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5年暮らした街で、初めてバスに乗る


東京に住み始めて5年になるが、未だに慣れないことばかりだ。

東京にいると、どこにでも行けるような気がする。実際、電車一本で行ける場所はかなり多い。それなのに、結局立ち止まってばかりいる。選択肢が多すぎて、どこに行けば良いのか分からなくなってしまうのだ。

買い物をしようと街に繰り出しても、人混みにクラクラしてしまう。挙げ句の果てに、結局何も買わずに帰りの電車でネットショッピングをする始末。何をしに行ったんだか。


自由という宝を持ち腐れていると、自覚はしている。
だけど私は、地元のしんと冷えた夜とか、公園の木漏れ日のあたたかさとか、夕焼け空の下にある電線の生活感とか、そういう静けさが好きで、愛おしい。

東京の街はいつでも明るい。
その明るさは安心感をくれるけれど、同時に、人々を急かすような、もっともっとと煽るような、そんな光にも見える。私はこの明るさが、少し苦手だ。


先日、初めて都営バスに乗った。初めて乗るバスは、電車よりも少し緊張する。

電車に乗っている時はついスマホを取り出してしまうけれど、慣れない場所に行く不安から、この日は画面ではなく、窓の外を眺めた。
5年も住んでいるのに、バス通りは見知らぬ景色が広がってた。こんな道があったなんて。

ぼうっと窓の外を眺めていると、不思議と地元の景色と重なった。
バスに乗っている間は東京にいることを少し忘れられて、心が凪いだ。こんなに穏やかな気持ちになったのは、久しぶりだった。


なんとなく、東京はせわしなくて合わないと思っていたけれど、私は東京のほんの一部しか見えていなかったのかもしれない。

5年暮らしていても、東京のことは分からないことだらけだ。
また知らない場所へ、バスに乗って行こう。


#わたしと東京


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彩野リィ 最後までお読みいただきありがとうございました!「面白ぇ女」と思っていただけたらスキ❤️やコメント、シェアのほど、よろしくお願いします。チップは私の執筆のおとも・マウントレーニア カフェラッテにさせていただきます!🙇‍♀️