第6回(最終回) | 百﨑選手に今、本当に必要なもの― ゾーンを“続ける”という技術 ―

最近、こんな記事がありました。
阪神の百﨑蒼生選手が、一軍帯同から二軍へ戻ったという記事です。
その中で百﨑選手は、自らの課題について、こう語っていました。
「課題はメンタルですかね。自分の気持ちを整理することが大事。」
この言葉は、とても重いです。
そして、この言葉は百﨑選手だけのものではありません。
結果が出ない若手選手。
大事な場面で崩れる選手。
力はあるのに、思うように発揮できない選手。
そうした多くの選手が、同じように感じているはずです。
ですが、ここで一つ、はっきりと言いたいことがあります。
百﨑選手に今、本当に必要なものは、
「メンタルを強くすること」ではありません。
必要なのは、
“状態を戻す技術”です。
今日は、その話です。
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🔷 ゾーンは「入ること」より「続けること」が難しい
このシリーズでは、ここまで、
過剰ポテンシャル、平衡力、三つの野球脳、中庸、そしてゾーンについて見てきました。
そして前回、ゾーンとは何かを整理しました。
ゾーンとは、
思考・意識・感情が一致し、
“場”と共鳴している状態
でした。
そのとき人は、自分の能力を最大限発揮できます。
普段80%しか出ていない力が100%出る。
場合によっては、120%の力が出ることもある。
技術が急に増えるのではありません。
フォームが急に変わるのでもありません。
変わるのは、状態です。
ですが、ここで大きな問題があります。
それは、
ゾーンは、一度入れば終わりではない
ということです。
むしろ本当に難しいのは、
ゾーンに入ることではありません。
ゾーンを“続ける”ことです。

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🌊 人は必ず揺れる

人は、必ず揺れます。
これは弱いからではありません。
未熟だからでもありません。
人間だからです。
打てば、次も打ちたくなります。
打てなければ、取り返したくなります。
エラーをすれば、取り戻したくなります。
評価されれば、それを守りたくなります。
二軍に落ちれば、早く戻りたくなります。
つまり人は、いつも
結果
評価
未来
期待
不安
に揺らされています。
この揺れそのものは、悪いことではありません。
問題は、その揺れに飲まれることです。
揺れに飲まれると、
• 思考が増える
• 感情が荒れる
• 意識が今から離れる
• 身体が硬くなる
• 視野が狭くなる
そうして、せっかく整っていた状態が崩れていきます。
つまり、
ゾーンが切れる
のです。

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🔶 本当に強い選手とは、揺れない選手ではない
ここで、とても大事なことを言います。
本当に強い選手とは、
いつも完璧な選手ではありません。
いつも落ち着いている選手でもありません。
いつもゾーンに入っている選手でもありません。
本当に強い選手とは、
揺れない選手ではなく、
揺れても戻れる選手です。
これが、プロの本当の力です。
一流の選手が特別なのは、
ミスをしないからではありません。
一流の選手が特別なのは、
ズレないからでもありません。
ズレても、
崩れても、
思考が増えても、
感情が動いても、
そこから戻る技術を持っている
からです。
この違いは、とても大きいです。
一度崩れたまま、何打席も、何試合も、何週間も引きずる選手もいます。
一方で、崩れても一球で戻る選手もいます。
この差が、
一軍と二軍を分け、
若手とレギュラーを分け、
有望株と本物を分けていきます。

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🧠 百﨑選手の課題は「メンタル」ではない
百﨑選手は、「課題はメンタル」と語りました。
その自己分析は、たしかに本質に近いものがあります。
ですが、Reflectia的に言うなら、
ここでさらに一段深く言語化できます。
百﨑選手の課題は、
単なる「メンタル」ではありません。
本当に必要なのは、
状態を戻す技術です。
もっと具体的に言えば、
• 結果に飛んだ意識を、今に戻すこと
• 揺れた感情を、観察して整えること
• 過剰に意味づけした思考を、静かにほどくこと
• 身体を、もう一度プレーの一点に戻すこと
です。
これができるようになると、
「メンタルが安定する」のではありません。
プレーが戻るのです。
ここが大事です。
野球は、気持ちだけでやる競技ではありません。
同時に、技術だけでやる競技でもありません。
野球は、
状態によって、技術の出力が変わる競技
です。
だからこそ、必要なのは
「頑張ること」でも
「気合いを入れること」でも
「強く思い込むこと」でもなく、
戻すこと
なのです。

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🌿 ゾーンを続けるための4つの技術

では、どうすればゾーンを続けられるのでしょうか。
ここで必要なのは、特別な能力ではありません。
日々の中で身につける、小さな技術です。
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🫧 ① 内省すること
プレーのあとに見るべきものは、結果だけではありません。
ヒットだったか、凡打だったか。
エラーだったか、アウトを取れたか。
もちろんそれも大事です。
ですが、それ以上に見なければいけないのは、
そのとき自分がどんな状態だったか
です。
打てたとき、どんな呼吸でしたか。
守れたとき、どこを見ていましたか。
崩れたとき、何を考えていましたか。
状態を見ないまま結果だけを追いかけると、
再現性は生まれません。
内省とは、
うまくいった理由を技術だけで説明しないことです。
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🔍 ② 振り返ること
振り返りは反省会ではありません。
「なんで打てなかったのか」
「なんでミスしたのか」
と責めるための時間ではありません。
振り返りとは、
どこでズレたかを知ること
です。
• 結果を見始めた瞬間はいつだったか
• 相手ではなく自分を気にし始めたのはいつだったか
• 一球ではなく未来を見たのはいつだったか
ここが見えてくると、
次に戻る場所がわかります。
振り返りとは、
失敗を責めることではなく、
戻るポイントを知ることです。
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🌊 ③ 揺れに気づくこと
人は、揺れをゼロにはできません。
だから大事なのは、揺れないことではなく、
揺れに早く気づくこと
です。
「あ、いま結果を見ているな」
「あ、いま力んでいるな」
「あ、いま見せたいと思っているな」
「あ、いま怖くなっているな」
この“気づき”があるだけで、
揺れは少し弱くなります。
逆に、揺れに気づかないまま進むと、
そのまま崩れます。
プロは、気づくのが早い。
だから、戻るのも早い。
ここが、プロとそうでない選手の差です。
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🌿 ④ すぐ中庸に戻すこと
そして最後に戻る場所は、一つです。
中庸
です。
力みすぎない。
抜きすぎない。
張りすぎない。
緩みすぎない。
未来に飛びすぎない。
過去に引っ張られすぎない。
「今」の一点に戻る。
呼吸を整える。
肩を落とす。
視野を広げる。
次の一球に戻る。
この小さな回復ができると、
状態は整い始めます。
そして、状態が整えば、
ゾーンは“起こそう”としなくても、起きる側になります。
つまり、
ゾーンとは、追いかけるものではなく、
整った結果として起こるもの
なのです。
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🔷 Reflectiaとは、「戻るための地図」である
ここで、このシリーズの根幹にあるReflectiaと接続します。
Reflectiaでは、人を
思考
意識
感情
場
の共鳴として捉えます。

この四つの関係が整ったとき、
人は本来の力を発揮します。
逆に、この四つがズレると、
本来の力は出ません。
野球も、仕事も、人生も、同じです。
人は、外側の出来事によって崩れるのではありません。
外側の出来事によって、内側が揺れ、ズレることで崩れます。
だからReflectiaは、
「どう頑張るか」を教えるのではなく、
どう戻るかを考える思想です。
そして野球においては、それが
ゾーンを続ける技術
になります。
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⚾ 百﨑選手に今、本当に必要なもの
では最後に、百﨑選手の話に戻ります。
百﨑選手に今、本当に必要なものは何でしょうか。
新しい技術でしょうか。
もっと強い気持ちでしょうか。
もっと練習することでしょうか。
もちろん、それらも大事です。
ですが、今いちばん必要なのは、
それではないと私は思います。
必要なのは、
戻る技術です。
打てなかったあと、戻る。
ミスしたあと、戻る。
評価が気になったあと、戻る。
見せたい気持ちが出たあと、戻る。
二軍に落ちた悔しさのあと、戻る。
そのたびに、
思考を静かにし、
意識を今に戻し、
感情を観察し、
中庸に戻る。
その技術が身についたとき、
百﨑選手の技術は、今よりもっと出るはずです。
それは、別人になるということではありません。
百﨑選手が、本来の百﨑選手に戻る
ということです。
そしてそれこそが、
一軍で戦い続けるために必要な力だと思います。

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🔶 このシリーズの結論
このシリーズの最初に、
野球には三つの野球脳があるという話をしました。
① 技術
② 戦術
③ 状態
多くの人は、技術を磨きます。
戦術を学びます。
しかし、三つ目の野球脳――
状態
については、ほとんど語られません。
けれど、本当に結果を分けるのは、ここです。
思考
意識
感情
この三つが整い、
場と共鳴したとき、
人は本来の力を発揮します。
それが、ゾーンです。

そして、
ゾーンとは、特別な人に起きる奇跡ではありません。
整った人に起きる、必然です。
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🌊 最後に
プロとは、完璧な人ではありません。
いつも打てる人でもありません。
いつも落ち着いている人でもありません。
いつもゾーンに入っている人でもありません。
プロとは、
揺れない人ではない。
揺れても、戻れる人である。
百﨑選手にも、
今苦しんでいる若手選手にも、
そして結果が出ずに悩んでいるすべての人にも、
いま本当に必要なのは、
才能の追加ではなく、
気合いの追加でもなく、
戻る技術なのだと思います。
揺れてもいい。
崩れてもいい。
大事なのは、そこから戻ること。
その繰り返しの先に、
ゾーンがあります。

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🔹 Reflectiaプロ野球シリーズ
もう一つの“野球脳”でチャンスを掴み取る
完
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Reflectiaプロ野球シリーズ
プロとして生きる思考術 ― 野球編 ―
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