

成功を追い求めすぎない。

ただ目の前の一球に集中する。

感情に振り回されず、自分の状態を観察しながら打席に入る。

その状態で初めて、本来持っている力が発揮されます。





凡打の美学


さらに野球には、もう一つ忘れてはいけない本質があります。

それは、

「一流打者でも多くは失敗している」

という事実です。

打率3割で一流。

打率3割5分なら球界を代表する打者。

つまり、一流打者であっても6割以上は凡退しています。

裏を返せば、野球とは失敗が前提のスポーツなのです。

しかし、多くの人はヒットかアウトかという結果だけを見てしまいます。

本当に大切なのは、その内容です。

凡打にも質があります。

三振にも価値があります。

相手投手の決め球を見極められたか。

球筋を捉えられたか。

強いスイングができたか。

球数を投げさせたか。

進塁打になったか。

次の打者につながる情報を得られたか。

チームに貢献できたか。

そこを見なければ成長はありません。

良い打者ほど、ヒットだけでなく凡打を大切にします。

なぜ打てなかったのか。

何が良かったのか。

何を修正すべきなのか。

そこに目を向けます。





成長は振り返りから生まれる


人は失敗すると目を背けたくなります。

無かったことにしたくなります。

しかし成長は失敗からしか生まれません。

振り返り。

修正。

再挑戦。

この繰り返しが選手を成長させます。

凡打を振り返る。

三振を振り返る。

打席で何を感じたのかを振り返る。

そこに次のヒットの種があります。

そこに次の成長の種があります。





百﨑選手へ


一軍初昇格、本当におめでとうございます。

焦らなくていい。

結果を急がなくていい。

失敗を恐れなくていい。

まずは一軍の空気を感じること。

学ぶこと。

準備を続けること。

そしてチャンスが来た時には、

野球の本質を思い出してください。

打者は最初から不利なスポーツであること。

だからこそ初球が大切であること。

失敗は野球の一部であること。

だからこそ凡打から学ぶこと。

そして何より、

ニュートラルな状態で打席に立つこと。

余分な力を抜き、本来の自分の力を発揮してください。

その積み重ねが、必ず未来につながると信じています。

一軍初昇格、本当におめでとうございます。



【豆知識】


プロ野球には「一軍最低保証年俸」という制度があります。

百﨑選手の今年の推定年俸は500万円ですが、一軍に登録されている期間は最低保証年俸1,600万円を基準に日割り計算されます。

計算すると、

(1,600万円 − 500万円)÷ 150日

= 約7万3千円

つまり、一軍登録日数1日につき約7万3千円が加算されることになります。

もちろん、お金だけが目的ではありません。

しかし、一軍で過ごす1日には、それだけの価値があるということでもあります。

経験。

成長。

学び。

そしてチャンス。

その全てを積み重ねながら、1日でも長く一軍の舞台でプレーできることを願っています。

百﨑選手、一軍初昇格おめでとうございます。



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