ひらがなに沼って|第6回「へ」が私を惹きつける
「へ」って、縦書きに向いてなさすぎないか。
他のひらがなは、続けて書けるように崩した字があったりするけれど、「へ」はどうあがいても「へ」である。絶対に縦に進もうとせず、横に行きたがる。「へ」の意思を感じずにはいられない。そうでなければ、もっとだらりと流れる字になっていたはずだ。
「へ」の元となった漢字「部」を見てみても、もう少し縦になっても良かったんじゃないかと思う。50音で並んだ時、自分だけ変だなって思わなかったのか?みんなが行儀よく気を付けの姿勢をとる中で、君だけごろんと寝そべってるじゃない。なんて自由なヤツなんだ。
そういえば、子どもの頃に手紙で宛名を書くとき「〇〇ちゃんへ」の「へ」には、右下がりになったところに2本線を交わらせていた。あれはなんだったんだろう。意味はまるで理解していなかったけれど、「へ」が「これがイカしてるでしょ」っていう顔をしているから、みんなそう書いていた。誰かが書いているのを見て、なんとなく良い感じがしたから。
もし「へ」があえてこの形なのだとしたら、こいつは周りに流されず我が道を行く、最高にロックな魂を秘めているかもしれない。気の抜けたような音と、なだらかな線とは対照的に、実は芯はしっかりしている。何それ、モテそう。ずるくない?
適当なようでいて、根っこには固い意志がある。でも、それをあえて見せずに飄々と生きている「へ」。気付けば「へ」に振り回されているけれど、その強引さも、魅力に感じつつある。
▼「ひらがなに沼って」まとめ
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