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第4回|なぜ大事な場面ほど崩れるのか


― その答えは「中庸」にある ―





前回までで、野球には“三つの野球脳”があることを整理しました。
• ① 技術の野球脳(身体を動かす脳)
• ② 戦術の野球脳(試合を読む脳)
• ③ Reflectia的野球脳(能力を最大発揮する脳)

そして、①と②が揃っていても、
**「結果が出ない日」**が起きる。
スランプや不調が起きる。

その分かれ道を決めるのが、③でした。






ここで、次の問いに入ります。

「整う」とは、いったい何なのか。
どんな状態になれば、力は“出る”のか。


この回で扱うのは、
その入口となる概念です。





🔶 中庸とは何か


最初に言います。

中庸は、
「真ん中」ではありません。
「無難」でもありません。
「感情を消すこと」でもありません。

中庸とは――

極端に行かないことではなく、極端に触れても“戻れること”。
揺れないことではなく、揺れても“戻せること”。

ここを間違えると、
中庸はただの精神論になります。





🔥 本気で勝とうとする人ほど、崩れます


いきなり逆説を置きます。

本気で勝とうとする人ほど、崩れます。


なぜか。

勝ちたい気持ちが強いほど、
人は「未来」に意識が飛ぶからです。
• ヒットを打ってアピールしなければ
• ここでミスしたら終わる
• 今日結果を出さないと2軍だ
• 一軍キャンプで残らないといけない
• 野球人生が決まる

こういう思いが強くなるほど、
その瞬間のプレーは“今”ではなくなります。

未来に飛んだ意識は、今を失います。

そして今を失った瞬間、
身体は硬くなり、視野は狭くなり、判断は遅れます。

これは、能力の問題ではありません。

「整っていない」だけです。





🔶 中庸=「勝ちに行かない勇気」


ここからが、この回の核心です。

中庸とは、
勝ちたい気持ちを捨てることではありません。

でも――

勝ちを“握らない”勇気は必要です。

ここで言う「勝ちに行かない」とは、

❌ 消極的になること
❌ 逃げること
❌ 気合を抜くこと

ではありません。

勝ちたい気持ちに、主導権を渡さないこと。
結果に、意識を支配させないこと。

言い換えるなら、

勝ちを追わない。
一球を追う。


この切り替えができる選手が、
中庸に入れます。





🔶 野球でいう中庸は、こういう状態です


中庸は、ふわっとした概念ではありません。

野球の現場で起きている現象として、
はっきり存在します。






力みすぎない

「絶対に打たなければ」
「ミスできない」
「見せなければ」

この“絶対”が入った瞬間、
過剰ポテンシャルが生まれ、身体が固まります。

中庸は、
“絶対”を手放して、今に戻ることです。






抜きすぎない

逆の方向もあります。

「どうせダメだ」
「自信がない」
「また同じだ」

こうなると、意識は逃げます。
集中は散ります。
身体の出力が落ちます。

中庸は、
逃げずに一球に残ることです。






張りすぎない

張りすぎると、視野が狭くなります。
• 相手の動きが見えない
• 打球が遅く感じる
• 反応が一拍遅れる

これは練習不足ではなく、
「張り」が過剰だから起きます。

中庸は、
**張りをゼロにすることではなく、張りを“扱える状態”**です。





🌿 東洋思想が示す「自然のリズム」


ここで東洋思想を自然に接続します。


東洋思想では、
• 陰と陽
• 張と弛
• 動と静

は、対立ではなく循環です。

張り続ければ、切れます。
緩み続ければ、崩れます。

自然界は、いつも揺れています。
でも、壊れない。

なぜか。

戻る力があるからです。

つまり中庸とは、

自然と同じ“戻るリズム”を自分の中に作ること。
揺れをゼロにするのではなく、揺れの中で中心へ戻れること。





🔶 Reflectia的野球脳における「中庸」


ここで③と直結させます。

Reflectia的野球脳(③)が扱うのは、
• 意識の向け方
• 感情の扱い方
• 意味づけの仕方
• 内側のバランス

でした。

中庸とは、この③が安定している状態です。

だから、

①技術
②戦術

が揃っていても、
中庸が崩れると「出ない」。

逆に言えば、

中庸に戻れれば、
①と②は“自然に立ち上がる”。





🔷 そして、その先がある


中庸はゴールではありません。

中庸は、入口です。

中庸が続くと、
人はある状態に入ります。
• 思考が減る
• 判断が速くなる
• 身体が軽い
• 結果を追っていないのに結果が出る

これは努力で“作る”ものではなく、
整った結果として“起きる”ものです。






次回、
その状態の正体に入ります。






Reflectiaプロ野球シリーズ
プロとして生きる思考術 ― 野球編 ―
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