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『プロジェクト・ヘイル・メアリー』原作と映画、何が違う?——映画を観た人に、原作をすすめたい理由


⚠️ この記事は、映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』鑑賞後の方向けです。 原作小説・映画ともに核心部分のネタバレを含みます。ご注意ください。

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映画館で観て、あの感動をもう一度——という方も多いと思います。
そして、こんなことを思っている方もいるんじゃないかな。

「原作小説、読んだ方がいいのかな?」

結論から言います。

読んだ方がいいです。絶対に。

この記事では、原作と映画の違いを中心に、映画を観た人に原作をおすすめしたい理由を書いていきます。

目次

  • 映画と原作、どちらから楽しむのがおすすめ?

  • キャラクターの違い

  • 映画オリジナルの演出

  • ロッキーの描写の違い

  • カットされたエピソードの深み

  • 原作の楽しみ方

  • こんな人に原作をおすすめしたい

映画と原作、どちらから楽しむのがおすすめ?

映画→原作の順がおすすめです。

理由はシンプル。 映画を先に観ることで、ロッキーのビジュアルや二人の
関係性を「映像」として先にインプットできるから。

原作は800ページを超えるハードSF。 文字だけでロッキーを想像しながら
読むより、映画で一度「会っておく」方が、原作を読む時の没入感が格段に上がります。

映画を観て「もっと知りたい」と思ったなら、それが原作を読む最高のタイミングです。

キャラクターの違い

ストラットの国籍と「カール」の存在

原作のストラットはオランダ人ですが、映画ではドイツ人(旧東ドイツ出身)に変更されています。

これは、ストラット役を演じたザンドラ・ヒュラーさん自身が旧東ドイツ出身の女優さんだから。 彼女のバックグラウンドをそのままキャラクターに活かした、粋なキャスティングですよね。

また、映画にはグレースの監視役として「カール」という新キャラクターが登場します。 これは原作の「一人称の内面描写」を、映像で表現するための工夫。 原作ではグレースの頭の中で繰り広げられる独白を、映画ではカールとの対話として見せているんですね。

グレースのキャラクター像

ここが個人的に一番面白いと感じた違いです。

原作のグレースは「好奇心が何物にも勝る!」というタイプ。 どんな状況でもワクワク感が全面に出ていて、ポジティブなエネルギーに溢れています。

一方、映画のグレースはより臆病で慎重な人物として描かれています。 「死ぬのが怖い」という言葉がより重く、リアルに響く。

どちらが好きかは人によると思いますが、私は映画版のグレースの方が「自分に近い」と感じました。 だからこそ、あの決断がより深く刺さったんだと思います。

「昏睡耐性遺伝子」の排除

原作ではグレースがミッションに選ばれた最大の理由は「1/7000の確率で持つ昏睡に耐えられる特殊な遺伝子」の所有者だったから。 でも映画ではこの設定がカットされています。

これは「ご都合主義すぎる」という製作陣の判断によるもの。 代わりに「人為的な緊急性」で送り出される形になりました。

この変更、私はすごく正解だと思っています。 「選ばれし者」という運命的な要素がなくなることで、逃げ腰だった普通の人間が覚悟を決めていく物語として、よりシンプルに伝わる。 グレースの成長が、より等身大で響くんです。

映画オリジナルの演出

ストラットのカラオケシーン

映画オリジナルの中で、私が最も好きなシーンがこれです。

ストラットがハリー・スタイルズの『Sign of the Times』を歌うカラオケのシーン。 実はこれ、脚本には存在しなかった、

撮影終了2日前の土壇場で生まれた「最高に幸せな偶然」なんです。

きっかけはライアン・ゴズリングが撮影の合間に、廊下でザンドラ・ヒュラーが歌っているのをたまたま耳にしたこと。 その歌声に感動したライアンが「彼女に歌わせないのはもったいない」と監督陣に提案し、プロデューサーのエイミー・パスカルが一晩で楽曲の権利を獲得して実現しました。

曲を選んだのはザンドラ自身。 「さよならの歌」のプレイリストの中から
選んだこの曲は、宇宙・空へ昇ること・人類への希望・そして別れ——
映画のテーマと完璧に一致していました。

面白いのは、原作者のアンディ・ウィアーが当初このシーンに猛反対していたこと。 「ストラットは氷のように冷徹なプロフェッショナルであるべきだ」と主張していたそうです。 でも完成した映像を見たウィアーは
「自分が間違っていた」と絶賛に転じたそうです。

このシーンがあったからこそ、ストラットはグレースにとっての「母親的な存在」として心に刻まれます。 そして宇宙でのグレースの孤独な戦いを、
静かに支える存在になっていくんだと思います。

「おかしくならないための部屋」

映画オリジナルの設定として、船内に地球の風景を360度映し出すLED球体スクリーンの部屋が登場します。 長期間の孤独による精神崩壊を防ぐためのもの。

原作にはないこの部屋が、映画ではエリドでの居住区の技術的な伏線にもなっていて、脚本の緻密さに唸りました。

数十年後の地球とストラットのラスト

映画のラストシーン、年老いたストラットが砕氷船に乗っているシーン。
あれは原作を読んで初めてその意味が完全にわかります。

そしてこのシーン、映画オリジナルの演出として、彼女の首に「仮釈放なしの終身刑」を意味するタトゥーが描かれています。

南極への核攻撃という壮絶な決断を背負って生きてきた彼女が、その結果として溶けた海を航行している——。

原作を読んだ後にあのシーンを思い返すと、じわじわと涙が出てきました。

ロッキーの描写の違い

声とコミュニケーション

原作では「音楽のようなチャイム音」として描かれているロッキーの声が、映画ではより生物的な、ゴロゴロ鳴く音やうなり声、笑い声のような響きにアレンジされています。

映画を観た時、ロッキーの声を初めて聞いて「あ、生き物だ」と感じた瞬間がありました。 原作で想像していた音とは違ったけど、映像作品としての正解だと思います。

タトゥーと定規

映画のロッキーには、家系や故郷の川を示すタトゥー(紋章)や、エンジニアであることを示す「定規」などの細かな意匠が追加されています。

原作にはないこのディテール、映画を観た時は気づかなかった方も多いんじゃないかな。 知った上でもう一度観ると、ロッキーへの愛着がさらに増します。

ロッキーの船への訪問

映画ではグレースがキセノナイト製のスーツを着て、ロッキーの船の内部を直接訪れるシーンが描かれています。

原作にはないこのシーン、更に二人の距離がぐっと縮まる瞬間として映像ならではの表現になっていましたよね。

食事と睡眠

原作ではロッキーは食事を見せることを嫌いますが、映画では二人が食事の仕方を比較するシーンがあります。 異なる生命体が「食べる」という行為を通じて互いを理解しようとする、なんともユーモラスで温かいシーンでした。

また睡眠時には「お互いの上に座る」というロッキー流のスタイルが提案されています。 原作にはないこの描写、二人の関係性の親密さをさりげなく表現していて好きでした。

カットされたエピソードの深み

ここからが、私が一番「原作を読んでほしい!」と思う理由です。

映画では尺の都合でカットされたエピソードがいくつかあります。 詳細はぜひ原作で確かめてほしいのですが、「こんなものがある」とだけ紹介しますね。

南極への核攻撃

ストラット主導による、地球規模の壮絶な決断が原作には描かれています。 映画では直接描かれませんが、ラストシーンの年老いたストラットの姿——砕氷船に乗る彼女——の意味が、原作を読んで初めて完全にわかります。

あの一瞬に、どれだけの重さが込められているか。 原作を読んだ後にもう一度ラストシーンを見返してほしいです。

「私は誰か?」という自己探求

映画の冒頭は記憶喪失からテンポよく始まりますが、原作ではこの「自分探し」のプロセスに膨大なページが費やされています。

日常の細かな記憶のかけらをひとつひとつ拾い集めながら、「自分は何者か」を論理的に導き出していく過程が、読んでいてたまらなく面白い。

映画では新キャラクターのカールとの対話でこの内面描写を補っていますが、原作のグレースと一緒に「自分は誰だろう?」と考える体験は、文字でしか味わえないものだと思います。

ミ・バーガー

映画を観た方の中に、こんな疑問を持った人はいませんか?

「ロッキーと再会してエリドに向かったグレース、
食料は約2年分しかなかったはず。その後どうやって生き延びたの?」

私もずっとそれが気になっていました。 原作にはその答えがちゃんとあります。しかもその答えが、かなり衝撃的で。

詳細はここでは書きません。 ぜひ原作で確かめてみてください。「そういうことか!」と声が出ると思います。

「ジョークはカットできても、感情の核はカットできない」

これは映画の脚本家ドリュー・ゴダードの言葉です。
原作からカットされたエピソードは多い。
でも、物語の本質は映画にも原作にも、ちゃんと宿っています。

原作の楽しみ方

原作は上下巻合わせて800ページを超えるボリューム。
「読みたいけど時間が…」という方もいるんじゃないでしょうか。

実は私、原作はAudibleで「聴き」ました。

しかも2周して、現在3周目です笑

家事をしながら、通勤しながら、何かをしながら聴けるのが最高で。
しかも、ストーリーの引力がすごいから、気づいたら「もう少しだけ」と
手を止められなくなっていました。

書籍派の方へ

科学的な問題解決のプロセスを自分のペースでじっくり味わいたい方には、文字で読むのがおすすめ。 図や数式をイメージしながら読む楽しさがあります。

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忙しい方へ

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どちらで楽しんでも、グレースとロッキーの物語はちゃんと心に届きます。

こんな人に原作をおすすめしたい

  • 映画を観て「もっとグレースとロッキーのことを知りたい」と思った人

  • ストラットの描写をもっと深く知りたい人

  • 科学的な問題解決のプロセスを楽しみたい人

  • ロッキーとの友情をもう一度、文字で味わいたい人

映画は、多くのエピソードを削りながらも、

"感情の核"だけは決して失わなかった作品でした。

でも原作には、映画には入りきらなかった「深み」がありました。

映画で感動した人ほど、原作を読んだ時に「あのシーンには、こんな意味があったのか」と、新しい感動に出会えると思います。

Amazonプライムで映画を観たら、ぜひ次は原作へ。

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ロッキーとグレースの物語は、まだ終わっていないから。

このnoteでは、映画を「観て終わり」にせず、自分の人生に重ねて言葉にしています。 スキ・フォローで次の記事もお届けします😊


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