第3回 野球には“三つの野球脳”がある
― もう一つの野球脳の正体 ―

前回までで、
頑張るほど逆の結果が出る構造と、
それを「下げて整える」という考え方を扱いました。
では次に、もっと根本の話をします。
そもそも、野球で結果を出すために必要な“脳”は、ひとつではありません。
そして、多くの人が語る野球脳だけでは、説明がつかない現象があります。
それが、百﨑蒼生選手のように
「努力しているのに、結果が出ない」
「能力があるのに、空回りする」
という現象です。
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① 技術の野球脳(身体を動かす脳)
まず1つ目は、技術の野球脳です。
これは、簡単に言えば
「身体を正しく動かすための脳」です。
野球はスポーツですから、
ボールを捕る、投げる、打つ、走る、止まる、方向を変える。
こうした“身体操作”がすべての土台になります。
たとえば守備なら、
• 打球の速度と角度を見て、最初の一歩を出す
• グラブの面を作って、捕球の角度を合わせる
• ボールを握り替え、送球までを一連の動きでつなぐ
打撃なら、
• タイミングを取る
• バットの軌道を安定させる
• 体重移動を崩さない
これらは「頭で分かっている」だけではできません。
繰り返しの練習によって、身体に落とし込み、無意識で出せる状態にしていく必要があります。
つまり、技術の野球脳とは、
考える前に、身体が正しく反応できる状態
を作るための脳です。
ここが弱いと、どんな場面でも結果は出ません。
だから選手は練習します。反復します。型を磨きます。
ここまでは、分かりやすい話です。
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② 一般的に言われる野球脳(試合を読む脳)
2つ目は、世間でよく言われる、いわゆる野球脳です。
これは、簡単に言えば
「試合を読む脳」です。
野球は、ただ打って捕るだけではありません。
状況によって“最適解”が変わる競技です。
たとえば守備ひとつ取っても、
• ノーアウト1塁なら、まず2塁を狙う
• 1アウト満塁なら、ホームを優先する
• 1点差の終盤なら、確実にアウトを取る選択が優先される
攻撃でも同じです。
• 走者がいるなら、進塁打が価値を持つ
• バントの場面がある
• 盗塁やエンドランで相手の守備位置を動かす
• カウントや投手の球種で狙い球が変わる
さらにバッテリーなら、
• 相手打者の弱点を読む
• 配球で迷いを誘う
• 次の球のために、あえて見せ球を使う
こうした「判断」「読み」「戦略」「戦術」が、一般的な野球脳です。
そしてこれは、
• 経験
• 知識
• データ
• ベンチワーク
• チームの共通認識
によって磨かれていきます。
つまり②は、
試合を有利に進めるための“頭の働かせ方”
です。
ここも重要です。
技術が同じくらいなら、
この判断の差が勝敗や1軍2軍を分けることもあります。

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①と②があっても「結果が出ない日」がある
ここで大事なのは、次です。
①技術がある。
②戦術理解もある。
それでも、
ヒットが出ない。
エラーが出る。
打球判断を誤る。
普段なら捕れるゴロを弾く。
つまり、
“結果が出ない日”があるのです。
むしろ、
優勝争いの終盤、
昇格がかかった試合、
首脳陣が見ている一軍キャンプ、
そういう大事な場面ほど、不調が出ることがある。
これを野球では、
スランプ
不調
と呼びます。
しかし不思議なのはここです。
スランプのとき、選手はこう言います。
• 「体は動いているんです」
• 「フォームは崩れていません」
• 「やることは分かっているんです」
• 「いつも通りの準備はできています」
それなのに、結果が出ない。
具体的には、
• 体は動いているのに、噛み合わない
• いつも通りやっているのに、微妙にズレる
• いつもより考えすぎてしまう
• いいところを見せようとして、崩れる
これは単なる技術不足ではありません。
戦術理解不足でもありません。
もし①や②だけの問題なら、
「練習不足」
「判断ミス」
で説明がつくはずです。
しかしスランプは、そう単純ではない。
むしろ、
能力がある選手ほど、深く落ちることがある。
ここに、①と②では説明できない領域が存在します。
そこで登場するのが、
三つ目の野球脳です。
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③ Reflectia的野球脳(能力を“最大発揮”する脳)
三つ目が、Reflectia的野球脳です。
これは、戦術でも技術でもありません。
もっと根本の、
「自分の力を最大限発揮するための思考」です。
同じ技術、同じ戦術理解を持っていても、
• 出せる日
• 出せない日
が生まれてしまう。
その“分かれ道”を決めているのが、
この③です。

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③が扱うのは、次の領域です
・意識の向け方
どこを見ているのか。
何を重要だと捉えているのか。
「結果」に焦点がいくのか、「一球」に戻れるのか。
・感情の扱い方
焦り、恐れ、怒り、悔しさ。
それらに飲まれるのか、扱えるのか。
感情が身体を支配するのか、身体が落ち着くのか。
・意味づけの仕方
「この試合で人生が決まる」
「ここで失敗したら終わる」
そう意味づけた瞬間、過剰ポテンシャルが生まれます。
意味づけは、結果を決める“見えないスイッチ”です。
・内側のバランスの整え方
呼吸、緊張、視野、身体の軽さ。
それらを“ゼロに戻せるか”。
整えられる人は、崩れても戻れます。
戻れない人は、崩れたまま試合が終わります。
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③は①と②を“消す”ことがある
ここが重要です。
①と②は、積み上げてきたものです。
しかし③が乱れると、①と②が機能しなくなります。
• 技術はあるのに、身体が硬くなる
• 判断力があるのに、視野が狭くなる
• 経験があるのに、怖さで選択を誤る
つまり③が乱れると、
積み上げた技術と戦術が、発揮できない状態になる
ということです。
逆に言えば、
③が整えば、
①と②は“自然に立ち上がる”ようになります。
これが、③が「土台」だという意味です。
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「もう一つの野球脳」の正体
このシリーズのタイトルで言っている
もう一つの野球脳
とは、②のことではありません。
③のことです。
技術や戦術を語るだけでは届かない領域。
努力しているのに結果が出ない理由が潜んでいる領域。
そこに光を当てるのが、このシリーズです。
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まだその先は語りません
この③の野球脳が整っていくと、
人はある状態に入ります。
思考・意識・感情が噛み合い、
自分の力が自然に発揮される状態です。
しかし、その状態は
「力を足した結果」ではありません。
整った結果として、起きるものです。
その入口となるのが「中庸」です。
次回は、
この「中庸とは何か」から入ります。
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Reflectiaプロ野球シリーズ
プロとして生きる思考術 ― 野球編 ―
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